tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

河内國平とその一門

2006年05月26日 | 日々是雑感
5月24日から、「河内國平とその一門」日本刀展が芸術会館・美楽来(みらく 奈良県生駒市)で始まった。※美楽来のホームページ
http://www.city.ikoma.lg.jp/kashitsu/16320/01/01.html

河内國平(かわち・くにひら)氏のことはこのブログ(3/11)で紹介したほか、インターネット新聞『JanJan』にも書いたが、奈良県無形文化財に指定された刀匠だ。初日の24日、早速この展示会を見に行ってきた。
※「刀匠・河内國平氏の仕事」
http://www.janjan.jp/culture/0603/0603201078/1.php?PHPSESSID=.

さほど大きくない会館の中で、最も広いスペースを取って展示会が行われていた。河内氏とその師匠・お弟子さんの日本刀のほか、河内氏が復元した七支刀(しちしとう)などの古代刀剣類も展示されている。ちょうど河内氏がおられたので、即席の説明会が行われた。写真の中央がご本人である。

私は刀のことはよく知らないが、それでもキラリと輝く刃先や美しい刃文(はもん・刀身の焼刃についた模様)を見ると、引きこまれてしまう。会場内では氏の師匠を取り上げたテレビ番組も放映されていて、日本刀を作り上げるまでの苦労が偲ばれる。

新渡戸稲造著『武士道』(第13章 刀…武士の魂)には、こんな一節があった。

「刀匠は単なる鍛冶屋ではなく、神の思し召しを受ける工芸家であった。その仕事場は聖なる場所ですらあった。彼は毎日、神仏に祈りを捧げ、みそぎをしてから仕事を始める。(中略) 大槌を振り、水につけ、砥石で研ぐ、これらすべてが大変重要な宗教的行為であった」(奈良本辰也 訳)

なお6月7日にはNHK(BSハイビジョン)で、河内氏を取材した「古代ロマン よみがえる国宝・七支刀」というドキュメンタリー番組も放送される予定である(21:00~22:50)。

この展示会は6月4日まで。ぜひ、足を運ばれて「武士の魂」に触れていただきたい。なお駐車場が狭いので、電車利用が無難だ(生駒駅の北約400m)。
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法華寺おりおり(7)杜若

2006年05月22日 | 古社寺を歩こう会
杜若(カキツバタ)

水湿地を好むアヤメ科アヤメ属の多年草。葉はアヤメ(菖蒲)やハナショウブ(花菖蒲)より幅が広く、2~3cmの剣状となる。古くから知られ、万葉集にも登場する。カキツバタという名前は、「書き(掻き)付け花」が転じたものだそうだ。書き付けとは、花を布にこすりつけて花汁で染めることで、いわば草木染めである…。

見分け方をお教えしよう。葉のことは上に書いたが、
・カキツバタとハナショウブは水辺などの「湿地」に咲くが、アヤメは「山野や畑」に生える。
・ハナショウブは花の中心部に「黄色い斑紋」があるが、カキツバタにはない。

英語でカキツバタは「rabbit-ear iris」というそうだ。ぺろんと垂れた花弁がウサギの耳に似たiris(アヤメ科植物)なので、何となく納得できる。

さて法華寺は今年初めて、客殿から眺めるだけだった江戸初期の庭園(国の名勝)を、庭を回遊する形で公開した。庭園にはカキツバタが満開で、多くの人が訪れていた。

この写真は本堂前の池の畔に咲いていたカキツバタ(5/21撮影)。時々池の鯉が、周囲をうかがうように顔を出していた。
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中国産「割り箸」がなくなる日

2006年05月21日 | 日々是雑感
こんな記事を読んだ。中国が「割りばしを生産制限 弁当業界などが影響」という毎日新聞の記事だ。

私が読んだのは5/17付大阪本社版の記事だが、ネット版のニュースが5/9付で出ていたと後で知った。無料のネットニュースが有料の新聞より早く出ていたとは、初の経験だった。
※MSN毎日インタラクティブ(5/9付)http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060509k0000e040060000c.html

記事によれば割り箸は「使い捨ての代表格として、国内で年間約250膳が消費される」。その9割超が中国産だが、今年3月「中国政府は『森林保護』を理由に割りばしの原木伐採を制限し、将来的には輸出も禁止するとの方針を法案に盛り込んだ」という。

割り箸の「国内の2大産地は北海道と奈良。高級品主体の奈良は今も命脈を保っているが、中国産と競合した北海道は壊滅的な状況だ」という。

なお奈良県産(主産地は吉野郡下市町)の割り箸は、吉野杉の製材過程で排出される端材を集め、手で削っで作るもので、いわば環境に優しい「再利用製品」だ。私も家でよく吉野杉箸を使うが、決して使い捨てせず、洗って何度も使用している。

今も京都などの一流料亭では、吉野杉の割り箸しか出さない。逆に吉野杉箸を出す料亭や料理店は、一流店だとも言える。この辺の経緯を私は以前、インターネット新聞に書いたことがある。
※「割り箸鑑定団」http://www.janjan.jp/business/0404/0404082947/1.php

一方中国製の割り箸は、白樺などの木を伐採し、大根の桂剥き(かつらむき)のようにくるくる回して薄く削ぎ、タテに刻んだもので、明らかに森林資源を費消している。森林乱伐で洪水や砂漠化が進む中国が禁止をいうのも、当然だろう。

それにしても、日本で年間約250億膳消費とは、やはり異常だ。赤ん坊を除くほぼ日本人の全員が、ウイークデーの毎日、割り箸を1膳使い捨てていることになる。

スーパーのレジ袋同様、割り箸が有料になる日が来れば良い。それで日本人の使い捨て志向が改まって環境保全意識が高まり、中国に緑が増えて黄砂の飛来が減るのであれば、喜ばしい限りだ。

※写真は、日本料理店「萬佳」(ばんか・奈良パークホテル内)の万葉弁当。
 吉野杉の8寸柾天削(まさてんそげ)箸が出てきた(04.8.19撮影)。
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クレマチス

2006年05月20日 | 日々是雑感
写真の青紫の花は、よくテッセン(鉄線・クレマチス属)と呼ばれるが、調べてみると、テッセンは花びらが6枚の別物の花だ。テッセンとカザグルマ(風車・クレマチス属)を交配させて作ったのが、花びらが8枚という写真の園芸品種である。

だから写真の花は「カザグルマ系のクレマチス」と呼ぶのがふさわしいそうで、確かにテッセンよりカザグルマの特徴がよく出ている。つる植物で、公園の花壇のアーチやフェンスなどでも見かける。

なお「花びら」と書いたが、これも正しくはガク(萼)片だそうで、以前、ハナミズキの花びらに見えるのは包葉(葉が変容したもの)だと書いたのを思い出す(5/12付)。

花というのは、奥が深い。以前ある植物学者が「名もない花、などと気安く言わないでほしい。ほとんどの花には名前が付いている」と新聞に書いていた。私も、ちゃんと調べて正しく紹介しようと、自戒しているところだ。

※写真は葛城市・当麻寺参道で撮影(5/14)。
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芍薬(シャクヤク) vs ダンシングフラワー

2006年05月17日 | 日々是雑感
最近まで、牡丹(ボタン)と芍薬の見分けがつかなかった。写真の芍薬も当麻寺・奥院の「ぼたん園」で咲いていたので、ややこしい(5/14撮影)。

どちらもボタン科だが、芍薬は草(多年草)、牡丹は木(落葉樹)なので、茎(枝)を見れば判然とする。

「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」という言葉を知っている人も少なくなった。立ち姿の美しい日本の女性を表すフレーズだ。そういえば大和撫子(ヤマトナデシコ)という形容もあった。

かつて音楽に合わせて踊る「ダンシングフラワー」なるオモチャがあったが、ああいう女性がやたら増えているような気がする。そうなると昨今の「萌えブーム」は、その揺り戻しかも知れないが。
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