昨日は,JR東日本の構造技術センター主催の研究交流会でした。昨日の話では,かれこれ20年近く開催されている,伝統のある交流会です。最初は岡村甫先生と石橋忠良博士の個人的な関係で,少人数でスタートしたと伺っています。
私もこの交流会に参加するのが何回目か分かりませんが,10回を超えているはずです。
以前はこの場で発表するのに非常に緊張したのも記憶しています。今は,緊張は全くしなくなりました。むしろ,皆さんに研究成果を聞いていただきたくて仕方ない。
大学側の参加者は,前川先生以下,きら星のごとく輝く研究者たち(とりあえず,私は傍観者)です。トップレベルの情報が飛び交う刺激的な交流会でした。
昨日は,13:10スタートで5時間で終了しました。ほぼぶっ通しで実務,大学の研究の発表と議論です。面白い。ほぼすべて理解できますので,5時間で相当に勉強できます。
交流会の後の懇親会が楽しい。毎回2次会以上まで行っちゃいますが,ここ数年は2次会で前川宏一先生とじっくりとお話できるのが,またこの上ない楽しみです。言うまでもなく,世界トップの研究者です。日本のコンクリートが輩出した,我が国の宝,と弟子の岸先生はおっしゃいます。私もそう思います。
ここ最近,前川先生に褒めていただいたり,各所でプロモートしていただいたりすることを,本当にありがたく思います。出来の悪い学生だったからです。お世辞でなく,前川先生に心から賞賛していただけることは本当にうれしい。本物の世界のトップだから,自分がやっているやり方が正しいんだ,と自信になります。褒めてもらうためにやっているわけでは全然ありませんが,自分の実現しようとする夢に向って,さらに努力しよう,という力を与えてくれるのは事実です。
昨日は,「君のやろうとしていることは,「施工学」だな」と言っていただきました。これまで,大事だとは分かっていても,なかなか定量化できなかった施工の影響を,ついに定量的に議論できる手ごたえを感じ始めています。建設マネジメントにも自然につながっていくでしょう。本を書け,とも言っていただきました。
また,地盤の分野での大家,龍岡先生が唯一(前川先生曰く),コンクリート工学の人間(前川先生)から見て本当に実務のことを念頭に置いた研究をされている先生だそうです。前川先生の話ですから,誇張があるでしょうが,龍岡先生がその観点でずば抜けている,ということを伝えようとされたのだと思います。そして,龍岡先生は短いけれども土木研究所での実務のご経験があり,それがそのルーツにある,という話を私に熱く語られました。私もお話を聴いていて分かっていましたが,最後に「あなたへの期待のことを言っているのだよ」と言っていただきました。
褒められる,というのは誰でもうれしいことですが,これだけ面と向かって,長時間に渡って,世界のトップの研究者から鼓舞していただいて意気に感じないサムライがおるでしょうか。朝起きて,もちろん二日酔いでしたが,うれしくて奥さんに話してしまいました。奥さんも喜んでおりました。
さて,ようやく本題ですが,私という人間は,もちろん幼少のころから今まで,そして将来へと連続しているわけです。おそらく周囲から見ればもう一人前で,最前線で活躍している研究者,教育者,という認識なのでしょうが,私の中では出来の悪い学生だった頃の私と,連続しているわけです。非常に不思議な気分です。
あまりに毎年の変化が大きく,数年先ですら,どのような展開をしているのか, 予測もできなくなってきました。不安は体力,健康に関することくらいですが,それらにも万全の配慮をしながら行きたいとは思います。途中でばったり倒れたら,「後は頼む!」です。
中高は文武両道の優等生でしたが,大学(当時,まだレジャーランド)で2年半ほど手を抜いてしまい,出来の悪い学生になってしまいました。でも,今は,その経験が,今の私の活動の根底を支えているようにも感じています。一本調子のエリートとは違う,地べたを這うことも知ったリーダーになるのだ,と自覚しています。だから,学生にも本物の教育ができる,と思っています。
若者たちも,自分の人生は常に連続していることを自覚して,とにかくその時点でできうるベストのことをするしかない,ことに気付いて実践してもらいたいです。
今朝は4年生のゼミでした。今週末の金曜日に審査会。3日前ですが,ここからどれだけ伸びてくれるか,期待しています。