昨日(6月18日)、志賀原発を廃炉に!訴訟原告団は、志賀原発廃炉目指す取組みの一環として富山地裁に株主による志賀現原発の運転差し止めなどを求める裁判(富山訴訟)を起こした。
提訴に先立ち2時から富山県弁護士会館で志賀原発株主差止め訴訟原告団 結成・提訴集会」を開催。
冒頭、私の方から富山訴訟提訴に至る経緯や志賀原発を廃炉に!訴訟原告団の活動の中での富山訴訟の位置付けや意義などについて報告する。
昨年3月26日の金沢地裁での志賀原発運転差止め訴訟(金沢訴訟)の口頭弁論で、加島滋人裁判長は従来の訴訟指揮を180度転換し、原発直下の断層の活動性の評価を原子力規制委員会に丸投げする方針を示した。行政追随、司法の責任放棄であり、私たちは法廷内外で早期の結審、差止め判決を求める行動を展開してきたが、並行して新たに取り組めることはないか弁護団を中心に協議を重ねてきた。
こうした中で浮上したのが会社法360条1項、3項を根拠とした株主による差止め訴訟である。
類似の裁判は、1989年の福島第二原発3号機の再循環ポンプ破損事故後、東電株主が再稼働停止を求めた事例があるが、3.11後の原発訴訟の中では初めての株主による差止め請求訴訟となる。
原発は過酷事故によって回復不可能な深刻な被害を及ぼすリスクを抱えるが、保有する電力会社にとっては経営を脅かす巨大なリスクの塊でもある。
3.11で原発の安全神話は崩壊し、その後の8年間で必要神話も経済(安価)神話も崩壊した。
金沢訴訟をはじめとした多くの原発差止め訴訟は危険性を最大の差止めの根拠として争われてきたが、必要性や経済性については裁判所は主要な争点とはみなしてこなかったきらいがある。
今回の富山訴訟は事故リスクに加え必要性もない、経済性もない志賀原発の存在を真正面から問う訴訟となる。
いま、北電は再稼働ありき、再稼働最優先の方針が経営を圧迫し、株価は低迷し配当は2年連続なし、今年度も未定である。電気料金も昨春値上げし多くの顧客離れを招いている。今回の富山訴訟は多くの株主や一般の電力消費者、さらには原発依存の経営陣に対して疑問を感じている北電社員も含め、多くの人たちの理解を得られる訴訟だと考えている。
また、金沢訴訟が結審の見通し不透明な中、富山訴訟は訴訟の内容や性格上、規制委員会の判断待ちといった理屈は成り立たない。今後は金沢訴訟で引き続き志賀原発の危険性と早期の結審を訴えつつ、富山訴訟では経営陣の経営方針を幅広く問うという2本柱の運動方針の下、早期の廃炉の実現を目指していくことになる。
さらには、この1年間の全国の原発訴訟を見ると差止め判決はなく、脱原発訴訟は若干足踏み状態にあるが、今回の株主による差止め訴訟は全国の脱原発訴訟にも一石を投じることになるのではないか。
このような諸々の意義がある富山訴訟は、志賀(能登)原発52年の歴史、言い変えれば反対運動52年の歴史の中でも新たな1ページを加える新たな取り組みとなる。
中央は富山訴訟の原告団長に就任した和田廣治さん。長年「北陸電力と共に脱原発をすすめる株主の会」のメンバーとして活動し、株主総会でも志賀原発の廃炉などを提案(株主提案権を行使)し、経営陣を追及してきた。提訴後の記者会見で和田さんは、株主総会で株主からの質問にまともに答えようとすらせず説明責任をはたさない経営陣を厳しく批判し、北電本社のお膝下の富山地裁で提訴する意義の大きさを語った。
この日の提訴を地元富山新聞は社会面のトップ、写真入りで大きく報じた。
来週6月26日には北陸電力の株主総会が控えている。
この提訴に対する経営陣の対応についても当然質問が出ることだろう。
司法で志賀原発を止める取り組みは、金沢訴訟と富山訴訟で両面作戦でさらに強化していくことになる。
活断層の上にある志賀原発は一日も早く廃炉にしなければならない。
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