横浜国大土木 見学会担当の細田です。見学会ファンの皆様,お待たせしました。
遅くなりましたが, 11/1(木)の隅田川クルージング+αの見学会の参加募集を開始しました。
ぜひぜひ,早めの書込みを!
10/9(火)に発足したチーム,「熱血ドボ研2030」です。
公の組織ではないのですが,かなり影響力がありそうなチームで,すでに私もあちこちで紹介しているので,ブログにも書いておきます。
私は土木工学に携わる研究者,教育者です。英語ではCivil Engineeringですが,そもそも「土木」という言葉についていろんなことが言われているのはご承知の通りです。今や「土木工学科」という名前が残っている大学の数の方が少ないでしょうか。東京大学も「社会基盤学科」です。欧米の多くの大学では,もちろんCivil Engineeringがそのまま残っていますし,学科名もそうでしょう。
私は,一般市民の視点を考えると,「土木」という名前が誤解を与えると思っており,この名前には反対です。ですが,講義などでも話していますが,仁杉さんや丹保先生クラスになると,「土木」の「土」は「地球」であり,「木」は「自然」である,となります。つまり,土木工学とは,地球を舞台に,自然との調和を図りながら人間の文明を創生する学問,ということになります。これくらいのスケールで「土木」という言葉を使いこなしていく気概があるのであれば,賛成。
さて,そのような「土木」ではありますが,「ドボク」とカタカナで書いてみると途端に印象が変わります。以前,我がコースの女子学生たちは,自分たちのことを「ドボコ」と呼び,「ドボコTシャツ」を自分たちで作っていました。「先生の分も作れますよ」と言われ,私はオレンジのドボコTシャツ(「ドボコ」のプリント入り)を自分と,小さな娘のために購入しました。「ドボコ」もかわいいですね。
「土木工学」は市民に適切に理解されていません。これまでの「土木工学」から市民への情報発信が適切でなかったこともあるし,「土木工学」のあり方も時代の要請に合わせて変わっていく必要ももちろんあります。市民への情報発信にはマスコミの協力も欠かせません。
そこで,日本大学の岩城一郎先生が, 時間や予算に縛られない,有志の情報交換の会を立ち上げられました。
大学からは,岩城先生,石田先生と細田。建設関係からは,三井住友建設の春日さんと首都高の土橋さん。NHKの解説委員の後藤千恵さんと,岩城先生が以前から信頼関係のあるNHKの番組制作会社の平原さん。日経コンストラクションの編集長と編集員。以上がメンバーです。後藤さん,平原さんが女性で,女性の鋭い視点もふんだんに飛び交う,刺激的な議論がなされます。
この情報交換会では,さまざまな情報が飛び交いますが,私が直接関与するものとしては,山口県のひび割れ抑制システム,鞆の浦の地域減災力の向上,東北被災地の復興道路の品質確保,などですが,議論の内容は日本の問題そのものです。
10/9が3回目の会合だったのですが,懇親会で「この会に名前を付けよう」ということになりました。ハイテンションでキーワードが飛び交い,それを私が(一番下っ端)メモ紙に書き留め,キーワードがつながって,「熱血ドボ研2030」に決まりました。
「熱血」は外せない。私など熱血の固まりです。熱血とは,真剣ということです。本気でやる。
「ドボ」は前述の「ドボク」から。
「研」は研究魂です。これも私があちこちの講演で話すことですが,今の日本人には「研究」マインドが欠けています。研究所の研究でなくて,日常の問題点,課題を見出して改善する,それが研究魂です。盲目的なコンプライアンスにはさようなら。山口県の取組みは,行政での研究であると理解しています。
「2030」は,ふくしまでの万博を2030に開きたい,という郡山に工学部を置く日大の岩城先生の思いです。原発の問題も議論はいろいろあるでしょうが,福島県が脱原発に向かうのは当然でしょう。原発,化石燃料に頼らないクリーンエネルギー100%を2030年に達成すると公にビジョンが示されているので,その2030です。一方で,この情報交換会も,目先の議論ではなく,20年後くらいを見据えた大事な取組みをみんなでやっていこう,という覚悟の表れでもあると思っています。
「熱血ドボ研2030」。付いてみるととても良い名前です。
「熱血ドボ研2030」のメンバーは,今後,活動を活性化させます。29日には,東北の被災地の復興道路の品質確保を実践するために,現地でのヒアリング等を行い,東北地方整備局の徳山局長とも面談をします。
12月中旬には,日本が発明した「バタフライウェブ」の橋を,宮崎県に見に行くことになっています。
本日,私が向かっている鞆の浦は,日本の先端を行く地域介護の現場でもあります。ポニョの舞台にもなったところですが,国宝級の人情も残り,日本が大事にしなければならない街並み,地域が残っています。この地域の減災力の向上をテーマに,私の指導する赤間君が卒業研究に取り組んでいます。
鞆の浦へも,熱血ドボ研のメンバーが行くことになるでしょう。
そして,「土木」の魅力がマスコミからも適切に発信されることが当たり前になる日もやってくるでしょう。