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『松下竜一未刊行著作集5/平和・反原発の方向』、11月に読了。梶原得三郎・新木安利編。海鳥社。2009年6月第1刷発行。
『草の根通信』(p.78、159、223)。ガサ入れという警察の嫌がらせで購読者が減るどころか、ますます増加。警察は地団駄でしょうね。
盟友得さん(p.82、148、219、297、310、324、373、387)。『明神の小さな海岸にて』、梶原和嘉子さんとの問答(p.297)。
〝殺人〟は絶対に否定されなければならない・・・でも彼らがなぜ「その闘争」をやらなければならないと思ったのか、には耳を傾ける必要がある。『狼煙を見よ ―――東アジア反日武装戦線狼部隊』。東アジア反日武装戦線〈狼〉の大道寺将司さん(p.159、163、183、186、194、199、209、218、221,226、233、242)。
オウム・麻原氏に関する森達也さんの『A3』でも感じたこと。「・・・拒絶反応だと断じざるを得ない。/・・・私は暗然とする。信頼してきた『草の根通信』の読者にしてこうなのかと思う。/一度焼きつけられた「冷酷非情の狼」という印象は消えることなく、大道寺将司という名だけで、もう拒絶反応が起きてしまうことになる。知ろうとする心を閉ざして拒絶する壁をめぐらせてしまうことほど、危険なことはないのだが」(p.160)。
反日集会での一人の若者からの質問に対して松下センセは、「・・・つい感情を昂ぶらせてしまった。/「あなたは、なんでそんな第三者的な質問をするのか。死傷者を出したことで一番苦しんでいるのは、彼らではないか。われわれは大きな不正を正すために何をしたというのか。何もしないからこそ、彼らのように重大な失敗を招くこともなかった。何もしないわれわれが、やったがゆえに死傷者を出してしまった彼らを、裁くことができるのか」」(p.162)。「そのことで彼らを無差別大量殺人者として糾弾することはたやすい。だが、時代の痛みにも気づかず、あるいは気づいても知らぬふりをしていた者が(行動しなかったがゆえに失敗しもしなかっただけのことで)、行動を起こしたがゆえに大きな失敗をしてしまったものを威丈高(いたけだか)に指弾できるだろうかという思いは、『狼煙を見よ』を書き進むにつれて私の中でつのっていった。なによりも、そのことで一番苦しみ抜いているのは獄中の〝狼〟たちなのだ。/荒井まり子は、企業爆破事件の実行犯ではない。謀議にすら関与してはいない」(p.2101)。
司法や警視庁の横暴。荒井まり子さんと田中伸尚さん(p.198、247、249)。田中さんも同件でガサ入れ、しかも、ガサ国賠裁判一審判決で不当な敗訴(p.237)。ガサ入れの無茶苦茶な令状を発布した裁判官を訴えた国賠訴訟に、「国家権力を相手の国賠裁判では、民を全面的に勝たせるほどに気骨のある裁判官はこの国の司法界には存在しないのだろう」(p.232)。「今回の一連の令状を出し続けているのが東京簡裁で、司法段階でのチェック機能が全く放棄されているとしか思えない。・・・東京簡裁の自省を求め、これ以上の令状乱発を阻みたいがためなのだ。/・・・。/『草の根通信』を受け取り拒否してきた人が一人、・・・いるが、逆に新規購読申し込みは・・・九十人にも達している。凄いとしかいいようのない勢いである。警視庁さん、くやしいでしょうな」(pp.222-223)。「・・・八年余の歳月を強いられたわけで、それ自体理不尽である。・・・/・・・。/・・・被告に二名の裁判官を特定した・・・。そもそも家宅捜査の令状を発布するのは裁判官なのだ。警視庁からの・・・令状請求を、裁判官がその段階できちんとチェックしていれば、百数十人にも及ぶ捜査令状は乱発されていなかったはずなのだ。/しかし一審を通じて、東京地裁はついに、令状を乱発した二人の裁判官を法廷に呼ばなかった。・・・。/・・・。/ちなみに、勝訴した私は十万円を貰ったかというと、それは貰えない。・・・賠償金の何倍もの出費を強いられるわけで、まことに国家権力に刃向かう民草の立つ瀬はないのである」(pp.238-239)。大赤字の勝訴(p.240)。「簡易裁判の(家宅捜査)令状請求に対する却下率は0.0六五九%、地方裁判所でも0.二七%という。・・・つまり警察の請求した令状を却下する数は限りなくゼロに近い・・・(しかも、ガサ裁判では令状を出した裁判官の罪は一切問われることはないままに終わった)」(p.253)。
田中伸尚さんらの控訴審で福島瑞穂弁護士からの要請で松下センセが意見陳述(p.245)。「大逆事件」、「横浜事件」(p.251)。
『腹腹時計』(p.218、225)。
在りし日の『朝日ジャーナル』に載った記事、「出かけようとして踏み込まれる側の論理」(pp.224-228)。伊方原発での出力調整実験反対運動に対する〝運動つぶし〟、「東京簡裁は司法サイドのチェック機能を全く放棄してしまっているとしか思えない」。
大道寺あや子さん、浴田由紀子さん、重信房子さん(p.234)。
『豆腐屋の四季』と〈いのちき〉(p.165、368)。緒形拳さん(p.171)。
大分県臼杵市の風成(かざなし)の漁村のお母さんたちの大阪セメントに対するすさまじい闘いを描いた『風成の女たち』(p.176)。そこで指摘された松下センセ自身の足元の問題が周防灘総合開発計画。
ガサ入れが結ぶ縁。日本赤軍コマンド泉水博さん(p.191、207、214、219、240、244)。『怒りていう、逃亡には非ず ―――日本赤軍コマンド泉水博の流転』。
『豆腐屋の四季』が取り持つ縁。鎌田俊彦さん(p.196)。
完全無罪判決後も無謀な追及を続ける警察。記憶の闇、甲山事件と山田悦子さん(p.257)。伊藤ルイさん(p.265)。無謀な神戸地検(p.265)。浅野健一さん(p.266)。判決前に、冤罪被害者と確信しての『文藝』に一挙掲載された長編ノンフィクション『記憶の闇 ―――甲山事件[1974←1984]』(p.268)。
遺族には申しわけないが、暴走する検察審査会(p.270)。
人殺しの練習(p.327)。日米合同軍事演習に凛と反対を唱える伊藤ルイさん(p.334、345)。
井上澄夫さん(p.351)。
下筌ダム反対闘争の鬼と化した室原知幸さんについての『砦に拠る』(p.365)。〝拠る(よる)〟とは、立て籠もること。
アメリカ空軍の射撃場にされた「梅香里(メヒヤンリ)」(p.368)。
福島菊次郎さん(p.378)。
「・・・こうして通い続けることが私の答えなのだ・・・。/・・・風成の闘いの中で・・・。/・・・黙っているかぎりはその人は賛成にかぞえられているのだから、と」(p.383)。
「・・・自衛隊が米軍とともに戦争をする軍隊へとさらに進むことを意味する。・・・「集団的自衛権」を否定した憲法に抵触するものであるとともに、そのようなかたちで自衛隊員らを、殺し殺される戦場に送り出すことを私たちは絶対に許すわけにはいかない」(p.396)。
新木さんの解説から。「「疾風勁草」・・・。松下さんは激しい風の中でも、「強靭な意志」を峻立させて踏ん張った勁草であった。・・・負けても負けても闘い続ける草の根の一灯は、一隅を照らし、社会の木鐸となる。「斃(たお)れて止まざるは我道なり」と田中正造は言っている。・・・。/松下さんが増田宋太郎を描いた『疾風の人』は「疾風怒濤」という言葉からきていると思われるが、松下さんは「疾風勁草」の「勁草の人」である」(pp.422-423)。「・・・魯迅は「もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道となる」・・・。小田実さんは「環境」という言葉は、松下さんたちの努力・たたかいがあって社会に定着してきたのだと言っている」(pp.429-430)。