tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

生駒聖天さんどう会の活動に、大いに賛同!

2015年07月31日 | 観光にまつわるエトセトラ
7/24(金)、宝山寺(生駒聖天)参道の城山(しろやま)旅館(生駒市門前町)を訪ねた。6/23(火)、奈良市内で開かれた有志の会で2代目女将の岡田篤子さんとお会いし「生駒聖天参道のまちづくりの動きは、前から気になっていました。いちどお訪ねします」と申し上げていたのが実現したのだ。
※トップ写真は「生駒市観光ガイドブック」(3ヵ国語版)。1頁めが生駒聖天お彼岸万灯会


近鉄生駒駅で、ケーブルに乗り換える。ケーブル駅は「鳥居前」



この日は休みを取って朝からいそいそと出かけた。ランチに訪れたインドネシア料理「摩波楽茶屋 (マハラジャヤ)」のことは、先に当ブログで紹介させていただいた。生駒聖天(宝山寺)参道では、「生駒聖天さんどう会」(会長:小川雅巳氏=摩波楽茶屋 のオーナー)が活動している。まず、生駒聖天参道とは、どんなところか。「はならぁと」のHPによると、





1678年湛海律師が再興した宝山寺は、商売繁盛、現世利益の神様である大聖歓喜天を祀り、江戸時代から今日に至るまで、多くの信心を集めています。近鉄生駒駅から宝山寺へと続く参道は、かつて参拝者相手の飲食店や土産物屋、料理旅館が立ち並び、奈良県一の遊興観光地として栄えました。参道を歩くと、今でも賑やかだった当時の雰囲気を感じる事が出来ます。生駒山の中腹辺りに位置することから、古都奈良を見渡すことができ、静かで、ゆったりとした時が流れています。


歴史を感じさせる旅館街が、参道の両側に続く


道しるべがあった。「右 生駒山麓公園 左 暗峠」

私は奈良に移り住んでから知ったのだが、「女町哀歌(おんなまちエレジー)」という演歌があり、そこには「女に生まれてよかったわ 本当はいいことないけれど せめて心で思わなきゃ 生きてはゆけない この私 生駒は哀しい女町~♪」という歌詞があるのだそうだ。「山と山とに囲まれた ここは大阪奥座敷」というフレーズも。かつては相当栄えた遊興地だったようだが、今はひっそりとした佇(たたずまい)まいで、私は山頭火が訪ねたという大分県の「湯平(ゆのひら)温泉」を連想した。







閑話休題。生駒聖天さんどう会のブログ「山からの便り」の記事「はじめまして さんどう会です」(2013年9月)に、会の趣旨が掲載されている。

はじめまして!「生駒山と宝山寺参道を古き良き時代のように甦らせたい」そんな気持ちで集まった人々で作った「さんどう会」といいます。昔は宝山寺界隈は生駒駅からたくさんの旅館やお店が立ち並ぶにぎやかな町でした。





宝山寺聖天さんは「商売の神様」。大阪、奈良、京都からたくさんの人が商売繁盛を願いこの参拝道を歩いていたのです。日本初のケーブル。このケーブルがなかった時代は皆、参道を歩いていたんですね…。今ではこの参道も高齢化が進み、空き家も増えて旅館の数もぐっと減ってしまいました。


神具屋さんが店を開けていた


向こうが宝山寺だ。両側の燈籠は夜に灯がともる



「このままではいけない」「町に活気を取り戻したい」「もっと皆さんに生駒の山を知ってほしい」そんな気持ちをそれぞれいつも持っていました。でも、ひとりの力ってとても小さいんですね。ひとりが二人になれば…そしてもっとたくさんの気持ちが集まれば…? 何か変わるかもしれない!そうして2013年、春に「さんどう会」はスタートしました。


城山旅館さんにお邪魔した


店先では、アジサイが咲き残っていた。7/24だったのだが…

この町の人、お店をしてる人、遠くから来てくれる人…帰って来た人…メンバーはさまざまです。まだまだ少ない人数ですが 焦らず、急がず、気負わず、そして何より楽しんで… この参道、生駒山が少しずつ変わっていったら。そう願って活動しています。このブログではさんどう会の活動やお山のイベント、お山のお店など、紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします!


城山旅館の広間



「宝山寺参道」の歴史などについては、市の「広報いこま」(2013年8月合併号)で6ページの特集記事として大きく取り上げられ、その中で「生駒聖天さんどう会」の活動が「観光生駒、復活を目指して」のタイトルで、2ページにわたって紹介された。引用すると、


広間からの眺望。大和盆地が一望だ!



生駒聖天さんどう会、発足
今年(2013年)1月、「生駒聖天さんどう会」が立ち上がりました。発起人は、参道で飲食店を営む小川雅巳さんと中川恭一さん。「昔は賑やかやったのに、今は猫しか鳴いてへん。だれか、この辺で喫茶店でもしたらええのになと2人で話してたんです。まさか自分らがやることになるとは全く想像していませんでした」と小川さんは笑います。


小川さんたちが改装している「門前おかげ楼」(旧「たき万旅館」)



今、2人には、観光生駒を復活させるという強い信念があります。会は参道を拠点にした地域活性化を目指し、宝山寺駅前の花壇整備から始めることになりました。「目立つことや大きなことをしようと思ったら、行政からの補助金や誰かの協力をあてにして、なかなか動けません。だから、僕たちは壮大な計画を立てる前に、自分1人でもできることから地道に取り組もうと思ったんです」と中川さん。


この昭和レトロ調がいい(門前おかげ楼の2階)



整備を始めたら、地元の人の参加や、「ハーブエ房ほうざん」のご主人に花壇デザインを引き受けてもらえたり、「宝菊会」の城山(旅館)さん(門前町)に菊花展の開催協力を申し出てもらえたりと、うれしいつながりと広がりが生まれました。


かつてNo.1の旅館だった、政府登録国際観光旅館「緑風閣」。今は「空」の看板が出ている


内部はシッカリ残っている。何とかならないものか…

参道を灯りでつなぐ
毎年9月に行われる宝山寺お彼岸万燈会。参道から境内までお寺全体が燈龍(とうろう)や蝋燭(ろうそく)の灯りで包まれる中、祖先への感謝の気持ちを表す法要が営まれます。この行事で、参道や階段に燈龍を並べるのは、宝山寺青年会の役割でした。しかし、その中心メンバーは3、40年前に青年会に入って、そのまま年を重ねた70代の人たち。急な坂道で準備や後片付けをするのが困難になり、6年前「もう、参道に燈龍を出すのはやめようか」という声があがります。中川さんが商売を始めて1年後のことでした。



こちらは日本語版の生駒市ガイド。やはりトップページは生駒聖天お彼岸万灯会


「参道から賑わいが消えてしまう瀬戸際や。これはまずいと思って。気付いたら僕がやりますって言ってました。生駒山はもともと行場ですから。きつい修行が課せられたなと思いました」友人や店のお客さんに協力を求めたこともあります。「役所にも最初は全然相手にしてもらえませんでした。でもあきらめたらあかんと、できることからやっていったんです」


こちらは「ハーブ工房 ほうざん」

生駒駅から宝山寺まで参道を灯りでつなぐことを目標に、毎年少しずつ灯りを置かせてもらうエリアを増やしました。青年会の後押しやお客さんの応援もありました。回を重
ねるごとに自治会、市内の幼稚園や保育園、事業所…多くの人とつながりました。今年は、さんどう会が中心になった「お彼岸万燈会」実行委員会で灯りと音をテーマにしたイベントも実施する予定です。小川さんは言います。



小川さんが経営する「摩波楽茶屋」(マハラジャヤ)



「まずは、お彼岸万燈会を生駒の名物行事にしたい。それができたら、月に1度の聖天市の復活。そうやって賑わう日を少しずつ増やしていけたら嬉しいですね」 まちを変えるのは、やはり人の力。自分たちのまちは自分たちで育むという揺るぎない思いがはじめの一歩です。小川さんと中川さんが踏み出した一歩は大きなうねりとなりました。数年前は夢でしかなかった参道を灯りで結ぶ計画が、この秋、実現しようとしています。






摩波楽茶屋のベランダからの景色も、絶景!

生駒聖天さんどう会は、昨秋(2014年11月)から、はならあとに参加した。この夏(2015年8月)にも、さまざまなイベントを企画している。寂れゆく門前町で立ち上がった「生駒聖天さんどう会」の面々。現状に危機感を持ち、この素晴らしい立地(宝山寺門前、大和盆地が見渡せる眺望、大阪に近くケーブル駅が目の前にある)を考えれば、可能性は無限にある。さんどう会の皆さん、この素晴らしい門前町を盛り立ててまいりましょう!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

過疎の村を建て直すスーパー公務員!ドラマ・ナポレオンの村(2015 Topic)

2015年07月30日 | お知らせ
日曜劇場「ナポレオンの村」(日曜夜9時~TBS系)をご覧になっているだろうか。、過疎の村の建て直しに挑む東京都庁職員(唐沢寿明)の話で、原案は当ブログで早くに紹介した『ローマ法王に米を食べさせた男~過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?~』。「地域おこしに携わる人は必見です!」と周囲に触れ回っていたが、当ブログで紹介するのを忘れていた。TBSの公式HPからあらすじを拾うと、

 ローマ法王に米を食べさせた男 (講談社+α新書)
 高野誠鮮
 講談社

このドラマは消滅寸前の限界集落を立て直そうと東京の西の果ての市役所に赴任してきたスーパー公務員によって彼を取り巻く役所の面々、村人たちとの交流、そして村が生まれ変わっていく姿を描いたオリジナルドラマだ。

東京都庁でもやり手のスーパー公務員として名を馳せる浅井栄治(唐沢寿明)!唐沢が演じるのは東京都庁の職員で、役人として日本の未来を作るという大義のもと、限界集落と呼ばれる過疎地に着目し、その土地にしかないものに価値を持たせて希望の種を蒔くために神楽村を再生させようと決意するドラマの主人公・浅井栄治。

浅井は「役人は役に立ってこそ“役人”である!」という確固たる信念のもと、持ち前の奇抜なアイデアと飛び抜けた行動力で、単身、星河市神楽村に飛び込んでいく!果たして浅井はことなかれ主義の市役所の面々や高齢化で復興を諦めている村人たちの心を動かすことが出来るのか……!!



必死で村民の心をとらえようとする唐沢の姿は、感動的である。かといって肩肘張った堅苦しいドラマではなく、家族で気楽に視聴できるよう軽いタッチで描かれている。毎回入れ替わる豪華ゲスト陣も見ものである(私の世代のアイドルだった大谷直子が、第1話で老婆役で出ていたのはにはドキッとしたが…)。「TBSオンデマンド無料無料見逃しキャンペーン」のおかげで、第2話(7/26放送)は、8/9(日)まで、インターネット経由で無料で視聴できる。

皆さん、ぜひ「ナポレオンの村」にご注目ください!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

座敷舞の舞華会(第4回)、8月8日(土)旅館松前で開催!(2015Topic)

2015年07月29日 | お知らせ
山村若女さんと山村若瑞さんによる座敷舞「舞華会(まいかえ)」、第4回は8月8日(土)午後6時半から、旅館松前のお座敷で開催される。演目は「蛙」「いざや」「芦刈」。お茶とお菓子がついて鑑賞料は3,800円、定員は50人だ(要申込)。山村若瑞さんのブログによると、
※写真はすべて昨年(第1回)のもの。若瑞さんのブログから拝借

座敷舞の会、「舞華会」第4弾のお知らせです。舞華会は、全く、舞を見た事がない人にも分かりやすく楽しく見ていただき、お座敷の舞の面白さや空気感を知っていただこうと去年から始まりました。今回の第4回目で1年経ちました、ありがとうございます! 会場は1年前と同じ、奈良の松前旅館さんのお座敷です

第1回目の様子を少し




舞の見方や説明を話人(ナビゲーター)の倉橋みどりさんと一緒に楽しく致します。敷居が高く感じているかたにも、これを機会に是非お気軽にお越しください。

舞華会 第4回
日時:8月8日 18時半~20時
場所:ならまち 旅館 松前のお座敷
出演:立方 山村若女・山村 若瑞/地方 菊寺智子・菊萌文子/話人 倉橋みどり
演目 地唄 「蛙」他


お申し込みは、旅館松前さん(0742-22-3686)、山村若女さん(090-5886-3862)、倉橋みどりさん(090-6204-9919)のいずれか。お早めにどうぞ!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

観光力創造塾(第4回)の概要が、奈良新聞に掲載されました!

2015年07月28日 | 観光にまつわるエトセトラ
7月13日(月)に開催いたしました「第4回 観光力創造塾」の概要が、今朝(7/28)の奈良新聞に掲載されました。長くなりますが、以下に記事全文を紹介いたします。

[見出しとリード文]
南都銀行主催 第4回 観光力創造塾 インバウンド推進のキーポイント 外国人目線理解を
「活力創造銀行」を経営ビジョンに掲げ、地域の活性化に積極的に取り組む南都銀行(橋本隆史頭取、本店奈良市)。地元の観光振興の課題について、専門家や観光の最前線で活躍する講師陣を迎えて活発な議論を行う「観光力創造塾」を昨年3月から開催している。

その第4回が7月13日、「インバウンド(外国人観光客誘致)推進のキーポイント」をテーマに、奈良商工会議所で開催され、料理店やホテル、土産物店、観光関連団体、自治体の観光関連部署の関係者ら約120人が参加した。

第Ⅰ部ではコンサルティングや研修・セミナーでインバウンドビジネスをサポートする株式会社やまとごころ(東京都)の代表取締役、村山慶輔さんが「外国人目線のインバウンド・マーケティング~集客のポイントを解き明かす」と題して講演。トークセッションでは、宿泊客の8割が外国人という、ならまちの旅館松前の女将、柳井尚美さんが「旅館松前の流儀」をテーマに、外国人に喜ばれる接客について話した。当日の様子を紹介しよう。


[講演]
第1部講演 「外国人目線のインバウンド・マーケティング~集客のポイントを説き明かす~」
株式会社やまとごころ代表取締役 村山 慶輔氏
むらやま・けいすけ 1976年生まれ。兵庫県出身。株式会社やまとごころ代表取締役。インバウンドビジネスコンサルタント。一般社団法人アジアインバウンド観光振興会理事など。著書に「訪日外国人観光ビジネス 沸騰するインバウンド市場攻略ガイド」(翔泳社)。


口コミ活用し地域自慢
国によって違う 評価のポイント

花瓶にも見え、見方を変えると人が向かい合うように見える「ルビンの壷」という絵があります。外国人観光客はマナーが悪い、トイレの使い方が悪い、声が大きいという声がありますが、外国人からすると普通通りなのです。認識の相違があるということを理解し、こちらの要望を説明すれば改善できます。ここに5つのサービスのポイントを挙げます。

①効率を重んじる②十分な権限を持っている③礼儀正しい④人間的であること⑤相談相手として頼りになる

この中で「顧客サービスについて重視する項目は」という問いに、アメリカ、カナダ、イタリア人は②と答えます。香港人は①です。日本人は④③⑤の順です。このように国によってサービスの評価のポイントは違ってきます。互いの違いを理解することが必要で、キーワードは「外国人目線」です。これを理解することがインバウンドには最も重要です。

世界最大級の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」は世界中で情報収集のツールとして利用されています。しかし日本人の口コミは少ない。もっとお国自慢、そして地域自慢をしなければ魅力が伝わりません。

訪日客過去最高 売上伸ばすには
インバウンドの現状はことし平成27年の1月から5カ月間で753万人。これは年間1700万人を超えるハイペースです(平成26年は過去最高の1341万人)。日本全国で非常に増えている。問題はマーケットに連動して売り上げが伸びているかどうか。昨年は2兆278億円でしたが、今後4兆円にしていこうという動きです。また平成26年の日本人も含めた延べ宿泊者数は約4億7000万人で、うち約10人に1人が外国人です。

傾向としては、「ショッピング・ツーリズム」が加速。免税店も増えています。東京でビルを宿泊施設にリノベーション(改装)した「Nui.バックパッカーズジャパン」など、インバウンドベンチャーも増えています。美容室、エステ、カラオケ、展望台、神社仏閣、コンサート、スポーツ、競馬、パチンコ、祭りなどなど、日々私たちが利用するサービス、参加するイベントでも外国人観光客に提供できます。いわばすべての産業にチャンスがあるということです。アイドルグループAKB48の選抜総選挙でも、来場者の2割は外国人だったのです。

インバウンド市場に起きている変化は、訪日外国人観光客の爆発的増加と、団体から個人へという動きもあります。団体客が最も多い中国においても個人化が加速しています。また、東アジアを中心にリピーター化が進展。昨年訪日した外国人観光客の6割がリピーターで、中には10回以上という人が16・7%いる。時間軸、曜日軸、季節軸における変化があり、福岡空港、関西国際空港は絶えず混んでいる。変化はチャンスです。送迎やホテルのチェックインの時間を変えるなど、先手を打っていく必要があります。台湾人のリピーターは個人旅行で、より奈良へ来たがっているという調査もあります。

目の前の外国人 しっかり満足を
香川県の直島には教育関連企業のベネッセコーポレーションがつくる現代美術のミュージアムがあり、世界中からアートや建築好きが殺到しています。ただ、リピーターを増やすためには、いま目の前にいる外国人観光客をしっかり満足させるということが必要です。

顕在化してきた課題としては何があると思いますか。クレームで一番多いのは「無視されている」ということです。私たちからすれば、外国人に対して言葉の壁があり、余計な事を言うと間違った情報を与えてしまうことにならないか、という心配があるのでしょう。ただ、その結果「無視されている」と思われている。そのように思われない接客を心掛ける必要があります。

外国人観光客をつかむためには全体観を捉えることです。ランドオペレーターによるプロモーション(魅力の紹介)はとても重要です。また現地メディアとの関係を構築したり、ブロガーを呼んでブログで魅力を紹介してもらう方法があります。ターゲットとなる国の大型連休を把握し、早めに施策を打っていくインバウンド・カレンダーを作るといいでしょう。

目の前にいる外国人をいかに呼び込むかということでは、店頭POPや歓迎サイン、外国語のメニューを用意したり、免税店であることなどは大切です。その工夫に少々お金をかけてもすぐに元が取れます。「トリップアドバイザー」への口コミや、あと国内でできることでは、スマホのアプリを作ったり、のぼり、フリーペーパーを作ることなども有効です。

自然と人が魅力 地方こそ世界へ
よくある間違いとしては、戦略がなく戦術ばかり(全体観、何を誰にどう売るかという考えがない)、新規客ばかりを追いかける、1つのターゲットに依存する(リスク分散の視点からも国別、団体客と個人客、日本人と外国人など、1つのものに依存しない)、マーケティングの軽視、があります。

インバウンドの取り組みとしては、世界に20億人いるイスラム教徒に向けたハラール(戒律で許されたもの)への対応。メディアに取り上げられやすく、PR効果があります。また少数派のようで世界の人口の6%いるというLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスセクシャル)マーケットも無視できません。富裕層マーケットのへの奈良県の取り組みは早いと言えます。

地域での取り組みの成功例は、「飛騨里山サイクリング」があります。日本人には珍しくなくても観光資源になる例で、外国人にはありのままの自然や田園風景が美しく見えるのです。半日7300円で東京ディズニーランドよりも高いのですが、地域の人との出会いもあって、満足度は100%。利用者の7割が外国人です。プロデュースしている山田社長は、実は奈良県出身です。

古民家の調査事業を7年やって地元の人の信頼を得て、地元の有力者に顧問になってもらって準備しました。ありのままの自然や人が最高のコンテンツ(内容)になります。ここでは「地方でも世界を舞台に勝負できる。地方こそ世界を舞台に勝負すべき。」という教訓があります。「こんな田舎には何もない」などと思うことはありません。

ワンポイントの 魅力をアピール
ブランドとは何か。それは自分は何者であるかを知り、何を伝え、何を伝えないかを知ることです。よくある自治体の悪い例は「海(川)も山も何でもある」と言うことで魅力が分からなくなることです。いい例としては「立山の雪の壁」「長野の地獄谷のスノーモンキー」などがあります。そうすることで伝わりやすくなる。見どころが他にあっても、あえて言わないということです。

今は口コミの時代で外国人旅行者自身がメディアです。「トリップアドバイザー」で、コメントを見ながらサービスの改善をします。インバウンドは今、さまざまな地域で燃えています。何かするよりも「何もしないことがリスク」の時代です。そして「継続は力なり」。地域と連携して(エリアが離れた地域でも可)、海外の旅行会社との商談会に出掛けるなどし、助成金も活用して、取り組んでいただきたいと思います。

[トークセッション]
第2部トークセッション「旅館松前の流儀」
旅館松前女将 柳井 尚美氏

やない・なおみ 1959年生まれ。埼玉県出身。大学卒業後、奈良で書道講師などを務め、「旅館松前」の夫壮一さん(故人)と結婚。約10年前から女将。
(聞き手)
南都銀行公務・地域活力創造部 鉄田 憲男氏

人として互いに楽しく

日吉館宿泊で「奈良漬け」に

―講演で村山さんが旅行口コミサイトの「トリップアドバイザー」を紹介されていましたが、本日お越しいただいた柳井さんの旅館松前は、2015年の同サイトで「エクセレンス認証」を受けられました。おめでとうございます。

多くの宿泊客が旅館松前のサービスや柳井さんの接客を高く評価しています。認証取得は2013年以来2回目。今日はその外国人高評価の秘訣をお聞きしたいと思います。柳井さんは、日吉館(歌人で書家の会津八一ら、多くの文人や学者にも愛された登大路町にあった旅館)に泊まられたと聞きましたが、それはいつごろですか。

柳井 大学生のときに京都が好きでよく来ていたのですが、奈良にいい旅館があると聞いて来ました。忘れもしない二十歳の夏に、どきどきしながら予約を入れました。夕方着くと、女将の田村キヨノさんがいらっしゃって、少し見つめられて「どうぞ」と。京都から「奈良漬け」になったのは、やっぱり日吉館からなんですが、面白い方たちがそこにはいて、自分の知らない世界を身近に実体験として語ってくれる人がいた。それを恐いおばちゃんが陰ながら温かく見守っていてくれたというのが印象です。何度も泊まりに来ました。

―今は旅館松前が日吉館の役割を果たされているのではないでしょうか。柳井さんは大学は東京で、大学院は奈良ですね。奈良にひかれたのはなぜですか。
柳井 情報のあふれる東京で「プロ(の書家)にならなきゃ」といっぱいいっぱいだったとき、奈良に来るとほっとした。自分の足音が聞こえるような。

―旅館松前さんは宿泊客の8割が外国人です。一番多い国は。
柳井 今はフランス、イタリア、スイス、カナダ、スペイン、オーストラリア、アメリカの順で、ほとんど欧米です。

―私が泊まらせてもらったときに、興福寺の朝の鐘がボーンと聞こえました。外国人にはたまらないんじゃないかと。リピーターは多いですか。
柳井 初めての方が多いですが、友人への紹介とか家族を連れてきたりする海外の方も増えています。

伝統文化や地域全体考える意識
―書道体験の「墨あそび」は有料ですか。
柳井 好きな言葉を書いて色紙を1枚仕上げてもらいます。約1時間くらいで、墨を使うことから1000円いただいています。墨が面白いと思ったら、奈良で買っていただけるところをご案内します。

―そうして伝統を守ろうと。
柳井 積極的に職人を守ることをしないと大事なものは残らないと言い続けています。

―狂言の稽古も見学できるんですね。
柳井 月に3回、木曜日に行っています。

―外国人からはどういう質問が多いですか。
柳井 3泊される方もいて、食事を聞かれますが、何回かは外のお店を案内しています。

―周りにお金が落ちるようにという配慮ですね。お土産にピンバッジを用意されている。
柳井 奈良市や県にもありますが、外国の方はお好きなようです。

―「トリップアドバイザー」の書き込みはすごいですね。絶賛しています。5つ星の評価をどう思いますか。
柳井 悪い評価が書かれていることもあり、それを見るとへこみますが。評価されているのは、いいロケーションにあることと、値段がそんなに高くないこと。けれども、もう一つの付加価値として感じるものは、私を含めてスタッフが、お客様が困っていることが解消されて、喜んでいただくことを大切にしていることを評価してもらっているのかなと思います。

―「墨あそび」や狂言は(経営に)役立っていると思いますが、どういう方の参加が多いですか。
柳井 自分が楽しいと思うことを「見たい」という人がいれば見てもらう、「やりたい」と言えばやっていただいています。質問があれば突っ込んで教えてしまう。それは小さい宿でしかできないことです。

安心を伝えれば旅行者の満足に
―海外の方は何を見て予約するのでしょう。
柳井 聞いてみると一番多いのは「ロンリープラネット」(旅行ガイド本)。同じくフランスの「ルーター」という本もご覧になります。他は「ミシュラン・グリーンガイド」などでも確認をして、そこからホームページを見て、メールを入れるという流れです。

―これから外国人のお客様を呼ぼうという意欲のある宿泊施設にアドバイスをお願いいたします。
柳井 まず海外の方を受け入れるために大切なことは、自分の国や、あるいは自分自身を知ることであり、外国語がうまくなることでも、外国人の真似をすることでもないということ。
また宿という立場からいえば、安心していただくということに尽きると思います。
国籍ではなく、人としてお互いに楽しくなる方法を相手の身になって考え、実行することが問題の解決になると思います。

―本日はありがとうございました。


概要は、以上です。当日、参加されなかった方も、幹の部分はこれで十分理解していただけることと思います。この「観光力創造塾」は、奈良県の宿泊観光客数を増やすことを目的に、年2回(夏と冬)開催しています。今回はアンケート結果でも「人選が良かった」とお書きいただきました。ぜひ、次回もお楽しみに!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

摩波楽茶屋 (マハラジャヤ) in front of 生駒宝山寺

2015年07月27日 | グルメガイド
縁あって、生駒の聖天さん(宝山寺)門前のアジアンエスニック料理「摩波楽茶屋 (マハラジャヤ)」(生駒市門前町14-1)に総勢4人でお邪魔した。近鉄奈良線の生駒駅からケーブルに乗り「宝山寺」下車・徒歩2分のところにある(駐車場あり)。奈良の食材を使い、インドネシア出身のシェフが作る本格派だ。なおマハラジャ(マハーラージャ)とはサンスクリット語で「王様」の意味である。ぐるなびによると、
※トップ写真は、日替わりランチ

和とアジアンエスニック創作料理。インドネシア出身のシェフが作る本格料理。奈良地産の食材とインドネシアより空輸して入れてるスパイス&ハーブを使ってます。大和平野を一望出来るオープンテラス。和とアジアンエスニックの落ち着いた空間。パーティー、イベント等 御予算に応じて承ります。詳しくはお電話にて御問い合わせ下さい。


お洒落な店構え





味や店内の雰囲気が良いだけでなく、眺望が素晴らしい。ぜひ、奈良県の「眺望のいいレストラン」(3次募集)に応募していただきたいものである(7/31締切)。食べログに投稿されたtorcopanさんの口コミ「テラスからの景色が最高」を紹介すると、


こんなベランダがある。眺望は抜群だ



宝山寺の無料駐車場から表参道に歩き、ほんの少し階段を下った右手にあります。店舗自体はあまり目立っていません。が、一歩店内に入るとお洒落なアジアンテイスト。

清潔感のある男性店員さんがテーブルへと案内して下さったのですが、お店突き当たりの吐き出し窓をぱーんと開けると、そのテラス席からは生駒山からの美しい景観が広がっていて、思わず「うわぁー、素敵。」と声が出てしまいました。







ランチセット(基本的に1,200円)にはこんなサラダとスープがついている

ランチが始まってすぐに入店したので、まだ空いていたので、テラス席に案内して貰えてラッキーでした。夏の暑いときはつらいかもしれませんが、このお店に来たならば、是非ともテラス席がお勧めです。と、言うより、テラス席でないと、そこまで楽しめないかも。


アジアンランチセット。地鶏串焼き、ナシクニン、おかず3種、アチャール、スープ、サラダ

アジアンランチセットを頂きました。3種類のおかずとナシクニン(ウコンのご飯)、チキンサテー2本、とアチャール(お漬物)、サラダに、温かいスープ。お食事自体は本当にインドネシアの味というより日本人向けにアレンジされていて、食べやすく、また辛味を調整できるよう辛いスパイスのソースを添えてくれています。


ベジタリアンランチセット。季節の野菜の串焼き、ナシクニン、野菜料理おかず4種、スープ、サラダ

何より、こちらのお料理で評価すべきなのが、その美しい盛り付け。スルーする方もいらっしゃるかと思いますが、エディブルフラワーがご飯の上にさり気なく添えられていて、そのセンスと配慮をとても嬉しく感じました。食べてみると、とても爽やかな香りで美味しかったです。

食後のデザートはマストです。たった+200円ばかしでこの内容!!3種類の盛り合わせなのですが、あえて内容は書きませんが、そりゃぁもう美味しくて、綺麗で、手もかかっています。そこいらのカフェやファミレスの追加デザートとは比べ物になりません。


ココナツカリーヌードルセット。ココナツカリーヌードル、おかず4種、サラダ

お食事のボリューム、内容、センスをもって、このお値段は断然お得です。また、店員さんも感じが良いだけでなく、料理の説明も丁寧で、グラスのお水などへの気配りも万全。景色やガムラン音楽とともに気持ち良い要素の一つでした。宝山寺のお参りはせずとも、このお店のためだけにまた是非とも再訪したいです。


これは私が注文した日替わりランチ(トップ写真とも)。美味しくてボリュームもたっぷり

続いてはjoejoe101さんの口コミ「夜景が素晴らしい」(食べログ)によると、

なんといっても夜景が最高!テラスもあって、よい雰囲気です。料理はインドネシア・バリ島料理。まずは木の実を砕いて揚げたウンピン。見た目はポテトチップス。食べると、そら豆のチップスみたいな味。なかなか美味しい。


おお、竜田揚げがついていた。このお店は「生駒市ご当地グルメ たつた揚げプロジェクト」に参加されているのだ

サラダはガドガド。温野菜にココナッツソースをかけてある。メインは、鶏肉と野菜のピリ辛炒め、アヤムサユール。なんというか、回鍋肉をやや辛くしたような味。味噌じゃないだろうけど、ココナッツが味噌のようにトロ味を出しているのかな。


200円プラスでついてくるデザート。200円とは信じられない内容だ

もう1品、チュミチュミゴレン。要するにイカリング。最後は定番のナシゴレン。いずれも辛さは控えめで丁度よい。インドネシアのビールも飲みました。ピルスナーだけど、あまり味の特徴がわからない。日本のビールと変わらないかな。



お造りなど居酒屋メニューもある。まあ、ちょこっと食べながら、やはり素晴らしい景色を見るのがこの店の楽しみ方。ちなみに周辺は宝山寺へ続く参道で、昔ながらの旅館街。それも面白い。

定休日は月曜日だ(月曜が祝日の場合は営業、翌日休み。毎月1日・16日は営業、翌日は休業)。電話は0743-74-7111。

生駒山からの眺望と、店内のエキゾチックな雰囲気を楽しみながらいただくアジアンエスニック料理。写真入りのメニューを見ると、目移りがするほど種類が多い。これが宝山寺の門前で、小旅行気分で味わえるのだ。皆さん、ぜひ足をお運びください!
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする