私の能力、長所の一つに、伝える力、があります。
「少年よ、大志を抱け」で有名なクラーク先生は、札幌農学校の先生でしたが、ごくわずかしか実は教鞭をとっておらず、我々の師匠筋に当たる廣井勇先生が二期生の生徒なのですが、そのときにはすでにクラーク先生はおられなかったそうです。ただ、クラーク先生の考え方は色濃く残っており、それを強く引き継いでいるホイラー先生などに教わった廣井先生は、日本の土木工学を背負って立つ人材になります。
ちなみに、廣井先生の同級生が、新渡戸稲造であり、内村鑑三ですから、いかに教育の影響が大きいかは自明です。
クラーク先生は、生物学を教えていたらしいのですが、とにかくクラーク先生に教わると、その学問に強い興味、意欲を持つらしいです。ですが、クラーク先生は生物学の権威でも何でもなかった。
よって、教える、魅力を伝える、というのはその分野の第一人者であることとは別の能力なのだと思います。
私も今学期から土木史を教えていますが、土木史の第一人者では決してありません。素人です。
ですが、土木史、日本の歴史、について魅力を学生に伝えさせたら、私に勝てる人は少ないかもしれません。手段を選ばないからです。素人の強みです。私が面白いと思った本や図は何でも紹介するし、DVDも見せるし、もちろん合田先生の教科書は中核の軸に据えています。私が撮った写真はもちろん見せるし、人から聞いた話であろうが、何であろうが、魅力を伝えるためには手段を選びません。
次の火曜日は、「世界を変えた鉄道」。その次の週は、「情報通信路としての帝国道路」。
合田先生の教科書も、これらの章は非常に読み応えがあり、私ものめり込みました。しかし、これだけでは魅力は伝わらない。鉄道の普及は事故との闘いであり、これは元JR東日本の会長の山之内秀一郎さんの「なぜ起こる鉄道事故」や、仁杉巌さんの「鉄路の安全を守る」などをもう一度勉強して、両面からのすごさを伝えます。
帝国道路のついては、塩野さんの「ローマ人の物語」の10巻も再読中です。
そして、これらの本を読みながら、私が「すごい!」と思う情報を頭にどんどんとインプットしていきます。それらは、学生も「すごい!」と思うはずであり、その感性がずれていれば、講義は失敗です。
斎藤孝さんから学んだことですが、教師が「すごい!」と思うこと、また、教師の「憧れ力」が、学生にそのまま伝わりますので、とにかく私が「すごい!」と感じることや私が憧れることを、ひたすら自身にインプットして蓄積して、講義の直前に醸成されたイメージを学生に伝えるべく、その時点で最善と思う手段で講義に臨みます。
今日は土曜日ですが、長女をバレエのレッスンに連れて行き、その後はインフルエンザの予防接種。10時過ぎに家を出て、帰宅は15時くらいになるかと思いますが、その間の暇な時間に、上記の講義の準備です。
さすがに仕事が溜まっているので、帰宅後は仕事。奥さんが激務で平日は家庭の用事をかなり頑張ったので、週末は家事を代わってもらい、私が仕事を頑張ります。