
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
茨木のり子の詩「自分の感性くらい」
若かりし頃読んだこの詩を今読むと、どれもが、ぐさりずりし。
今日はこの曲♬
Nina Simone - Feeling Good
茨木のり子自身が自分を叱咤激励しているのかしら、なんてことも思ったりします。
しなやかな感受性を守ること、難しいです。
今、世界が混乱、鬱々としたところがある日々で、激を飛ばされた気がして、はっとさせられました。
この詩は茂木のり子さんが51歳の頃の代表作で、戦争で芸術、文化、娯楽といったものが失われたことへの思いを綴られたものだそうです。
今は背景にコロナがあってやはり芸術、文化、娯楽が危機に瀕していますからこの詩には頭をカチ割られるんでしょうね。
私自身、世代的にも親の介護があったり、自分の体力気力の減退を感じたり、人生を振り返ることが増えてきて、ため息ついたり、言い訳考えたりすることもあったりして、そんな自分にガツンともらいました(^^)
茨木のり子がこの詩を書いたのが51歳だそうですね。想いが煮えたぎっているような詩を51歳で書いた。奇しくもぼくも51歳です。嘆いている場合じゃありませんね。
いやはや、ほんと、嘆いている場合じゃありませんね。この詩の一言一句、わたしに向けられているような気がしています。
できないことの言い訳を探す暇があったら、前へ進め~ですね。