ブログ仙岩

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邂逅こそ人生の重大事

2016-01-11 09:37:25 | エッセイ
 今日11日は祝日成人の日、そして震災4年10か月、来春の帰還を目指す富岡、大熊、浪江、飯館が・・・・。

 亀井勝一郎「愛の無常について」、生まれ変わるということを私は人間の根本条件としております。人間は母の胎内から生まれたというだけでは、未だ人間には成らない。普通に言うこの誕生は、動物においてもそうなのであって、なんら人間の特色とならないのであります。人間が人間に成るためには、一生のうちでも、幾度か生まれ変わらねばなりませぬ。人間として「生まれる」ということは「生まれ変わる」ということです。そしてその最初の徴候が即ち青春時代で、この時期に、はじめて「我」を自覚し、自発的に考えることを始めます。・・・
 無数の疑問を考えるとき、感情に揺り動かされ、希望と不安、優越感と劣等感、愛と憎しみ、成功と挫折から我を自覚し、薄れて孤独に出会い考え始めます。・・・
 
「人生には様々の不思議がありますが、私は考え、迷い、一念形成の途上における邂逅を最も重視するのです。いついかなる時、いかなる偶然によって、誰とであったか。そこでどんな影響をうけ、どんな友情が、あるいは恋愛が成立したか。そういう経験をもつ人は、ふりかえって運命の不思議に驚くでありましょう。それによって一生が決定する場合も少なくない。邂逅こそ人生の重大事であります」・・・

 昨日福島県の39市町村で成人式を実施、今朝の新聞をにぎわせている。トップ頁の楢葉町では5年ぶりの成人式で、中学3年生で震災に会い、順天堂大2年野木さんが「様々な経験をした私たちだからこそできることを模索し、町とともに一歩ずつ前進していく」と述べた。テレビでは母と妹を亡くし、晴れ姿で育ての親に感謝の手紙を渡し、仏壇の母と妹に負けずに生きていく決意を述べていた姿に涙が出た。

 人生の生まれ変わりの成人式、5年ぶりの邂逅の人もおられよう。希望を胸に大人の仲間入りをしてほしい。