2月末の28日、16時50分波照間港を発ち石垣港に向かう。船は来た時と同様にエンジン音を轟かせ、ガタピシ音をさせて疾駆した。時折、後方から飛沫が舞ってきた。予定どおり、18時前に石垣港に入った。これまでは上々の経過と云えた。
さて、石垣港からホテルを取っている竹富島へ戻ろう・・・と、チケット売り場へ。なっなんと、連絡の船は既に最終便が発っていたのだ。訊くと、17:30分が最終であった。時刻表は見ていたが、午後の7時30分まであると勘違いをしていた訳だ。
これじゃ島に帰りようがない。諦めてホテルに連絡をし、晩飯の不要と帰れない旨を伝えた。すると、港の近くに系列のホテルが在るとのこと。これからホテルを探すのも面倒と、其処へ予約を入れてもらった。これじゃ波照間島に泊まっても同じようなものと、思いがちだがそうは簡単にいかない。と云うのも、海が荒れれば船が止まる。よしんば動いたとしても、翌日に石垣港に戻れるのは10時頃となる。遅くなるので、その日の行動が立ちずらい。
波照間へは、一日三往復の便しかない。いや飛行機便が石垣との間にあるはずだが、状況を把握していない。費用の問題も?
兎も角この日は石垣島泊だ。明日の行動予定を立てるべく、西表島への便や観光コースを確認する。と、朝、8時発で西表・大原港に向い、マングローブの仲間川をクルーズ、そこから由布島へと水牛車に乗って渡る「朝得コース」と云うのがあった。これだと、午後の13:30には石垣港に戻れ、市内を廻る時間も取れる。このコースを申し込むことにした。
案内所でコースの空き状況を訊く。と、「確約はできないが申し込は受けます。明朝の7時40分までに来てください」と、これまた心もとない話だった。今更どうしょうもない、明日明日の風さと、ホテルへ向かった。渡された鍵の部屋は、竹富島のホテルとは大違いで、これまで泊まったビジネスホテルでも最下位のクラスだった。
文句は言えない、5500円で朝食付だ。それに港に近いので明日の朝が心配ない。狭いバスだが、汐っ気を取るためゆっくりと温まった。肌寒いくらいの気温になっていたのだ。風呂の後は飯だと、外へ出た。波照間では飯を食いそびれ、な~んもないとこだったからね。
この食事&一杯やれるそうな店を探すのにひと苦労する。一人だかねぇ~、大きな店だと肩身が狭い。手頃な店を見付けて入ると、満席。遠くまで足を延ばすほどの気もない。結局ホテルの前に在った「ワンコイン食堂」(ラーメン屋のようなとこだった)と云う二階にある店に入った。
八重山ソバのハーフに、摘みは餃子と三点セットの小鉢。オリオンビールと泡盛二種、〆て4100円也。黒真珠という泡盛、度数43°が美味かったよ!
以上で、石垣島の夜は更けていった。しずかに閑に、と言いたい処だが。通りを隔てた向こう側に飲み屋が何軒かあった。ここに出入りの客の声が響いてくる。五階の部屋まで・・・・。深夜まで・・・。沖縄人の夜は遅いと聞いてはいたが、なんと起床した六時前までつづいたのだ。六時前「それじゃ~またね」とか言ってるんだ。元気あるよなっ!
― 西表島 1―
7:30港のチケット売り場に行き、西表島「朝得コース」なるチケット購入した。昨夕の話では、チケッの残枚数が僅かなようなことを言っていた。が、何の心配もなくチケットを渡された。8時初~13:30前に石垣港に戻る「マングローブクルーズと由布島」朝得コースと云うやつで、8900円也。
混んでいるかと思いきや、西表島・大原港に着き案内人の処に集まったのはたった7人、これに現地からマングローブ船に乗った3人の10人で直ぐに出航、といっても連絡船のような観光船。皆との右手が仲間川の河口で、緩やな川は喫水域が相当奥までつづいている。その河口からマングローブの林が、種類ごとに群落をつくってつづく。
薄日がさし、乗り合った人数も少なく、満潮と重なった穏やかな河口をゆっくりと船は遡上した。船長兼ガイドがマングローブやこの地域の植生について説明をする。落ち着いた声で、判り易い。地元出身者でなく、この土地が気にいって長く住み着いた。そんな雰囲気が漂う中年の男である。
一時間足らずの短い舟遊びと云えようか。それでものんびりとしたひと時を、十分に楽しむことができた。これはお奨めできます。我々の乗船した船は、乗客はたったの十人、前後左右と、景色を堪能できた。クルーズ船が引き返す辺りの水の色は、それまでのブルーとは異なり、土色をしていた。
我らが港に戻る時にすれ違ったクルーズ船は、どれもこれも満員。多分、旅行会社の主催するツアー客であろう。我等の、船での自由さと比べると気の毒になるほどだった。
出航した時の満潮から、徐々に汐水が引いて行く時間へと変わっている。干潮になるとクルーズ船は途中までしか遡上できないとのことだ。それでか、午後出発の「午後得コース」が全て中止になっているのは。と、合点がいった。