「(秋田)県南小旅行記(その11)」のつづき、遂に県南旅行記の最終回です。
秋田県横手市増田の山吉肥料店の内蔵(うちぐら)のお話から再開します。それにしても、西馬音内盆踊りの見物がてらの県南旅行から早くも1か月か…時の流れが早い
…
さて、増田の内蔵のなかでは最も新しい(それでも築80年)山吉肥料店の内蔵は、増田の内蔵の集大成
といわれているだけあって、、細かいところまで手がこんでいます。
鞘飾り(蔵を飾る木製の囲い)の細かい細工と美しい色合い、黒漆喰の細工と輝き、、、素晴らしい
山吉家にとってこの内蔵は、冠婚葬祭といった一家にとって重要な会場として使われたいたのだとか。いくら内部に立派
なお座敷が設えられているとしても、蔵の中で結納とかお通夜とかなんて、奇妙な感じ…
その謎は後回しにしまして、内蔵を覆う上屋の小屋組を見上げると、
トラス構造になっているところが、やはり新しい時代の建築だということが察せられます。
山吉肥料店の上屋は、表通りの中七日町通りから41.4mもの奥行きがあるのですが、上屋を抜けると、庭があり、
庭に面して、商品の保管などに使っていたという外蔵と、来客用の離れ(それでも普通の一軒家
以上のデカさ
)が立っていました
外蔵に入らせていただくと、
気づくのは、というか、一歩外蔵の中に足を踏み入れた瞬間に、外気温との温度差に驚かされます
。
汗をふきふき街歩き
するような暑い日
だったというのに、外蔵の中は、ひんやりとして気持ちいい
そうか、土蔵は断熱性能が際だっているんだ
これで、増田の人たちが蔵の中に座敷を造ったこと、山吉家が内蔵の座敷を家族の重要な行事の開催場所にしていた理由の一つが理解
できました。
エアコンのない時代、冬も夏
も、座敷蔵は家の中で最も快適な場所
だったということですか
ところで、この山吉家のお屋敷は、中七日町通りに面した入口から、裏通りに面した裏門までは、なんとなんと100mもあります
間口10.4mに奥行き100mと、極めて細長い敷地なのは、この山吉肥料店に限った話ではなく、「その10」に載せたマップを見てもわかるとおり、増田の中七日町通りに面した家屋のほとんどが(間口に差はあっても)こんな敷地に立っています。
最後に拝見した内蔵のある建物、観光物産センター「蔵の駅」として活躍している旧石平金物店の間取は、こんな風になっていまして、
表通り側から、店舗⇒事務所(?)⇒居住区域⇒水屋⇒内蔵と並ぶ構造は、増田の商家の一般的な構造だとか。
パッと見、地味なメインストリートの眺めの増田の街、奥は深い
私にものごころがついた頃には、「おいしいリンゴが採れるところ」のイメージしかなかった増田ですが、かつては県南の商業の中心地でもあったことを実感できた気がします。
そして、現在の北都銀行につながる旧羽後銀行がこの地に創業した理由も理解できました。
いやはや勉強になりました。
増田の内蔵を見学したあと、昼食として、佐藤養助商店で秋田が誇るA級グルメ「稲庭うどん」を食しました。
考えてみれば、初日に十文字ラーメンと西馬音内の冷やがけソバを食べ、2日目の昼食に稲庭うどんを食べました。これで横手焼きそばを食べれば、県南の名物麺類をコンプでしたな…
ということで、これにて県南小旅行を終え、秋田市へとクルマを走らせたのでありました。
横手のかまくらとか大曲の花火ほど有名ではない「名物」を巡った県南小旅行でしたけれど、目ウロコの連発
だったし、旧友たち
との旅行になって、ホント、楽しかった
めでたし、めでたし。