「沖縄旅行記は2日目から始まる(その2)」のつづきです。
沖縄県立美術館では4月30日の記事「梅雨の沖縄旅行・2日目のあらすじ」で書いたように「田中一村展」が、また、沖縄県立博物館では企画展「紅型 BINGATA 琉球王朝のいろとかたち」が開催されていました。
どちらの特別展・企画展も、まさに 沖縄で鑑賞するにうってつけの展覧会でした。
まず、「2日目のあらすじ」でも書いた「田中一村展」ですが、私、田中一村という画家のことをまったく知らなかったということを痛感しました。
奄美大島で描かれた一連の作品をTVや雑誌で観た印象では、アンリ・ルソー風の油彩画かというもの。
フライヤーや図録の表紙に使われている一村の代表作「不喰芋と蘇鉄(クワズイモとソテツ)」の雰囲気、ルソーの「蛇使いの女」とどことなく似ていませんか?
ところが一村さん、れっきとした日本画家。
若い頃は南画を描いていらしたそうで、初期の作品として、いかにも床の間にふさわしいものが展示されていました。奄美に移住してからの作品とはまったく作風が違います。
展覧会は、
第1章 若き天才画家・米邨 1916-1930 (8-22歳)
第2章 新しい表現を求めて 1931-1957 (23-49歳)
第3章 一村が描いた奄美の自然 1958-1977 (50-69歳)
の3部構成で、一村の作風の変化を目の当たりにすることができました。
また、油彩画だと思い込んでいた奄美時代の作品も、間近に観ると確かに日本画
日本画で、これほど湿気に満ちた艶やかな作品は観たことがありませんでした。
「第2章」の23~49歳の作品を観ていると、その後、奄美の自然に魅せられて移住することは必然だったような気がします。「これこそ俺が描きたい自然だ」とね。
田中一村の作品を沖縄で観ることができて、ホント良かったと思います。
博物館での「紅型 BINGATA 琉球王朝のいろとかたち」は壮観でした
琉球王国で育まれた型紙による紅型衣装は、型染めによる表現の多様性において特筆すべき染織品です、型紙を駆使して創り出された「かたち」と鮮やかな「色」には、高い評価があります。
しかし、これらの紅型衣装は、王国が崩壊し、廃藩置県後、多くの収集家や研究者たちによってコレクションされ沖縄を離れていきました。今回の展覧では、戦前、戦後を通じて守り伝えられた作品(国宝)など、100点以上が一堂に会することになります。これまで、この規模で紅型を紹介する展覧会は、開催されておらず、紅型の美を堪能していただくとともに、これからの紅型を考える機会となることを願っています。
確かに出品目録を見ると、沖縄以外で所蔵されている作品が多い
特に、サントリー美術館、松坂屋、女子美術大学美術館、静岡市立芹沢銈介美術館辺りが所蔵する作品が目立っていました。
そんな縁があってか、「紅型 BINGATA 琉球王朝のいろとかたち」は、沖縄県立美術館(5月27日まで)の後、サントリー美術館(6月13日~7月22日)、松坂屋美術館(11月3日~11月25日)を巡回する由(このほか、大阪市立美術館(9月11日~10月21日)もあり)。
それにしても、ズラリと並んだ紅型衣装の数々の鮮やかなことといったらありませんでした。作品保護のため、照明
が絞られているにもかかわらずです。逆に、暗い会場の中で紅型衣装が光を放っているように感じられました。
私が一番気に入って、できることなら「お持ち帰り」したくなった作品は、「灰色地葦繋ぎに波笹舟若松模様衣装(沖縄県立博物館・美術館所蔵)」。
図録を買いませんでしたし(高かった
)、この作品のポストカードがなかったもので、写真を紹介できませんが、紅型には珍しくシックな作品でありました。
旅行先の博物館でのお楽しみ、常設展示は、さすがに沖縄だけあって面白かった
付け焼き刃的にこちらの本
で予習のようなことをしていただけに、展示がすんなりと入ってきました。
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沖縄の歴史と文化 (中公新書) 価格:¥ 735(税込) 発売日:1986-04 |
外間守善さんのこの本、突然「おもろそうし」なるものが登場して(外間さんは「おもろそうし」の研究で有名らしい)面食らいました
が、今回の旅行にあたり、大変に参考になりました。お薦めです
ただ、自然科学系の展示を除いて写真撮影不可だったのが残念だった
ことと、先の大戦末期の沖縄戦に関する展示が手薄だったのが不思議でした(後者の謎は旅行最終日になんとなく解けました)。
でも、沖縄らしく、国立科学博物館以来(記事はこちら)にアマミノクロウサギの剥製を見られたこととか、
イリオモテヤマネコの剥製を見られたこととか、
亀甲墓の構造模型を見られたりと、
かなり収穫の多い見学でありました
このように、かなり満足して沖縄県立博物館・美術館を出た私でしたが、ここで衝撃的な事実が明らかになりました。
「2日目のあらすじ」で書いた「行程」に、「ドコモショップ」があったことに気づいた方はいらっしゃるでしょうか?
沖縄県立博物館・美術館の外に出て一服しながら携帯
を取り出しますと、、、、
携帯の裏蓋がなくなってる
今年1月の大阪遠征の時にもなくし(記事はこちら)、無事に入手した補修パーツを使い始めて3ヶ月しか経っていないというのに、またなくした
というわけで、とりあえず、自宅への配送をお願いしようと、ドコモショップを探しました、、、っと、探すまでもなく、と斜向かいにドコモショップがあるではありませんか
ところが、お店に行ってみると、案内係のお兄さん曰く、
お待ちのお客様が大勢いらっしゃいますので、かなりお待ちいただくことになると思います
とな
たかが携帯の裏蓋のために貴重な時間を費やすのはもったいない
ですから、この店に頼むのはやめて、次の行程に移ったのでした。
そして、国際通りで昼食と買い物
をし、携帯で調べた次なるドコモショップにチャレンジ
こちらとしては、4年前の機種ですから、前回同様、注文だけして、ブツは自宅に配送してもらうつもりでした。
ところが、このお店に裏蓋の在庫があったのですよ
何という幸運でしょうか
例によってポイントでお支払いし、申し訳ないことにクリーニングクロスまでいただいて、気分良く、お店からほど近いレンタカー屋さんへと向かいました。
ということで、「その4」へと続きます。
2012/05/09 沖縄旅行記は2日目から始まる(その4)