Viva Vaughan/Sarah Vaughan
(Mercury SFX-10523 jp.reissue)
晩年のパブロ時代には、積極的にラテンサウンドを取り入れ「アイラヴブラジル」や「コパカバーナ」などラテンフレイバー溢れる作品を発表していますが、ボサノバ絶頂期の65年録音の“VIVA Vaughan"こそ、彼女のラテンリズムへの挑戦の第一弾であったのではないでしょうか。本日はこのアルバムにスポットを当ててみますね。
まだ全曲がボッサ曲というところまでいっていないのが、ボッサのアメリカでの人気が急騰していたにも関わらず、アメリカ人がボッサを完全に消化できておらずサラにしても全曲ボサでは行けなかったのではなどと想像してしまいます。
バッキングはベイシー楽団でも作編曲を担当したテナー奏者フランク・フォスターです。重厚なトロンボン群とフルートの軽やかなサウンドはボッサでは欠かせないですし、乾いたラテンパーカッション群との共演はこういった曲を演奏するには最高の取り合わせですよね。実際、ボッサ曲はイパネマとコルコバードだけです。他のジャズスタンダード(たとえばfascinating rhythm, shiny stockings, Avalon, tea for two, stompin' at the SAVOYなど)はラテンアレンジでやってしまうと言うやや安易なやりかたですが、サラの伸びのあるボーカルは企画関係なしなのかも知れませんね。蛇足ですが、ここで唄われるイパネマは"The Boy From Ipanema"でエラのバージョンもこれだったような・・・。"She"は"He"で唄われるバージョンです。
所有盤は日本フォノグラムがリリースした国内盤再発です。ジャズ全体がボッサへの傾倒を示した60年代中期の遺産ですね。