徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

紫のはなし

2012-07-20 13:39:48 | 美術
 僕は「江戸紫」が好きだ。と言っても三木のり平でおなじみの某社の「のりの佃煮」のことではない。日本の伝統色の中の一つのことだ。パソコンでの色塗りはカラーコード「#745399」を使えばいいので今は楽だ。この「江戸紫」とよく比較されるのが「京紫」。同じ紫でも青味が強い「江戸紫」に対し赤味が強い「京紫」。「粋の江戸紫」と「高貴の京紫」とも評される。
 5年ほど前放送されたNHKスペシャル「歌麿 紫の謎」という番組が先日再放送された。喜多川歌麿の浮世絵を400枚も所蔵するアメリカ・ボストン美術館のスポルディング・コレクションを高精細デジタル画像で観ることができた。極めて保存状態がよく、変色や退色を免れた江戸時代の色彩が鮮やかに甦った。紫色を多用し「紫屋」とも呼ばれた歌麿。番組ではこれらの浮世絵の中に使われている紫色をどうやって表現したのかについて迫っていた。そしてこの紫の原料には露草が使われたらしいという。紫色の着物を着ることは江戸の女性にとって憧れだったそうだが、現代においてもそれは変わらないらしい。「ザ・わらべ」がたまに着る江戸紫(?)には一種独特のトキメキを感じさせるものがある。