心の免疫力~書とことばから

もっと暮らしに書やARTを~
雲のように水のように あっけらかんと自在に生きるヒントを
求めて~ by 沙於里

デジタル時代の書の可能性

2010-01-25 | 書の話
                            ‘93の作品 (半切)

今日は、先週土曜日にMさんと出かけた宮村弦氏の個展と、書展のレポート。
まずは宮村氏の個展、ミッドタウンの中のSferaという生活雑貨のお店の中でした。

宮村氏のHPにあった
「戦後の現代書は文字の造形性や意味性との関わり合い大きな混沌を抱え込んだ」という
ことばに反応し、その先にあった「読む抽象」がなんだか気になり。

店内に入ると、お店のかわいい女性が親切に解説をして下さり
なるほど~と唸る唸る。。。

HPの文字を読んでもよくわからなかったのだけど、つまりこういうことだそうで。

下の画像はパンフレットから拝借。載せちゃいけなかったのかな? 小さめに。。
関係者の方・・もしNGだったらご一報下さいまし 

これは右から左へ、あ行、か行・・の50音になっているドット(点)の一覧になっていて
それぞれに微妙に違う点は、暗号のような視覚的言語となっていて。
一覧がHPにあったのでこちらをクリック→ドットコード



そしてこの点を、上下左右、ひとつの空間の中で縦横無尽に再構築することによって
「読む抽象」作品となっているわけで。

たとえば、宮村氏の HP にある2つの点からなる作品をこの一覧で解読すると
上のが「し」下のが「よ」で、タイトルは「書」という具合に。

これらは、もう一人の作家でもある、デザイナーの川上俊氏とのコラボ作品となっていて
高画質インクジェット・アートペーパーによるグラフィックアート作品。

なので、一つの言葉もこの体系化された一覧から点の組合わせ方も無限なわけ。
見る側にしたらその暗号を解く楽しみもあり、また時代の変化を感じつつ
新しい試みとしてとても興味深く、楽しく拝見 

京都での会場の写真がアップされているので、こちらもどうぞ→ HP


お店の中で、この一覧と作品を交互に見ながら
えっと、これは「し」これが「ろ」・・と、暗号を解いていたら
横でMさんが「ねぇ、これがタイトルじゃない?」とあっさり読み上げ 

デジタルの時代の現代書の可能性の探求は、若き作家さんに委ねつつ
アナログな私ははてさて、どこへ向かうのやら。
ま、一歩一歩、ぼちぼちと行くでありんす 

今日の写真は、以前一度載せたことあるけど‘93某書展にもぐりで?出品した作品。
当時はまっていたローラーに油絵の具で書いたもの。
甲骨文字を自分なりにアレンジして。図録からだから画像悪いけど。

・・・と長くなったので、もうひとつの書展の様子はまた明日ってことで。


【訂正】

早速、宮村氏よりコメントを頂きまして。。

>これらは、もう一人の作家でもある、デザイナーの川上俊氏とのコラボ作品と
なっていて高画質インクジェット・アートペーパーによるグラフィックアート作品。
というところ・・

「今回のミッドタウンでは『2010』というコラボ作品を1点展示をしていますが
その他のグラフィック作品については川上さんの手は加わっていません」
とのことです。

宮村さん、勝手にご紹介してすみませんでした・・
そしてありがとうございました。 益々のご活躍をお祈りしています!


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抽象か具象か

2010-01-23 | 書の話
                          甲骨文 「無」(2尺×6尺 1/2)


今年5月にある蘭秀会展の作品用に書いた参考作品。

なんか久々に、こんなのが書きたくなって。
馬のしっぽの毛の大き目の長鋒で。
 
これは抽象か具象か・・
書いているときは文字を意識して書いているけど
見た人が一画一画、解読できるかと考えると抽象なのか。。

実はそんな理屈(言い訳)はどうでもよくて、
この作品から、どんなものを伝えられるか、伝わるか・・なわけで。

ぼんやり眺めながら・・
やっぱりどこかで師の書くときの姿勢、呼吸、間合い、運筆・・
それらは体のどこかに沁み込んでいるのかなぁ・・なんて。。

もちろん全然到底全く・・足元にも及ばないけれど  

先日の「日々是好日」を見て
「なんだ!あのミミズが這ったような線は・・」と某氏に言われたので
これで・・ちょっと汚名挽回とはいきませぬかね 

はい。まだまだ。もっともっと。

しっかり勉強せい!と、今も益々お元気にご活躍されておられる
86歳になられる師の声も、遠くどこからか聞こえてきたところで
今日は先日もご紹介した、宮村弦氏の個展に行ってきます。

1月31日まで東京はミッドタウンにて開催中。
同じく、京都SferaExhibition でも31日まで開催中。

詳細はこちらから→ 宮村弦氏 HP


あ、それから明日24日まで、東京銀座画廊・美術館にて
「第41回 正筆会菁華書作展」も開催中。(仮名の黒田賢一氏が会長)



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探している線と空間の世界は

2010-01-19 | 書の話
                          (半紙の高さをちょっと切って)

日々是好日

先日の書道教室でのお題のひとつ。
こんな風な構図で書いてこられた方の作品を参考に。

斜めに半円に書くのはむずかしいもので。
全部をきちんと楷書風に、それぞれの文字を正方形に書いてしまうと
紙面を斜め切りにしてしまうだけで、余白の響きもなくなってしまうような。

なので、一字一字、直線、曲線、墨量、運筆の遅速、
文字の視線のバランスを見ながら、紙面にリズムを与えるようにと書いてみる。

「是」の文字は、思い切り足を伸ばして右下半分の余白に食い込むことで
余白に動きと余韻を持たせた・・つもりなのだけど、どないでっしゃろ。。

書作品を見ていて、私がいいなぁって感じるものは、
まずは文字の中の「線」に魅力があるかないか
そして同じくらいに重要なのは空間、余白の美しさ、響き・・かな 


それぞれの人の心に響いてくる線と空間の世界があるんだと思う。

私が探している線と空間の世界は・・
時に、おおらかであっけらかんとした、自由で伸びやかなもの。
時に、無骨で無器用で拙なるもの。

いつか・・丸裸の、開放された自分らしい書が書けたらしあわせ 


時々お越し下さっている大福うさぎさんのブログ→書らんだむ を
ブックマークに加えさせて頂きました 

うさぎさんのところでは、楽しく真面目に書に取り組んでいらっしゃる方が
たくさんいらして驚き、勉強しなきゃ・・と、刺激を頂いています。
是非お立ち寄り下さいませ

うさぎさん・・ご紹介が遅くなりましたが、これからもどうぞよろしくです
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書三昧の休日

2010-01-12 | 書の話
                         道在邇(半切・部分)

この連休、初日は書展巡り、昨日と一昨日はその刺激があるうちに・・と
墨磨り機の音を聞きながら、食事する以外ずっと書いていた。

五月にある書道教室の展覧会の参考作品を、あさってのお稽古日に渡す予定ゆえ。
あれこれ試行錯誤しつつ、1枚書いてはもう1枚、また1枚・・と。

今は腰が割れそう。。

本当はお手本なんて・・って思う。
だから気持ち的には「参考作品」ってことで。

それぞれの方の希望も伺いつつ、私なりに書体、書風、紙の大きさも色々に。
参考作品はひとつのヒントで、そこからその人らしい作品になればなぁって思う。

教室ではいよいよ、年に一度の展覧会に向けた作品作りが始まります。
それぞれに思いを込めて、お互い最後まで頑張りませう 

今年は色々と変化の年になれそうな 
がんばります
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甲骨文字のように

2009-11-13 | 書の話
                           (はがき)
 
甲骨文字による「歩」
上が右足、下が左足をあらわす。

そう言われてみると、なるほど~と。
甲骨文字は一番古い文字であるのに、デザイン的で洗練されているような。

気どりや言い訳や、隠し事のない、シンプルな姿だからかな 

あぁ・・もっとシンプルになりたいなぁ 
甲骨文字のように。

右足と左足、「そのまんま」を形にしただけのその姿は
存在の根源を、こんなにも美しく表現するものなんだなぁ・・と、ふと。

今まで、何気なく書いていた甲骨文字に
今日はなんだか深遠なものを感じたとさ 

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曹全碑 習作

2009-10-13 | 書の話
                          (半紙)


久々に曹全碑を広げてみて、いいなぁ・・と筆をとるも・・
線の切れ味も悪いなぁ 

それでもとにかく半紙に6文字づつ、書いていく。
一発勝負で、書き直しはしないと決めて。

まずは半紙に4文字、それから6文字、8文字と、組み合わせも変えることで
空間の捉え方や、文字の生かし方の勉強になると、よく師はおっしゃっておられた。

原本の「廉」の左はらい、「張」という文字の弓へんのニヒルな表情
「属」のとぼけた造形がなんとも興味深く。

この前TVで、毎日スクワットをたった10回だけど続けることで、
体調が良くなったという方がいて。

たぶんなんでもそうだと思うけど
毎日コツコツと少しづつでも繰り返すことが大事なんでしょうね







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甲骨文字はおもしろい

2009-10-07 | 書の話
                     古文(甲骨文)の「異」字



文字の調べものをしていて、なんじゃこの姿~といとおしくなって書いてみる。

原本はこれ↓


この文字が生まれた頃、異星人がいたのか?と思わせるような造形。
家にある、学研の「小学生の絵でみる漢字字典」(1989年)によると・・



と、説明されているけど、いまいちピンのこないなぁ・・・

それにしても「異」の甲骨文字ったら、バルタン星人みたい。
雄叫びをあげてるように見えるのは私だけかしらん

甲骨文字の歴史を学ぶのも楽しいだろうなぁ。
いやほんと・・甲骨文字はおもしろい 


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龍門造像臨書三種

2009-10-06 | 書の話
                   龍門造像「馬生妻造釈迦象紀」一節


Mちゃんと勉強中の造像。玄美名品選別集の中のひとつ。
力強く、素直な線を心がけつつ、造形のおもしろさを臨書できたらな、と。
硬い岩に一見無造作に彫られた文字は、亡くなった方への素朴で真摯な思いが
文字に表れているような。


↑原本

原本を眺めていると、いいなぁ・・としみじみ。
素直で大らかで、スケールの大きい伸びやかな造形に
こんな心でいたいなぁって思えてくる 

なのに、時々こんな私もいる。
臨書しながら、どんどん変化してだんだんこんな感じに。。
どちらも同じところを臨書。「清信女馬」



はてさて、ほんとの私はどれなのかしらん。
あ、あれもこれも・・が、私なのさね。
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龍門小品造像

2009-09-15 | 書の話
                         半紙×2枚



以前職場でお仲間だったMちゃんが、書道を習いたいんだけど・・と相談があり。
家に来ていろんな古典を見たり、話を聞いてみて、龍門造像に興味を持ったようで。

私も久々の造像。
きちんとした楷書に近い造像よりも、龍門小品造像のような
力強くて生き生きとしたのが好き。



↑原本

改めて原本に向かい、以前書いて頂いた師のお手本も並べてしばし眺める。
師の奥行き、情味、品格には、一生かかっても及ばないなぁとため息つきつつ
何度も臨書するも、納得いかず。。

Mちゃんのお蔭で、また造像に向き合う時間を頂けて感謝。



龍門臨書

龍門臨書その2


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Tapies(タピエス)にはまってた頃

2009-08-29 | 書の話
                    「being」  45cm×90cm



スペインの現代芸術家Antoni Tapies (アントニ・タピエス)にはまっていた時期がある。
タピエスは20世紀の現代美術の巨匠の一人とも。
日本文化にも精通していて、禅、俳句、書とも関わりのある人。


以前、書の大きな展覧会を観にドイツを訪れた時、
何となくケルンのルートヴィヒ美術館に立ち寄り、
そこの売店にあった現代アートの雑誌にたまたま載っていて。

なんていうか、ドキドキしてきて。
何がどう好きなのか、ことばではうまく説明できないけど
たぶん私の中の何かに共鳴したわけで。
どこか書的で、禅の世界を感じるからかな。

タピエスの影響を受けて、その頃書きまくった抽象がたくさん出てきた。
たぶん100枚位ある。(だから部屋は物に溢れてる・・捨てるか・・)

一度くらい日の目を浴びてもいいかなと思って、載せてみる。

それよりも、タピエスのYou tube見つけて、今日はちょっと興奮ぎみ。
どの作品にも瞬間胸キュン。

ほとんど観客もいない中やってるパフォーマンスがまた、いいね~。














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