教育総研で川北町教育委員会を視察。
自治体消滅論で多くの自治体が大騒ぎする中、川北町は6,283人(9月1日現在)と県内最小の人口ながらも県内で唯一2040年の人口が増加すると試算され、さらに若年層女性人口は15.8%と全国1位の増加率が推計されている町だ。
高齢化率が県内1位で、過疎化・少子高齢化が進む珠洲市とは対極にあるといっていいだろう。
川北町は国道8号線や県管理の金沢山側環状道路が通り、金沢市や小松市への通勤の便がいいことに加え、町内にある川は1級河川の手取川、海に面していないので港や漁港はなく護岸工事も必要ない。山もないので急傾斜地の工事などもない。早々と農村集落排水事業を終えて下水道は整備されていてる。社会基盤整備の負担は少ない。そこに加えて地の利を最大限に生かして企業誘致にも積極的に取り組み、ジャパンディスプレイ(旧東芝モバイルディスプレイ)やパナソニック環境エンジニアリング(旧松下電器産業)などの企業誘致を実現。財政は良好で、平成の大合併も拒否して単独町政を貫き、町政の柱として子育て環境の充実や教育・福祉に優しい町を前面に掲げている。
教育行政の手厚さは珠洲と比較すると羨ましい限り。
学校の町独自の人事配置として学校図書館司書は中学1校、小学校3校で3人(うち正規1名)を配置、理科支援員は2名、外国語活動事業として外部委託2名、そして珠洲市が配置の必要性を否定し続けるIT支援員も外部委託で入れている。
ハード面でも普通教室、特別教室の空調設備工事を終え、耐震も非構造部材の工事も今年度で終える予定だ。
違いは鮮明。
そんな川北町だが町内にある3つの小学校は129人、172人、252人という規模だが地域で子どもたちを育てていくという方針を前面に打ち出し、統合する予定はないとのこと。さらに給食も全校自校方式を維持している。この辺りは珠洲と同じ方向を向く。
教育に重点を置き、子育て環境の充実で人を呼び込む取り組みは大いに学ばなければならない。
もう一つ、川北町教委の今日の説明で驚いたのは、学力向上の取り組みをほとんど語らなかったということ(成績自体は県平均を大きく上回っているそうだが)。
この4年間、あちこちの教育委員会を回って来たが、ほとんどの教委は、真っ先に我がまちの学力向上の取り組みを力説する。
川北町教委が強調したのは体験重視の教育だった。
教育行政の役割は、先に紹介したようなハード、ソフトにわたる教育条件の整備であって、過去問を繰り返し解くような受験勉強を強調するようでは情けない。本来やるべきことをやって、結果として子どもたちの学ぶ力をつけていくことが基本であり、教委はじめ他のすべての教委が学ぶべき点だ。
教委からの説明と質疑を終え、役場庁舎や文化センターのすぐ近くにある多目的室内運動場であるサンアリーナ川北を視察。
雨が降っても雪が降っても大丈夫、おまけに日焼けの心配もないということで、午前中はテニスをする奥様方でいつもいっぱいとのこと。
いずれにしても、自治体の規模や内情が大きく違っても、学ぶべきことがたくさんあると実感した視察だった。
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