エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

その子ならではの要素とは? 感じをハッキリ言葉にすることの恵み

2013-06-12 04:33:44 | エリクソンの発達臨床心理
 解釈する際に最も大事な要素は「その子ならでは」の要素であるということでした。今日は「その子ならでは」の要素とは一体どういうことなのか、明らかになります。







 「その子ならでは」が重要なのは、生育歴上の様々な段階でテーマに類似性があるためです。私どもがこのような一連の積み木を、この少年の学校の先生方にお見せしたところ、その内のおひとりが、「この子は体力とカッコ良い点でずっと年上の者とも張り合えるほどです」とおっしゃいました。そして、その女性の先生は次のように特におっしゃいました。「あの子はちょっと変わったことをよくします。ニコッと笑って、あの子は教室の周りを、両手を横に広げてツーステップのダンスをするんです」。その先生は嬉しそうにその子の真似をした時に(その教室は「開放」教室です)、この小さなおもちゃたちと、この変わったブロックの積み木さえもが、生き返ったように思われました。続けてその先生がおっしゃるには「昔私が『君は、運動神経が良いし、ダンスが上手』と誉めたことがありましたが、その子はがっかりした様子で応じて『そうです、でも、僕は頭が良くないんです』と言うんです。すぐに私は『だから学校があるんじゃない。体と頭がお互いに助け合うのを手伝うのが学校なのよ』と言ってその子を安心させました」。





 この先生の言葉におかげで、この子が積み木とおもちゃを通して言いたかったことがだいぶ分かってきた感じですね。それにしても、この先生はメンターと言えるような教師ですね。なぜなら、この教師は、子どもが感じているけれども、言葉にできずにいた思いをハッキリ言葉にしてくれたからです。それに、優しい心根の先生でしょうね。その言葉は非常に「肯定的」ですからね。こういう「良いよ」「良いぞ」と言ってくれる教員が日本にも増えることを切に願います
 「その子ならでは」の要素とは、生育歴上繰り返し繰り返し現れるテーマと関係するのですね。この積み木とおもちゃ並びについて、エリクソンがどんな解釈をするか、ますます楽しみですね。
コメント
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