徒然なか話

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「寛永はいや節」 そのロマンとミステリー

2012-02-26 22:08:39 | 音楽芸能
 この映像は2010年5月に「新幹線くまもと創り」事業の一環として熊本県立劇場で行われた「はいやくまもと2010」の舞台の模様である。「はいやの祭り 里がえり」というサブタイトルで、全国のはいや系民謡が一堂に会しているが、各地方それぞれに独自の発展を遂げ、はいやの永い歴史を感じさせる。この最後の演目「寛永はいや節」は今日伝えられるはいやの起源を舞踊化したものでとても興味深い。この舞踊の音楽監督兼地方を務める本條秀美さんの伸びやかな歌声が絶品だ。
 描かれているのは、牛深の港で南風(はえ)待ちをする船頭が浜の娘がとめるのも振り切り、水主(かこ:船乗り)を引き連れて遊女のいる飯盛旅籠へ出かける。そこで酒盛りをして歌舞に興じるが、最後にみんなで歌い踊るのがはいや節というわけだ。
 牛深港は天然の良港として中世から漁港および廻船の寄港地として栄えたという。江戸時代初期には牛深はいや節は既にその原型ができていたと伝えられるが、寛永年間には天草下島の北半分は亡所化したといわれるほどの島原の乱をどうやってくぐり抜けて来たのか、あるいは奄美系など他地方の音楽がどう影響しているのかなどまだまだ謎は多い。

▼企画・演出
 吉村ゆみ
▼出演
 遊女:吉村ゆみ
 船頭:花柳伯龍
 水主:藤間誠申・吉村昭則
 浜の娘:吉村みず輝・吾妻成莉音・吉村なつき
▼地方
 唄:本條秀美・本條満寿美・坪井捷代
 三味線:本條秀岱・本條秀斗・大友秀咲・中村聡志
 笛:古閑凌山
 鳴物:中村花誠・中村弌誠・今井烈

演奏される曲は
 ▽寛永はいや節Ⅰ
  俚奏楽「磯節月夜」
  長唄小曲「漁船」
 ▽寛永はいや節Ⅱ
  俚奏楽「雪の山中」より「山中節」
  俚奏楽「雪の山中」より「湯女の踊り」
  民謡「牛深三下り」
  民謡「牛深はいや節」