生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

四次元主義の絵画は存在し得るか?

2010年02月24日 11時25分57秒 | 美術/絵画
四次元主義の絵画は存在し得るか?

 荒巻義雄は、絵画の未来を考えるにあたって、「二次元から三次元へタブローは発展してきたが、……三次元につづく四次元の問題」をクリアーしておかなければならないとして、『四次元主義の哲学』に触れている。

  「普通の人間つまり三次元主義者には、物体は三次元空間に完全に現〔わ〕れている。だが、四次元主義者には、物体の時間的部分が三次元空間に現〔わ〕れているにすぎないのだ。」(荒巻 2010: 9)。
  「キュビズムの発見も、実は四次元探究の副産物と考えられる。
 日本人の場合は平面志向性が強く、三次元的パースペクティブを西洋渡来の銅版画から見つけて模倣したのは、平賀源内である。」(荒巻 2010: 9)。

 浮世絵は三次元的か。ジャポニスムとセザンヌの空間把握の関係はいかに?
 空間も時間もわれわれが採用する記述の枠組み(構築体)であり、実在するのではない。
 われわれの意識が空間も時間を錯覚することで『産み出す』 のである。そこから考えれば、そしてあえて言えば、われわれの意識は零次元だろう。だからこそ(つまり、このように表現されるメカニズムがあるとすれば)、意識は、より実在的となっているのだろう。
 見え、現われ appearance、表現、物体、、、

[A]
荒巻義雄.2010.2.四次元主義の哲学.21ACT 127号: 9.札幌時計台ギャラリー発行.

[S]
サイダー,セオドア.2001.(中山康雄監訳,小山虎・齋藤暢人・鈴木生郎訳 2007.10)四次元主義の哲学:持続と時間の存在論.x+437+25pp. 春秋社.[ISBN 9784393323137 / 3,800円+税].[Sider, Theodore. 2001. Four Dimensionalism: An Ontology of Persistence and Time.]

個体化の問題

2010年02月24日 10時43分38秒 | 生命生物生活哲学
個体化の問題

 稲垣良典『抽象と直観』の目次。
  I 序論
   第一章 霊魂論の崩壊と認識理論の変容
   第二章 トマスの霊魂論ーー自己認識の問題
   第三章 「オッカムの剃刀」ーー中世後期の精神的風土
  II 本論
   第四章 認識におけるスペエキスの役割について
   第五章 観念、スペキエス、ハビトゥス
   第六章 抽象と直観
   第七章 オッカムにおける直観的認識の問題
   第八章 学知の対象について
   第九章 個体における存在と本質
   第十章 「もの」と「記号」ーーオッカムの個体主義についての一考察
   第十一章 普遍と個体ーー個体化の原理について
  III 結語ーー知性的認識の問題

  「種的本性を構成する原理のうち、形相は種的同一性の根源であるから、残るところ質料をもって個体化の根源とするほかないことになる。しかし、質料だけでは単なる可能性であり、数的な区別ないし分割の根源とはなりえないところから「量的に指定された質料」なるものが個体化の根源として措定されたのであった。」(稲垣 1990: 235)。

[I]
稲垣良典.1990.2 .抽象と直観ーー中世後期認識理論の研究ーー.viii+343+13 pp.創文社.[ISBN-10 4423100851 / 5,500円+税].