Jazz'n' Samba/Milt Jackson
(impulse YP-8511-A1 jp.reissue)
ミルト・ジャクソンといえば、本来のブルースフィーリングをいかしたスィンギーでブルージーなプレイが魅力ですが,64年にこのミルトまでもがボサに手を染めてしまったアルバムを制作しています。63年のゲッツ/ジルベルトのグラミー受賞がジャズ界に与えた影響がいかに絶大であったかを物語る事実と言えるかも知れません。タイトルもその名のとおり”JAZZ'N' SAMBA"で、インパルス移籍第2弾にあたります。
構成的にはA面には寛いだ4ビートジャズを収録し,B面がの問題のボササイドとなります。メンバーを各面で異なりA面では、Milt Jackson(vib), Jimmy Heath(ts), Tommy Flanagan(p), Richard Davis(b), Connie Kay(ds)のクインテット構成,B面はトミフラのかわりにBarry Galbraith, Howard Collinsのギターを加えた編成で,Lilian Clark(B-1, B-4), George E Ross(B-2)のボーカルをfeatureした構成になっています。A面では冒頭の“Blues For Juanita"が出色です。トミフラのピアノからミルトとヒースのユニゾンで提示されるテーマを聴くだけで思わず身体を揺さぶられてしまいます。ヒースの力強いテナーの魅力を再認識出来るトラックですね。B面もトップのタイトル曲が印象的です。ちょっと聴けばボサファンには尾馴染みのメロディラインの美しさに気付く筈です。そうです、ジョビンの"So Danco Samba"です。ヒースのサックスはややブーミーでラウドですがゲッツばりに聞こえなかなか味わい深いですよね。けだるいボーカルはサイ・オリバーのワイフ,リリアンです。ラテンリズムがお約束のポーターの"I Love You"のミルトのバラードプレイの上手さはさすがとしか言いようがありませんね。
所有盤は国内盤再発です。64年のジャズ事情を記録したミルトとしても貴重なボッサアルバムですね。