【浜田和幸著、『ウォーター・マネー/「水資源大国」日本の逆襲/The Water Money:Japan Strikes Back ~石油高騰・食糧危機も恐くない~』】
第3章に水道民営化の各国の現状が。「水男爵」たちの蠢き。スエズ、ビベンディ、テームズ・ウォーターといったビッグ3(p.70)。中国や中東についても。
「・・・イギリスの水道会社は海外で積極的な事業展開を続けているが、国内の水道サービス事業は外国企業によって提供されるという“ねじれ現象”の下におかれているのである」(p.59)。気づかぬうちに・・・、「2007年7月、フランスの水道事業大手「ベオリア・ウォーター」が、九州の福岡県大牟田市と熊本県荒尾市で水道事業を運営する権利を獲得した。日本市場への参入を虎視眈々と狙っていた外資foreign capitalが、初めて日本に橋頭堡を築いたのである。・・・/・・・2002年に改正水道法が施行されたことで、公営水道事業の外資参入に道が開かれた。2003年には地方自治体法も改正された結果、わが国においても水道事業が内外の民間企業に制度上in theoryは解放されたのである。/これまで水道事業の民営化に関しては、広島県の三次(みよし)市の例がある。・・・/・・・これら外国のウォーター・バロンズが日本における水道事業に熱い視線を向けるのは、日本の水源地water sourcesを押さえ、日本から世界へ水を輸出する新たなビジネスプランを描いているからだ。なにせ日本の水のおいしさは世界でも指折りだからである」(pp.66-68)。そのビジネスとやらに一枚かんで金儲けするわけね。
「・・・「発展途上国の経済発展economic developmentを後押しする」という大義名分の下で、アジア、アフリカ、中南米諸国に相次いで進出するようになったのである。その際、世界銀行の融資loanをバックに、受け入れ国の政府から有利な条件conditionsで事業を展開する契約を結ぶのが常であった」(p.68、71)。フリードマンのシカゴ学派の下で洗脳された者どもによって。
「・・・逆浸透膜・・・通常の5分の1の時間でだめになってしまう。中東では5年はもつものが、中国では1年もつかもたないか。・・・日本企業でも前処理に相当な工夫が・・・」(p.81)。厳しい批判・・・、かっての日本もそうだったのに、「・・・それだけの資金力や技術力があるにもかかわらず、自国の環境浄化のために投資する資金や水浄化のための技術開発は遅れたままである。見方を変えれば、中国の今日の経済発展は環境コストを無視ignoreした結果得られたものといえるのではないか。本来であれば、安全や安心を確保するために労働者の雇用条件labor conditionや工場周辺の環境整備に投入すべき資金をすべて無視することで、国際競争力のある低価格の商品やサービスの提供に努めてきたのである」(p.83)。