Helen Merrill In Tokyo/Helen Merrill
(KING SKJ5, reissue)
(KING SKJ5, reissue)
外人アーチストの日本録音というのは昨今は珍しくもないですが、1960年代前半に於いてはかなり珍しいことだったのではないかと想像する。ライブをそのまま録音したケースはJM、マイルスなどいくつかありますが、セッティングされたスタジオ録音は結構まれだったのではないかと想像します。本日は「ニューヨークのため息」の愛称を持つヘレン・メリルの東京録音をアップいたします。ライナーノートによると制作スタッフは2度目の来日にあわせて当時ローマにいたヘレンと手紙でやりとりしたというから大変だったであろうことは想像に難くないですね。当時は手紙、80年代にはFAX, 今はemailと事前の調整も随分楽になったでしょうね。
さて、このヘレンのアルバム。伴奏者は全て日本人。前田憲夫のアレンジで猪俣猛とウェストライナーズがバックを努めます。メンバーは猪俣猛(ds)、鈴木重夫(as, cl)、原田忠幸(bs、bcl)、仲野彰(tp)、前田憲男(p、celeste)、滝本達朗(b)のウェストライナーズに稲垣次郎(ts)が加わる構成です。日本制作らしい選曲は臭さは否めませんが、A面は「いつか王子様が」、「It Never Entered My Mind」、「Teach Me Tonight」、B面の「I'm A Fool To Want You」、「My Favorite Things」、そして最後に「You'd Be So Nice To Come Home To」が配されています。もちろんハイライトは「You'd Be So Nice~」ですが、「It Never Entered My Mind」、「I'm A Fool To Want You」にみせるバラードシンギングは彼女の独壇場です。その後もたびたび来日し、90年代に一度生で聴いたがレコードで聴けるような感動は何故か薄かった記憶が残っています。
日本庭園をバックに赤のツーピースをまとったヘレンのカバーも日本らしくっていいですね。所有盤は、wave jazz classicsとして当時のようなペラジャケで再発したものです。分厚いビニルがいいですね。