
2010年 ロシア映画 119分
監督:アレクセイ・ウチテル(「マチルダ・禁断の恋」2017年など)
舞台
1946年のシベリアの収容所。ドイツ軍の捕虜になったりしたロシア人を収容していて、
壁や有刺鉄線は無いが、周囲は広大な森林地帯なので逃亡は不可能。
登場人物
イグナイト(ソ連人):ウラジミール・マシコフ
元は機関車の機関士だったが、鉄道事故の後に時々発作を起こして倒れるようになり、
資格をはく奪されたので、医者を買収して軍隊に入り前線に行った。
エルザ(ドイツ人):アンジョルカ・ストレチェル
父親と婚約者が鉄道技師で戦前にドイツからソ連に来たが、自然災害で
橋が壊れたことの責任を取るようにソ連側から言われ、逃亡しようとしたが二人は射殺され、
本人は何とか逃亡し、無人の島の機関車の中で戦争があったことを知らずに一人で暮らしている。
ソフィア(ソ連人):
ドイツで家政婦をしていて終戦後に収容所に入れられる。
連れている2歳くらいの子供は、ドイツで空襲に遭った際に母親の遺体に抱かれて
泣いているところを連れて帰った子供。

見どころ
戦後すぐの収容所内の複雑な社会派ドラマが良かったのと、蒸気機関車の走行シーンが迫力があった。
イグナイトは島で機関車の中に住んでいるエルザを見つけ、二人で壊れた橋を修理して線路を通し、
機関車を手に入れる。
戦争があったこと自体を知らなかったエルザが、ドイツ語で話したり歌ったりといろいろして、
それが様々なトラブルに繋がったりする。
そのため、イグナイトはエルザに「ロシアは障碍者に優しい国だから」と言って、
耳が聞こえず話せないという障碍者として振舞い、ロシアで暮らすように言う。
実際に第二次大戦で大量の死傷者を出した国なので、そこは本当のことで、
ロシア人は密かに誇りに思っているのかもしれない。
戦後にはソ連領内でも深刻な食糧難だったことも描写されていた。
鉄道マニアが蒸気機関車をなぜ好きになるのかがよく解る鋼鉄製の足回りのメカニカルな
動きも良かった。
しかしながら、歴史を知らない人が見ても、あまり話の内容が解らないのかもしれない。