頭脳が疲弊する繁忙期に入りました。ここのところ毎日、もうこれ以上、頭が働かないという状況にまで陥って、眠りに付きます。
23日(金)から、2泊3日で南三陸へ出張です。私の研究室からも私以外に4名が同行します。品質確保の手引きの打ち合わせもあるので、2泊するのは私だけですが、私以外のメンバーも一所懸命準備を進めています。
私たちの研究室の研究の成果や、分析の結果が、実務に役立ちます。私には作業時間が十分に取れないので、スタッフや学生が私と打ち合わせを重ねながら、南三陸での議論に使う資料を頑張って作成しています。
手引きの打ち合わせ以外にも、実物のトンネルでの応力やひずみ等の計測結果の打ち合わせもあり、私の研究室で行っている数値シミュレーションの貴重な検証のデータになります。
産官学の協働も、いよいよ相当に本格的なステージに入ってきたことを実感します。
これまでの出張はすべて充実していましたし、それぞれ事前の準備にも、その最中も全力を尽くしてきたと思います。
それでも、今回の出張はとても重要なものになると私は思っています。私がそう思っていることが伝わるからこそ、研究室のメンバーも必死に頑張っているのだと思います。
これからも物語は続くと思いますが、日々の積重ねしかありません。
「そして、技術者はなくてはならない存在であると改めて感じました。」
横浜国大の教育学部の1年生の女子学生の、昨日の私の土木史の講義のレポートの最後に書いてあった文章です。
昨日は3回目の授業でした。相変わらず300人超えと思われますが、座席に座れない学生も少なくない状況での授業です。昨日のテーマは「橋梁の発達」。
例年、次回4回目の「都市の巨大化と環境問題」で、学生がぐっと引き寄せられるのですが、今年はさらに全力で講義を行っており、今回からレポートの質が相当に上がっています。何百枚のレポートに目を通して採点するのにはかなりの時間がかかりますが、本当に読んでいて楽しいです。
例年は、「橋」の語源についての話から始めます。さらに今年のこの講義の冒頭には、皇后美智子さまの「橋をかける」の中のお言葉も学生に見せました。私もこの講義は、教師としてまさに全力で臨んでいます。私が実際に訪れた国内外の橋や、私の実体験に基づいた話をたくさんするので、学生にとって大きな刺激になるようです。やはり、「現場」のもつ魅力、威力は偉大です。毎回、教えたいと準備した内容を使い切れずに終わってしまいます。話の派生や脱線が多いからなのですが、それでも学生たちに伝えたくて仕方ないことを伝えています。
昨年から、フランスのミヨー橋の写真や、本も見せるようにしていますが、この橋の魅力に取りつかれる学生は少なくありません。
私がこの講義に対して行っている工夫は無数にありますが、その一つに、学生を思考停止から解き放ち、いろいろと考え出す、考えたくなるキーワードを提示し、私の講義全体を通じて当事者意識をもって考え続けてもらう、という工夫があります。
多くのキーワードをすでに提示していますが、今日の講義については、「技術の伝承」「文明の持続可能性」「つなげる」などが学生たちの思考を刺激していたようです。「思考停止」も「当事者意識」も「東京一極集中」なども初回に提示したキーワードです。どんどんキーワードは増えていきますが、解き放たれた学生たちはどんどんと思考を深めていくことになります。
学生のレポートには各自のタイトルを付けさせていますが、「教師力」というタイトルのレポートもありました。教師の役割、影響が極めて大きいことを、学生たちも感じ取ってくれていますし、私も改めて感じています。
現代の若者たちに責任があるのではなく、現代社会を作り上げた大人に責任があります。若者たちは、本物を見せれば響きます。意識が変わり、実践に移す人も出てきます。今こそ、変わるべきときと思います。