tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

蕪庵の薬膳料理

2008年04月30日 | グルメガイド
会社の同僚・OBで作る「京都食べ歩き同好会」、今回(4/19)は下鴨神社北の「廣東料理 蕪庵(ぶあん)」を訪れた。
http://www.kyokanko.or.jp/shokuji_d.phtml?id=et0010

京阪電車・出町柳で下車、まずは下鴨神社を参拝した。好天に恵まれ、新緑がまぶしい。神前で結婚式を挙げるカップルがいて、庭の緑に真っ赤なから傘、茶色の葦簀(よしず)・深紅のもうせんに白無垢の衣装というコントラストの美しさに、しばし見とれてしまった。

蕪庵はこの神社を北に出て5分ほど歩く。周囲は静かなお屋敷町だ。昔はあたり一面かぶら(蕪)の畑で、それでこの名がついたそうだ。もとはお寺だったという建物は明治時代の建築で、庭も広い。お店のパンフレットには、《西本願寺の大谷光瑞師が、かつて中国より選りすぐりの厨士たちを招かれ、蕪庵はその心技のすべてを授かりました》とある。

幹事のKさんは、@7000円の薬膳料理のコースを予約されていた。飲み物は、緑のラベルの「ヱビス<ザ・ホップ>」。最初に出てきたのが写真の「鳳城滑生」(ホン チョン ワサン)つまり広東風の鯛の刺身だ。トッピングはピーナツ、クルミ、松の実。そこにワンタンの皮・大根のケンを混ぜ、ピーナツ油・老酒で味を調えている。

海皇(ハイファン)などで出てくるものとよく似ているが、こちらの方がボリュームたっぷりだ。上に振りかけているのは、真珠の粉だ。カルシウムと良質の(コラーゲンに似た)タンパク質、ミネラルなどが豊富に含まれているという。

このあと、フカヒレのスープや揚げ物が出てきて、次が「本マグロの甘酢あんかけ」。からりと揚がったマグロが甘酢あんとよくからむ。珍しかったのが、「牛肉・タケノコとピーマンの炒め物」で、揚げたワンタンの皮に載せて出てきた。炒め物に皮のパリパリ感が良いアクセントになっている。

中華なので、油を使った料理が多いのだが、すべてあっさり、からりと仕上がっている、これが「京風中華料理」の所以なのだろう。

枯山水の広いお庭の向こうから、鶏の鳴き声が聞こえる。見ると、まっ白い烏骨鶏(うこっけい)が放し飼いにされている。口笛を吹くと、ゾロゾロと集まって、愛嬌を振りまいてくれた。

女将さんや店員さんの接遇も含め、素晴らしいひとときを過ごせた。美味しくて体に良い薬膳料理、ぜひお試しを。

※廣東料理 蕪庵 京都市左京区下鴨河原町通北大路東入一筋目下ル
℡075-781-1016 水曜休 営業時間:12:00~21:00
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桜前線が逆進

2008年04月29日 | 写真
奈良公園では今、八重桜がまっ盛りだ。写真は土曜日(4/26)に興福寺境内で撮ったものだが、県庁東駐車場の南側にある「ナラノヤエザクラ」(天然記念物・東大寺知足院の桜と同種)も、可憐な白い花をつけていた。八重桜はソメイヨシノと違って遅くから咲き始め、花も長く楽しめる。

昨年、関西では桜の開花異常が目立った。ソメイヨシノは、すべて1本の木から挿し木で殖やしたクローンだ。だから一斉に咲いて一斉に散るのだが、昨年はバラバラに咲いてバラバラに散った。咲いている枝とまだ咲いていない枝とすでに散ってしまった枝が、1本の木に混在していた。
http://www.news.janjan.jp/area/0704/0704093406/1.php

今年は、ソメイヨシノ開花の「順序」が異常だった。東京の開花宣言は3/22(平年より6日早い)だった。しかし宮崎は3/26(1日遅い)で、鹿児島は3/28(2日遅い)だった。九州南部より東京の方が早く咲いたのだ。なお奈良は3/26(6日早い)だった。フジサンケイビジネスアイ(4/19付)が詳しく報じている。

《花のもとになる花芽(かが)は一定期間、冬の寒気にさらされて目覚めるが(休眠打破)、もともと冬が温暖だった九州南部は暖かくなりすぎて、休眠打破が不十分になっている可能性があるという。専門家は、地球温暖化の進行で将来的には、遅咲きに転じる地点が増えると指摘している》 。

「休眠打破」とは、冬の寒さで目を覚まされることだ。同紙によると《植物の種や芽は、動物の冬眠のように成長や活動が一時的に停止または不活発になる。それが特定の条件で目覚めるのが「休眠打破」で、特定の温度を受け休眠打破する種類が多い》。

《桜(ソメイヨシノ)の場合、花のもとになる花芽(かが)が9月中旬ごろまでに形成された後、休眠に入り、冬の寒さで目覚めて翌春の気温上昇とともに成長、開花する。桜の休眠打破に最適な温度は2-7度とされる。休眠打破が不十分だと、かなり高温にならなければ開花せず、開花を遅らせる要因となる》。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200804190007a.nwc

東京など大都市は、ヒートアイランド現象で桜は早く咲く。九州は冬の暖かさで桜が目覚めず、開花が遅れる。これが桜前線が逆進(南下)する原因なのだ。

観測史上最速だった02(平成14)年は、平年より14日も早く咲いたそうだ。花見の場所取りが新入社員の初仕事と言われたものだが、今や新入の入社を待っていては桜が散ってしまう、これは一大事だ。

地球温暖化というと話が大きすぎてピンとこないかも知れないが、身近な桜の開花でその影響が実感できるのである。人間より動植物の方が、よほど敏感なのだ。今春は早くもハナミズキが4月中旬から見頃を迎えているが、これから県下では藤、牡丹、シャクナゲと、次々に花が咲いていく。過去のデジカメ写真の日付と見比べながら、開花時期を比較してみることにしたい。
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田舎そば たかぎ

2008年04月28日 | グルメガイド
久しぶりに、東向北の「田舎そば たかぎ」に行った。おそばがメインの大衆食堂だが、オムライス(600円)や丼物(親子丼=550円)も美味しい。この日はオーソドックスに天ざる(1000円)を注文した。

腰の曲がったおばあちゃんが、感じよく応対して下さる。店の作りも年季が入っている。「道頓堀 今井」に似ているな、といつも思う。

出てきた天ざるは、ご覧の通り麺の量もたっぷりだ。「そば通の店」というほどではないが、ちゃんと美味しい。からりと揚がった天ぷらには、エビが2匹ついてくる。もちろんそば湯も出る。

写真を撮っていると、おばあちゃんが喜んでくれた。「インターネットで紹介しておきます」と言って店を出た。

近鉄奈良駅から花芝商店街(東向北)を北へ徒歩3分。平日は近くの県庁職員などが利用し、土曜日は奈良公園を訪れた観光客などが立ち寄る(日曜休)。手軽で美味しい駅前の食堂、いちどお試しを。

※奈良市花芝町24 0742-23-3395 11:00~18:00 日祝休 P無
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県庁前で春の祭典

2008年04月27日 | 奈良にこだわる
奈良県庁と県文化会館の前で、春の祭典が行われている(4/26~27まで 17:00終了)。
http://www.pref.nara.jp/norinbu/umaimono/07haru-fair-.html

3つの催しを合体したイベントで、1つめは県農林部主催の“「奈良のうまいもの」春のフェア”。県庁前に、総本家さなぶり家、千葉製麩商店、植村牧場などが自慢の品を展示即売。その傍らでは、写真(4/26撮影)の“「黒米カレー」の食べ比べ”が行われていた。

黒米のご飯(白米に黒米をブレンドして炊いたご飯)に、奈良ロイヤルホテル扇滝の「欧風ビーフカレー」、ばぁくゲストハウスの「キーマカレー」(自家飼育の豚を使用)、RAHOTSU a table(ラホツ・ア・ターブル)の「ベジタブルカレー」(豆とトマト入り)の3種類のカレーが付いて500円。これを食べ比べて投票する仕組みだ。それぞれ特色のある味わいで、甲乙つけ難い。用意された300食は、開始後約4時間で完売したそうだ(4/27も実施される)。

2つめは、奈良市内の市民グループ「ならの会」が主催する“奈良アート・クラフト祭”。16都府県から約200の作家が集まり、文化会館前の広場にテントのお店を出していた。
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/6e/3f3ce818db3cd16935ace276dca1127b.jpg

何だか森の中に店を開いたような、楽しい雰囲気だった。荒井知事や中山次長(1300年事業推進局)の姿も見え、県庁前では作品の人気投票も行われていた。
http://www.akai-nara.net/nara_craft/pamphlet/artcraft.html

3つめは、県観光交流局主催の“県庁芸能舞台”。公募による音楽・演劇などの団体が、県庁の玄関前で行う公演(13:00~15:00)で、今後も随時開催するという。

このほか、県庁東棟の県民ホールでは、琴の生演奏や大和茶の無料接待、ホール前では金魚すくいなどの催しが行われていた。文化開館前では柿の葉寿司や日本酒の販売も行われていた。今西清兵衛商店の「はるしか ときめき」を買い求めたが、フルーティーな発泡性の日本酒で、花の季節にピッタリの美味しいお酒だった。
http://www.kitora.com/harusika-tokimeki.htm

昨日は、ちょうど開始時刻に、向かいの奈良公園で連合奈良主催の「メーデー奈良地方大会」も開かれ、周囲はとても賑やかだった。好天も幸いして、上記イベントにはたくさんの家族連れなどが訪れていた。

それにしても感心したのは、県庁前の広場をこうして開放したことだ。今まで休日にここへ足を踏み入れた経験といえば、知事などが参加する「クリーンアップならキャンペーン」の開会式くらいのものだった(それも最近は、向かいの奈良公園に追いやられているが)。

観光シーズンにこの周辺を訪れる人は多い。これを契機に県庁前を広く一般開放し、奈良を訪れる観光客を温かくお迎えしたいものだ。
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同時進行!平城遷都1300年(12)

2008年04月26日 | 平城遷都1300年祭
前回(3/4)は、2/12に発表されたマスコットキャラクターに関する侃々諤々の議論を紹介したが、今回はそれ以降の主な動きを(冷静に)追ってみる。

3/12の定例記者会見で荒井知事は《マスコットキャラクターについて、「たいへんいいキャラクターだと思う。選び直しはしない」と述べた》(3/13付 朝日新聞奈良版)。

3/18の県議会予算審査特別委員会で、知事は《奈良を舞台にしたテレビドラマ「鹿男あをによし」に登場する“しゃぺるシカ”のロボットについて「(ドラマ終了後に)県が購入するなり貸してもらうなどして、奈良の広報ツールに使いたい」との考えを明らかにした》(3/19付 読売新聞奈良版)。

県営プール跡地に高級ホテルを誘致する計画で、3/24、県は《計画通りに進んでも、平城遷都1300年祭の期間中に開業するのは厳しい》《10年秋の開業は厳しいが、遷都1300年祭でできた人の流れを失わないうちにオープンしてもらえれば》(3/25 朝日新聞奈良版)。

4/15、マスコットキャラクターの名前が「せんとくん」に決まった。1万4539件の応募があり、そのうち「せんとくん」は、337件だった。
http://www.j-cast.com/2008/04/15019012.html

また同時に「考える」「歩く」など12のポーズが公表された。「考える」のポーズは左手の指をコメカミにあてていて、田村正和の古畑任三郎を思わせる。
http://www.j-cast.com/mono/2008/04/16019095.html

4/17、この「せんとくん」の名前が、神戸市兵庫区のイベント「福原遷都まつり」で既に使われていたことが判明した。1300年記念事業協会は「同名キャラの存在は知っていたが、商標登録をしておらず、大丈夫だと思った」とコメントしていた。
http://mainichi.jp/select/today/news/20080417k0000m040070000c.html

これに対し、別の動きも起こっている。4/22奈良市内の商店街は、各店に地元デザイナーらで作る「クリエイターズ会議・大和」が選定する独自キャラクターへの応募を呼び掛けるチラシの配布を始めた。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nara/news/20080422-OYT8T00779.htm

これら一連の騒動がワイドショーなどに取り上げられたことで、「せんとくん」の広告・宣伝効果は、2~3月の3週間で、約15億円分に達したという試算も発表された。
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20080419p202.htm

しかし、それでも1300年祭の認知度は低い。地元シンクタンクが3月に行った調査では、近隣府県民の約6割が「知らない」と答えたという。この調査については私もブログで取り上げたが、「奈良のうまいもの」も含め、奈良のPRがまだまだ不足していることを裏付ける結果となった。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nara/news/20080420-OYT8T00711.htm

それにしても気になるのが、県下市町村の動きである。市町村は1300年祭関連イベントの開催を要請されているのだが「助成金の有無が分からない状態では動きがとれない」として、態度を決めかねていたのだ。やっと4月も中旬になって、唯一宇陀市が手を挙げた。奈良日日新聞(4/19付)によると、

《市長は、平成22(2010)年に迎える遷都記念の「宇陀市イベント」を企画するとし、飛鳥浄御原宮~藤原京~平城京~平安京の「宇陀の歴史」をアピールすると話す。古代律令国家の飛鳥浄御原宮から平城京、平安京まで、「宇陀の歴史・文化のエキス」を遷都イベントに盛りたいとし、具体的な検討を指示した》。

話は変わるが先日(4/16)大阪府の橋下知事は、大阪府・大阪市・経済団体が連携して行うイベント「水都大阪2009」について《「イベント後に何が残るのか具体的に見えない。効果がないと公金は出せない」と反対し、計画が白紙に戻った》(4/17付 産経新聞)という。

この「イベント後に何が残るのか」という問題意識は大切にしたい。県下においては、悪しき前例があるからだ。「なら・シルクロード博」は、仮設パビリオンばかりを建て、後に何も残さなかった(建築廃材というゴミの山を築いたが)。イベント後に設立した「なら・シルクロード博記念国際交流財団」にしても、この3月末に「シルクロード研究部門」を切り捨てた。財団の名前を「県国際交流協会」に改称することも検討しているという。
http://www.nara-np.co.jp/n_all/080312/all080312a.shtml

シルク博は1988年4/24から10/23まで、奈良公園一帯で行われた祭典で、総入場者数は約680万人だった(1300年祭は1年間の会期で、1200万人を見込む)。自然や歴史的景観に恵まれた奈良公園を会場に選んだことから「景観破壊だ」との批判が起きた(当初は平城宮跡を会場にしようとしたが、文化庁が反対した)。

シルク博は大量の無料券配布などが響いて約8億円の赤字だった。奈良公園の復元整備にも約14億円を要した。その意味で、1300年祭で「恒久的施設」と「赤字を出さない」ことにこだわる荒井知事の姿勢を、私は評価している。

シルク博のテーマは「民族の英知とロマン」だったが、1300年祭には、そのような明確なテーマは見えない。そのことが、市町村などに支持を得られない理由になっているようにも思える。開催まであと2年。県民の英知を集め古代へのロマンをかき立てる、意義あるイベントに仕上げたいものだ。

※参考:同時進行!平城遷都1300年(11)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/edfcfeb6353e81b8f9ef1f5b011ddd16

※写真は、撮れたての興福寺境内。今、奈良公園周辺では八重桜が満開だ。
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