昨日は夜まで雨でした。
イヤだなぁと思いながら勤め先を出ましたが、雨そのものはイヤな雨ではありませんでした。
風もなく、音もなく降る雨はいいものです。桜の花も元気づいて、心なしか花の赤みを増したようでした。
イヤだなぁと思ったのは、お米がなくなっていたので、帰りに買わなければならないことでした。傘を差しているのに、重くてかさばる荷物を持つというのはじつに鬱陶しい。
鬱陶しいから、お米を買うのは晴れた日に延ばすとしても、家には何もないので、腹の足しになるものは買わなければいけない。
で、ダイエーに寄りました。
食品売場は二階です。エスカレーターを降りるとパン屋があり、花屋があります。そこで、こんなふうにして売られているものを見つけました。桔梗(キキョウ)の鉢植えです。
一鉢198円也。
思わず手を延ばしかけて、ふと逡巡しました。買うのはもちろん賛成だが、お米はどうする?
5キロ10キロと重いヤツは敬遠して、2キロだけ買うことにしても、レジ袋の中で桔梗は潰されてしまう。
この花屋で花を買ったことはありません。取り立ててほしいと思う花がないことと、私が行く時間には係員がいないからなのですが、こと桔梗に関しては別腹。いま、我が庵には愛すべき桔梗がない状態だからです。
浅草から連れ添ってきた桔梗が去年でダメになりました。
去年の三月、芽が出ることは出て、4~5センチ伸び、蕾らしきものが見えたところで、胡麻粒より小さい黒い虫がいっぱいついたかと思うと、枯れるというより腐ったようになったのです。
2002年に鉢植えを買って、それから2008年まで、毎年花を咲かせてくれていました。毎年二陣三陣と咲くので、もしかしたら……と、晩夏まで待ちましたが、もしかしたら、はありませんでした。
十月になって、土を掘り返してみました。
宿根草である桔梗には、小さな大根のような根っこがあります。毎年土の中で冬を越し、春になるとそこから芽を出すのです。しかし、掘り返した土の中には何もありませんでした。
たまたま種を売っている店があったので、求めました。
二十年ぐらい前と十数年前、ともに種を買ってきてちゃんと咲かせたことがあるのです。蒔いた翌年はしおらしく弱々しいのですが、二年目以降はアスパラガスを思わせるような逞しい芽が出ます。寒い間はコーヒー袋を裂いて鉢に被せて、寒さ対策をします。それを突き破らんばかりの芽の出方です。
先月、本来なら何かの兆候があるはずでした。
四月になっても、芽の出る兆候がない、ということはあり得ない。二鉢に二袋分の種を蒔きましたが、すなわち……発芽しなかったのです。
芽を出してくれれば四代目になるはずだった幻の桔梗。
昨日、鉢植えを見つけたのも何かの因縁かもと考えて、二鉢買い求めることにしました。結局、お米は買わず、弁当のたぐいも買わず、ダイエーと同じ建物にあるスパゲッティ屋に入って、晩飯の代わりとしました。
桔梗の鉢は潰れもせず、無事我が庵に持ち帰られました。ダイエーを出るころには雨も上がって……。
鉢植えの桔梗の難点は丈が低いことです。ヒョロリと伸びて、風が吹けば倒されてしまうのではないか、という頼りなさが桔梗らしいと思うのですが、鉢植えを育てる側や売る側では、それが欠点と考えるのかもしれません。
これまで買ったことのない花売り場で出会い、買い求めることになったのも何かの縁。枯れさせないように、来年も再来年も花を咲かせてくれるように、丹精こめることにいたしましょう。
今朝、鉢に植え替えしようと思ってベランダに出しました。
雨上がりの朝でした。通勤路で見た枇杷(ビワ)の若葉があたかも花を咲かせたように見えました。
梨の花も咲き始めていました。
新松戸の桜はすでに散り始めていますが、「こざと公園」では今日あたりが満開という風情です。
昼は弁当を買ってベンチで……と思ったら、数少ないベンチはいずれも先客に占領されておりました。
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