~ストーリーテリング「愛依の風」ainokaze~

絵本・素語り・わらべうた
ストーリーテラーやえはたのりこ(やえちゃん)の徒然便り

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和の家にて

2010年06月11日 | 高齢者の会
6月の和の家おはなし会は、やっと青い空広がる良いお天気になりました。

高齢者のデイケア施設のため、肌寒いことのないよう、職員の方は、室温にいつも配慮されていますが、先月まで火のついていたストーブがしまわれていて、和の家の部屋の空気も本来の木の香が漂っていました。

今、定期的な高齢者の会は4箇所を訪問しています。
15人までの小さな会です。
グループの個性はみなさん歴史がありますから、深ーく様々。

賑やかな会は、次から次へとお話も展開し、趣味話や、故郷のお話も話題になるので、そんなおしゃべりの中から、次は、こんなおはなしをしようと自然に思い浮かびます。

実は、ここ「和の家櫻井」のみなさんは、古民家の風情に寄り添うかのようにとてもお静かなのです。
語りの間では、風の音や鳥の声もお話に参加しているように聞えてきます。
反応というのは、見て取れません。
淡々としたお顔でただ私をまっすぐ見ています。
おはなしの合間のおしゃべりも、ほんの少しだけ微笑んで一言くらいをそっとお話してくれるだけ。

語る時は、私もただ目を見て語り、間では、胸に手を当て目をつぶります。
言葉だけの世界が広がります。

『内蔵允留守』 

「火曜日の方は特に静かな方が多いのですよ」と職員の方に教えていただいてましたが、私も、ここ何回か「和の家では、どんなおはなしが喜んでもらえるだろう」と少し迷いがあり、お茶の時間に、いつもは、体調のことや、食事のことを少しおしゃべりするのですが、同じテーブルの方に思い切ってリクエストを聞いてみました。

ところが、みなさん、照れ笑いのようなしぐさで、「聞き惚れてるの。毎回とっても楽しいです」とか、「声を聞いてます。どんなお話でも楽しく聞いてます。」と、リクエストではなく最後は「来月も楽しみにしています」とこう返ってくるのです。
そうしている間にお迎えのバス。
お開きでした。

すると、後便グループの大正生まれのご婦人が私に質問されました。
胸につきささる質問です。

「どんな想いでおはなしをしてまわられていますか?」

「お話を通して、人と人との心と心を繋いでいきたいと思います。
 生声で伝えたいと思うのは、声には心がこめられると思うからです。」


ご婦人は続けて、語ってくれました。
「戦時中が青春だったから、本当に好きなものというのは特にないんです。家族のために自分はどういう役割が在るのか考えて生きてきただけだから。勉強も男子のようには、やりたくてもできなかった。」
若かりし頃のお話から始まりました。

きりりと私を見上げた目に、凛とした鋭さを初めて見ました。
その時代であっても女子大学でしっかりと学びその後教育者となった歴史を垣間見る事ができました。
その後、随分長い間、社会の要となる、政治・教育・環境と様々なお話を熱心に語ってくれました。
長い間、日本の変容を見てきているその話には、厳しいものがありました。

「明治生まれの母に育てられましたから」
の言葉にも、精神の強さこだわりを感じました。

そして、ふっと微笑みの後、
「いろいろお話もしたいのですけど、大きな声も出ませんし、人にはそれぞれ色々な考えがありますしね。・・・。」
聞き手のみなさんが声を出すのは、なかなか勇気もいることでしたね。
シャイですもの。
すぐ隣で聞いていましたから、こうしてお話してくれたのだと思いました。

一番最後に、「お話は本当にどんなお話でも楽しみなんですよ。今日、ここでお話聴きにきて良かったなと思えれば。おはなしの中に真心、真実を感じるものがあれば。それだから、また、ここへ来たいと思いますものね」と言葉をいただきました。

「体は不自由ですが、腰も曲がり、下向いて寝ているように思うかもしれませんが、ちゃんと聞いて楽しんでます。」と添えてくださいました。

ありがとうございます。

このご婦人とのお話で、迷いが吹き飛び、そして、自分を顧みることもできました。

やはり、「いかに時代は変わっても魂の流行はない」と母が、私へ伝えてくれた言葉を噛み締めて、自分の心に従い、真心をもって語っていこうと初心に帰りました。

「耳で聴くお話は残ります」そう話してくれる方が多くなってきました。
それが喜びの感情に繋がってくれたら本当に嬉しいと思います。