実に良い映画でした。ぜひ、映画館で観てほしいです。私は、川崎チネチッタで観ました。
この映画は、現在イタリア映画界の音楽編集者として第一線で活躍するミルコ・メンカッチの少年時代の実話に基づいている。
10歳の時の事故により、両眼の視力を失ってしまったミルコは、当時のイタリアの法律では普通学校の教育を受けることができず、全寮制の盲学校に転校させられる。
そこでは、規律が厳しく、後に社会で暮らしていくための、従順さや、職業訓練に力を注ぎこまれ、多感な少年期の個性や、あふれる情熱などは抑えられるものだった。
目の見えなくなったことを受け入れることができないミルコは孤立し、学校に対しても反抗的で、仲間とも打ち解けることができない。
大の映画好きのミルコは、偶然見つけ出した、テープレコーダーによって、寂しさを拭い去るようなときめきを覚える。宿題の作文を、点字作文ではなく、自然の音を、様々なアイデアで録音しつなぎ合わせ、編集する。ミルコの特別な感性は、どんどん膨らみ、唯一親友となったフェリーチェ、管理人の娘フランチェスカと共に、音のファンタジー劇を作っていく。その愉快な想像の世界を音で表現していくミルコに次第に仲間が加わっていく。
しかし、それは、校長の手によって、中断を止む無くされ、ミルコも規律を乱す理由で退学処分を言い渡される。
ただ、ミルコの類まれな音に関する才能を発見し、子どもたちの豊かな感性を抑える教育方法に疑問を抱いた教師は、校長へ猛抗議。
学年末の発表会で、お決まりの聖書朗読劇をやめ、ミルコの劇を上演することにする。
その子どもたちひとりひとりの個性あふれる手作りの音によるファンタジー劇は、喜びいっぱいの、生きてる証となるすばらしいものだった。
と、粗筋を簡単をにまとめるとこのようなものですが、ミルコと両親との絆、正義と優しさ、忍耐をもった教師との絆、友情、初恋など丁寧に描かれていて、ミルコの障害を持っても明日を明るく生きようとする心の強さ、また、誰もが通りすぎる少年時代の輝かしい感性は、希望と愛のもとに誰にも奪われることなく、豊かに守られるべきだということを素直に実感させてくれる映画でした。
映画では実際に目の見えない子どもたちが出演していますが、子どもの持つ純粋な笑顔がとてもいきいきしていて、作品の中で子ども本来の明るさや生きていく力強さをより感じることができました。
おすすめ度★★★★★!
私も、中高とテニス部兼放送部でしたが、ラジオドラマの制作のため、録音機材をかついで、風の音、鳥の声、蛇口のから出る水の音、ドアのしまる音などの録音にあちこち歩き回っていたのを思い出しました。
やっぱり思いますね。
子どもたちには、出来上がっているもので楽しむのではなく、想像して、作っていく喜びを味わってもらいたいなぁ。
そして、ゆっくりそれを見守りたいです。