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展示空間または場

2010年02月08日 21時56分01秒 | 美術/絵画
展示空間または場

■ 展示空間とみなすこと
 デュシャンは1915年に工具店で購入した雪かきシャベルに、アトリエで「In
Advance of a Broken Arm」という題名をつけた。これが最初のレディメイドだ
と言われる(小田部 2009: 39)。
 作品として、自分のアトリエで『展示した』とデュシャンが思いなした(つま
り、見なした)とすれば、最初の鑑賞者はデュシャン自身であろう(あるいは、
製造物としただけで、鑑賞してはおらず、製作者にとどまったかもしれない
が)。作品として展示する物とデュシャンが考えた時点で、それはデュシャンに
よって作品と見なされた。実際に(たとえば美術家が作品を作りました、見て
ちょうだい、てな具合に)展示されるよって、それは作品だという地位を得る
(精確に言えば、制度や規約によって展示空間として見なされる場所において、
あるいは展示空間だと鑑賞者が見なした場において、或る物体が作品だと展示さ
れていると見なされるという状態が生じる)。
 既製品に対して美術家が作品として展示すること、これが美術家が作用したこ
との内容である。つまり、だれがどのように製作したかにかかわらず、作品物体
として展示すれば、それはそのような規約的了解により作品なのである。了解す
るのは鑑賞者であるから、否、それは美術作品ではないと思えば、そこまでである。
 では、作品と見なすこととはどういうことか? 多くの場合、その物体によっ
て(作者が[意図的作者が不在でもよいのだが])何らかの表現をしていると了
解(このことは制度や規約によって成立する)があり、場合によっては鑑賞者が
美的体験をすることが期待される。
 To be continued .......

■ 記述のために仮構した枠組みという構築体としての空間と、現実に諸力が作用
しているものとしての場


□ 文献
小田部胤久.2009.5.西洋美学史.xvi+247+20pp.東京大学出版会.[ISBN
9784130120586]