Fearless/Frank Foster
(Prestige 7461)
フォスターといえばサド・ジョーンズと並ぶベイシーバンドの音楽ディレクターとしてその名が知られていますよね。特に"Shiny Stocking"は彼の作品の中でも最も知られた曲で多くのジャズメンがとりあげています。当時のベイシーバンドの演奏で聴くとゴムまりのように伸縮自在なブラスセクションのテーマが実に気持ちいい佳曲です。ベイシー以外のバンドでもアレンジャーとしての才能を発揮したことは衆知の事実ですが,何故かプレイヤーとしては余り語られることがないように思います。ブルーノートが10インチ盤でリリースしたように既に実力はその時点で認められた筈なのにプレイヤーとしてのリーダー盤には余り恵まれていたとは言えません。以前にアップしたARGO盤などは快適なスウィング感が得られる好盤ですが、あまりめぼしい物がないのも事実です。本日は,泥沼プレステッジ時代から,楽想的には当時のレーベル御得意のコテコテ感は少ないですが,ジャズロック、ファンキー,モード,ラテンなど60年代中期という時代を反映して多彩なスタイルで作成されたフォスターのアルバムをアップいたします。
メンバーはFrank Foster(ts), Virgil Jones(tp), Al Daily(p), Bob Cunningham(b), Alan Dawson(ds)のクインテットです。作編曲に才能を見せるフォスターらしく6曲中5曲がオリジナル、残りの一曲はファッツ・ウォーラーの"Jitterbug Waltz"という構成です。A-1のジャズロック調の"Raunchy Rita"から逞しいフォスターのテナープレイが聴けます。相方をつとめるVirgil Jonesのトランペットも線はやや細いですが鋭いアタックで好感が持てますね。Al Daileyのピアノもファンキーでノリノリです。オープニングにふさわしい快演ですね。B-2の"Jitterbug Waltz"もストレートな演奏でカニンガムの斬新なソロが印象的です。全編を通じて、フォスターの逞しいテナーが捉えられていますが,無名の若手のガッツある演奏が以外にいいですよ。
所有盤はブルートライデントのモノラル盤です。泥沼プレステッジによくみられるコテコテ度は低いかも知れませんが,ベイシーバンドを辞して制約がはずれたかのようなフォスターのテナープレイを満喫出来る一枚です。