細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

何をやりたいか

2010-03-20 07:53:00 | 研究のこと
横浜国大に着任したのは6年半前のことになります。まだ10年一昔,とまでは行きませんが,あと数年経つまでにはある程度のことは成し遂げたいとは思います。実質的には40代の10年が私の最充実期であると思っています。もちろん,その後も頑張るとは思いますが,活動のキレ,活動量という意味では,40代が勝負であろうと思っています。

着任したときは30歳でした。右も左も分からない状況で,とにかくいろんな不安を抱えていました。研究費は大丈夫?そもそも研究で勝負できるのか?学会の委員会にも入っていないけど大丈夫か?(着任以前は入ってました)研究室の状況もベストからはほど遠い。ジャーナルに投稿できるような研究をできる自信がない。博士課程の学生を指導できるのか?海外への展開など無理。などなど。切りがありませんね。

6年半経つと,上記の不安を感じることはなくなっています。きちんと目標を定め,それに向かって着実に,やるべき努力を重ねれば,まさに一歩一歩ではありますが,確実に向上し,目標に近づいていきます。いつの間にか達成されている目標もあります。

よって,今後,何をやりたいか,を明確にしておくことが本当に大事なのだと思います。そう思っていれば,それに向かって努力をするでしょうから,10年,20年経てば実現しているのだと思います。今の私は何をやりたいのでしょう。

・机上の研究だけではなく,山口県の取組みのように,実際の構造物がよくなるために,実構造物のデータを活用した設計,検査,維持管理のシステムの構築・指導に主体的に関わりたい。相手は,神奈川県,横浜市,JR,NEXCO,国,他の自治体など。そこで得られる知見,経験を,示方書の改訂や,その他のマネジメント業務に大いに活用したい。

・世界レベルで一級と思われる研究成果を挙げたい。その成果を最高レベルのジャーナルに記録として残したい。この世に生きたこと,頭を使い,努力したことの証として,残したい。

・実務に精通した技術者として,示方書等の規準類の改訂を指導的に行えるリーダーになりたい。

・日本の技術力,文化を世界の重要な舞台で堂々と主張したい。

・コンクリート工学の体系化に大いに寄与したい。

・我が国は変革期にあると思うが,場合によっては国の新システム構築に寄与してみたい(政治?)

いろいろと,夢想に近いことも挙げてみましたが,まあ,夢ということで公開しておきます。これらの目標に向かって,しかるべき手を打ち,着実に努力していくものと思われます。

めぐまれた環境

2010-03-20 06:13:40 | 研究のこと
とかく人間は文句ばかり言いがちで,自分の置かれた環境の良いところを忘れがちです。特に,いろんな人のおかげで今の環境があることを忘れ,その環境にいることを当たり前と思い込んでしまうため,文句ばかりになるのでしょう。

今日は午後に,研究室を今年卒業する学生たちが10名くらい遊びに来ます。明日からベトナムに出張するので,超急ぎの仕事は朝早起きして片付けていました。

朝5時ごろに,ソンさんの投稿論文の査読修正の最終作業を行っていました。査読に対する修正がほぼ完了し,編集委員会に投稿します。高炉スラグの論文で,私が指導した研究では初めての英文ジャーナルです。査読は好意的であったと認識しており,査読への修正には最善を尽くしましたし,読者に読みやすいように再構成もしたので,いい形になったと思っています。採択されることを切に祈ります。

ソンさんが私と一緒に研究しているのにはいろいろと理由がありますが,横国のインフラ管理学プログラムで修士の学生として来日し,縁があって私が指導をし,その後,留学生の特別プログラムに応募し,文科省の国費留学生として博士課程の学生として再び来日しました。博士課程の学生として来るときは,私と一緒に研究したい,と志望してやってきたので,それは偶然ではありません。

が,インフラ管理学プログラムや,特別プログラムを構築し,運営されてきた先人たちの努力があって,私とソンさんは一緒に研究をすることができています。この特別プログラムは,言うまでもなく,我が師匠の岡村甫先生たちが東大で企画し,フレームを作り上げられたものであり,その恩恵を私どもも強く受けているわけです。

現在,私は博士課程3年のソンさんと,1年のウスマンさんの二人の留学生を指導しています。日本人学生も非常に多く,この状況は実はとても恵まれた状況なのだと再認識しました。

たくさんの優秀な日本人の学生たちと一緒に研究できるのも,いろいろな方の努力の結果,我々が活動する場を整備してきてこられたことによります。

環境を生かすのは我々です。もちろん,環境だけよくて結果が出るわけではなく,私だってこの恵まれた環境を生かすべく,自身が真にやるべきであると思うことを全力でやっているつもりです。

学生に常々言っている,環境を生かすか生かさないかは各自次第,ですが,学生に言うだけでなく私自身が常に実践を意識しているつもりです。

ソンさんは,JCIの年次論文集にもAEでの高炉スラグコンクリートの詳細な分析を投稿し,採択されました。だいぶ調子が出てきたように思うので,学位論文のとりまとめはもちろん,もう少し研究を進めてもらいたいと思っています。目標は高く,帰国までにもう1本,ACTに投稿でしょうか。

ウスマンさんは,表層品質がテーマですが,少しずつ研究が前に進み始めたように思います。22年度の前半は,「すべて失敗してもよい」と伝えていますので,頭でっかちにならずに失敗から学びながら,たくましく育ってもらえればと思います。まだまだ種まきの状態です。

学生たちも,私のポジティブなエネルギーに惹かれていると思うので,それを自覚して,頑張らないといかんですな。明日からは,学部1年生9人を含む学生20人を引率して,ベトナム,ハノイへ見学会です。大仕事ですが,ポジティブエネルギーではっちゃけてきます。