2011/8/27 (土曜日) 雨
冬の寒いときも夏の暑いときも雨の日も風の日も休み無く夢中になって
模型蒸気機関車の工作に打ち込んできた。
そしてつい先日、実習生式蒸気機関車 ZB-1 を完成させることができた。
何でまた急にこんな工作にのめりこんだのだろうか?
その思い出を振り返ってみた。
前々から蒸気機関車のメカの面白さに惹かれていたのは確かだ。
そしてその構造が目で追えるわかりやすさも魅力だったのだろう。
どうして動くんだろう?
どういう仕組みなんだろう?
ときどきこんなことを思ってはいた。
今から2年前、バルト三国とロシアを訪ねるツアーに参加した。
そのツアーコース途中にエストニア国・タリンがあった。
ホテルに着いて近くにタリン駅があることを知り、早速見物にでかけた。
そこにはとても大きな蒸気機関車が展示されていて、自由に触れたり、
乗ったりできるようになっていた。
日頃、書物など読んで調べてはいたが、やっぱり実物をみるとその構造や仕組みが
よくわかった。
旅行を終えて家に帰って先ず蒸気機関車のことが書いてある本を読んだ。
今まで読んでいてもよくわからなかったことをもう一度読み直してみた。
うーん、なるほど、そう言うことか・・・・
でもまだちょっとわからないなぁ・・・ 何でそうなってるのかなぁ・・・・
ちょうど雨降りの日、退屈だったので厚紙を切り取って接着剤で貼って
蒸気機関車の仕組みみたいなものを作ってみた。
↓ 本に出ていたホイジンガー式の動弁機構。
右上のハンドルを回すと動輪が動いてピストンやピストン弁の動きがわかる。
更に詳しく知ろうと思い、インターネットのサイトにアップされている記事を調べた。
なるほど、こうなってるのか!?
そのとき「スターリング・エンジン」なるものを知った。
何だかこれもピストンで動くみたいだ。
↓ 試験管とか注射器とかで作れるみたいだ。
よーし、これを作ってみよう・・・・
と言うわけで材料を仕入れに行った。
↓ まだ残暑が厳しい日中、木陰に作業台を据えて手持ちの工具で工作を始めた。
↓ 組み立てたスターリングエンジンはなかなか動いてくれなかったが、調整していくうちに
少しずつ動いてくれるようになり、やがて何とか調子よく回ってくれるようになった。
初めて作ったスターリングエンジンが回ってくれたときはとても嬉しかった。
まるで子どものように喚声を上げてしまった。
その後は毎日、毎日、改良を加えて少しでも速く、滑らかに回転するように
改良していった。
そして注射器ピストンは動作時の側圧に対する摩擦が大きくて問題があると
思うようになった。
何とか本物のような金属のシリンダーとピストンにできないだろうか?
あるとき、行きつけの店でアルミパイプとアルミ丸棒が置いてあるのを見つけた。
それを手にとってはめ合わせてみた。 ぴったりだった。
これならちょうど好いが、アルミ材というのは半田付けができないのでちょっと
躊躇したが、まぁそれは工夫すれば何とかなるだろう、とこれを使うことにした。
アルミパイプに蓋をして密閉すればシリンダーになる。
それには蓋をしっかり押さえつける方法を考えなくては・・・・・
そうだ、パイプにタガをはめてそれを締め付ければいいではないか!
いろいろ考えたがやっぱり半田付けが必要だ。
それにはタガは真鍮材を使わなくてはならない。
今までも何回か真鍮を材料にして工作したことがあるが、アルミと違って
真鍮は結構硬い。 曲げるにしても削るにしても穴を開けるにしてもかなり
力がいる。 今のようなガタガタの工作台では作業ができない。
それに沢山の穴を開けるにはどうしても小型のボール盤は必要だ。
というわけでカーポートの片隅に作業台を据付て、小型のボール盤も買って
小さな作業場を作ることにした。
↓ 通販で注文した卓上ボール盤が届いた。
↓ カーポートの隅っこに据え付けた作業台。
カーポートの屋根があるので少々の雨は防げる。どんなに汚しても平気なので嬉しい。
季節は冬になって、寒い日が続くようになった。
でも、作業場ができたので実習生はますます工作に熱が入ってきた。
アルミ材は柔らかくて加工しやすい。
シリンダーとピストンのすべりもよく具合よい。
ただし、機密性が必須なシリンダーやピストンに半田付けができないのは致命的な
欠点だった。
あれこれ試行錯誤してやっと機密性を持たせることができた。
そしてとてもスムーズに動くピストンを作ることができた。
↓ アルミピストンに換装してスムーズに回転するようになったスターリングエンジン。
小さなアルコールランプの炎でも高速に回転するようになった。
アルミピストンの工作がうまくいったので、今度は本当のスチームエンジンを
作ってみたくなった。
スチームエンジンは蒸気で動かすんだからボイラーが必要だ。
さて、このボイラーはどうすればいいんだろう。
安直にはアルミボトルの飲み口に栓をして蒸気が漏れないようにしてそこに
パイプを差し込んで蒸気を取り出せばいいではないか。
早速工作してみた。
↓ アルミボトルにゴム栓をしてそこかに真鍮パイプを貫通させて蒸気を取り出すようにした。
↓ 圧力があるのかどうかわからなくては面白くない。 まず圧力のチェッカーを作った。
スプリングはゴム輪と言ういい加減なものだ。 残念ながら圧力の絶対値は示せない。
スチームエンジンの工作となるとなかなか難しかった。
シリンダーに取り付けるタガには蓋を締め付ける爪をつけなくてはならないが、
ここにはかなりの力がかかるので半田付けではもたない。
ロウ付けが必要だ。 ネットで調べてみるとかなり難しいらしい。
いずれボイラーの工作では必要になるのだし、やってみよう。
↓ 火床に置いた材料をガスバーナーで熱し、銀ロウを溶かして強力に接着する。
熱し過ぎれば材料も熔けてしまうのでなかなか難しい作業だ。 でもなかなか面白い。
シリンダーとピストンは何とかできた。
次には蒸気を制御する「弁装置」が必要だ。
これも難しかったが試行錯誤を繰り返しながら何とか作った。
↓ やっと組み立て終わったスチームエンジン。
↓ 何度も調整を繰り返してやっと回りだしたスチームエンジン。
完成したスチームエンジン1号を閑さえあれば動作させて
少しでも回転数を上げようと調整していた。
回転数を上げるにはボイラーの圧力を高めるのが先決だ。
ボイラーの火力を強めようといろいろなことをやってみた。
最後は燃芯を8個もつけたランプを作ったがこれはとても危険でヤバかったよ・・・・
そんなことを繰り返しているとやっぱりアルミ缶のボイラーには限界があった。
↓ あまりに強力な炎で炙ったのでアルミ缶は皺しわになってしまった。
そこで次にはスチール缶で同じようなものを作ったが・・・・・
スチール缶もやがて水の供給口に小さな穴が開き、蒸気が漏れてしまうようになった。
そこでいよいよ真鍮板を丸めてボイラーを作ることにした。
↓ 厚さ0.5mmの真鍮板を折り曲げてボイラーの胴にした。
↓ こんなに大きな物のロウ付けは初めて・・・ 熱が回らずなかなかロウ付けができない。
↓ やっと出来上がった真鍮製ボイラー。
このボイラーとスチームエンジン1号を組み合わせて運転して楽しんでいたが、
次第に真鍮製のシリンダーを作ってみたい欲望にかられ、いつしかその準備に
入っていった。
( 次号に続く )
冬の寒いときも夏の暑いときも雨の日も風の日も休み無く夢中になって
模型蒸気機関車の工作に打ち込んできた。
そしてつい先日、実習生式蒸気機関車 ZB-1 を完成させることができた。
何でまた急にこんな工作にのめりこんだのだろうか?
その思い出を振り返ってみた。
前々から蒸気機関車のメカの面白さに惹かれていたのは確かだ。
そしてその構造が目で追えるわかりやすさも魅力だったのだろう。
どうして動くんだろう?
どういう仕組みなんだろう?
ときどきこんなことを思ってはいた。
今から2年前、バルト三国とロシアを訪ねるツアーに参加した。
そのツアーコース途中にエストニア国・タリンがあった。
ホテルに着いて近くにタリン駅があることを知り、早速見物にでかけた。
そこにはとても大きな蒸気機関車が展示されていて、自由に触れたり、
乗ったりできるようになっていた。
日頃、書物など読んで調べてはいたが、やっぱり実物をみるとその構造や仕組みが
よくわかった。
旅行を終えて家に帰って先ず蒸気機関車のことが書いてある本を読んだ。
今まで読んでいてもよくわからなかったことをもう一度読み直してみた。
うーん、なるほど、そう言うことか・・・・
でもまだちょっとわからないなぁ・・・ 何でそうなってるのかなぁ・・・・
ちょうど雨降りの日、退屈だったので厚紙を切り取って接着剤で貼って
蒸気機関車の仕組みみたいなものを作ってみた。
↓ 本に出ていたホイジンガー式の動弁機構。
右上のハンドルを回すと動輪が動いてピストンやピストン弁の動きがわかる。
更に詳しく知ろうと思い、インターネットのサイトにアップされている記事を調べた。
なるほど、こうなってるのか!?
そのとき「スターリング・エンジン」なるものを知った。
何だかこれもピストンで動くみたいだ。
↓ 試験管とか注射器とかで作れるみたいだ。
よーし、これを作ってみよう・・・・
と言うわけで材料を仕入れに行った。
↓ まだ残暑が厳しい日中、木陰に作業台を据えて手持ちの工具で工作を始めた。
↓ 組み立てたスターリングエンジンはなかなか動いてくれなかったが、調整していくうちに
少しずつ動いてくれるようになり、やがて何とか調子よく回ってくれるようになった。
初めて作ったスターリングエンジンが回ってくれたときはとても嬉しかった。
まるで子どものように喚声を上げてしまった。
その後は毎日、毎日、改良を加えて少しでも速く、滑らかに回転するように
改良していった。
そして注射器ピストンは動作時の側圧に対する摩擦が大きくて問題があると
思うようになった。
何とか本物のような金属のシリンダーとピストンにできないだろうか?
あるとき、行きつけの店でアルミパイプとアルミ丸棒が置いてあるのを見つけた。
それを手にとってはめ合わせてみた。 ぴったりだった。
これならちょうど好いが、アルミ材というのは半田付けができないのでちょっと
躊躇したが、まぁそれは工夫すれば何とかなるだろう、とこれを使うことにした。
アルミパイプに蓋をして密閉すればシリンダーになる。
それには蓋をしっかり押さえつける方法を考えなくては・・・・・
そうだ、パイプにタガをはめてそれを締め付ければいいではないか!
いろいろ考えたがやっぱり半田付けが必要だ。
それにはタガは真鍮材を使わなくてはならない。
今までも何回か真鍮を材料にして工作したことがあるが、アルミと違って
真鍮は結構硬い。 曲げるにしても削るにしても穴を開けるにしてもかなり
力がいる。 今のようなガタガタの工作台では作業ができない。
それに沢山の穴を開けるにはどうしても小型のボール盤は必要だ。
というわけでカーポートの片隅に作業台を据付て、小型のボール盤も買って
小さな作業場を作ることにした。
↓ 通販で注文した卓上ボール盤が届いた。
↓ カーポートの隅っこに据え付けた作業台。
カーポートの屋根があるので少々の雨は防げる。どんなに汚しても平気なので嬉しい。
季節は冬になって、寒い日が続くようになった。
でも、作業場ができたので実習生はますます工作に熱が入ってきた。
アルミ材は柔らかくて加工しやすい。
シリンダーとピストンのすべりもよく具合よい。
ただし、機密性が必須なシリンダーやピストンに半田付けができないのは致命的な
欠点だった。
あれこれ試行錯誤してやっと機密性を持たせることができた。
そしてとてもスムーズに動くピストンを作ることができた。
↓ アルミピストンに換装してスムーズに回転するようになったスターリングエンジン。
小さなアルコールランプの炎でも高速に回転するようになった。
アルミピストンの工作がうまくいったので、今度は本当のスチームエンジンを
作ってみたくなった。
スチームエンジンは蒸気で動かすんだからボイラーが必要だ。
さて、このボイラーはどうすればいいんだろう。
安直にはアルミボトルの飲み口に栓をして蒸気が漏れないようにしてそこに
パイプを差し込んで蒸気を取り出せばいいではないか。
早速工作してみた。
↓ アルミボトルにゴム栓をしてそこかに真鍮パイプを貫通させて蒸気を取り出すようにした。
↓ 圧力があるのかどうかわからなくては面白くない。 まず圧力のチェッカーを作った。
スプリングはゴム輪と言ういい加減なものだ。 残念ながら圧力の絶対値は示せない。
スチームエンジンの工作となるとなかなか難しかった。
シリンダーに取り付けるタガには蓋を締め付ける爪をつけなくてはならないが、
ここにはかなりの力がかかるので半田付けではもたない。
ロウ付けが必要だ。 ネットで調べてみるとかなり難しいらしい。
いずれボイラーの工作では必要になるのだし、やってみよう。
↓ 火床に置いた材料をガスバーナーで熱し、銀ロウを溶かして強力に接着する。
熱し過ぎれば材料も熔けてしまうのでなかなか難しい作業だ。 でもなかなか面白い。
シリンダーとピストンは何とかできた。
次には蒸気を制御する「弁装置」が必要だ。
これも難しかったが試行錯誤を繰り返しながら何とか作った。
↓ やっと組み立て終わったスチームエンジン。
↓ 何度も調整を繰り返してやっと回りだしたスチームエンジン。
完成したスチームエンジン1号を閑さえあれば動作させて
少しでも回転数を上げようと調整していた。
回転数を上げるにはボイラーの圧力を高めるのが先決だ。
ボイラーの火力を強めようといろいろなことをやってみた。
最後は燃芯を8個もつけたランプを作ったがこれはとても危険でヤバかったよ・・・・
そんなことを繰り返しているとやっぱりアルミ缶のボイラーには限界があった。
↓ あまりに強力な炎で炙ったのでアルミ缶は皺しわになってしまった。
そこで次にはスチール缶で同じようなものを作ったが・・・・・
スチール缶もやがて水の供給口に小さな穴が開き、蒸気が漏れてしまうようになった。
そこでいよいよ真鍮板を丸めてボイラーを作ることにした。
↓ 厚さ0.5mmの真鍮板を折り曲げてボイラーの胴にした。
↓ こんなに大きな物のロウ付けは初めて・・・ 熱が回らずなかなかロウ付けができない。
↓ やっと出来上がった真鍮製ボイラー。
このボイラーとスチームエンジン1号を組み合わせて運転して楽しんでいたが、
次第に真鍮製のシリンダーを作ってみたい欲望にかられ、いつしかその準備に
入っていった。
( 次号に続く )