細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

年を取ること

2016-05-24 13:10:31 | 人生論

春学期、毎週、火曜の午前は、「材料と複合」といういわゆる建設材料の講義を学部2年生にしています。今日は5回目の講義でした。

この講義は毎回、最初の時間に小テストを行う、という形式なのですが、その中に「今朝の気分」を一言で書かせたり、小テストの予習範囲に関する質問を受け付けるシステムになっています。

学部2年の春学期で、かつGW明けですから、要は、もっともたるんでいる時期でもあります。私も自分の学生時代を振り返れば、大きなことは決して言えませんが、なるべく早く、あるべき姿に気付いて、土木の学生らしい生活を送ってもらえれば、とは思っており、そのきっかけとなるような情報をたくさん提供しています。

この年代の若者は、とにかく自己コントロールができない。これまでがんじがらめに縛られていたのに、突然大学で自由な状態に放り出されるので、やむを得ないことであろう、と私は思います。

雨が降ったら、気が重くなる。暑いのも文句。晴れていても5月病。

40代中盤の差しかかりともなると、少なくとも人為的でない環境作用については文句を言っても仕方ないので、すべて受け止めるようになります。あまりにもひどい人為的な作用(例えば、文科省主導の大学改革など)については、ガス抜きのための愚痴は言いますが、愚痴だけ言っていても仕方ないので、仕事は一所懸命やります。

これからも簡単でない状況が続くのは間違いないですが、これまでも何度も修羅場もくぐってきたので、日々の積重ねではあるのですが、自己コントロール能力や、仕事をする能力が鍛えられてきたのだな、と若者を見ていて思います。もう当然に周囲のために貢献すべき年代なので、自分の研鑽ももちろん重ねますが、周囲の若者たちが少しでも伸びるよう、出来得ることをやろうと日々思っています。

年を取ることは、若者が思っているほど決して悪いことばかりでもありません。自己コントロール能力も身に付けた上で仕事が楽しい、ということはとても幸せなことです。

一方で、体力は放っておけば低下していく一方なので、様々なメインテナンスが必要です。

この間の週末は、これでもか、というくらい「メインテナンス」をしました。心身のケアはもちろんのことです。

土日ともに、次女とサイクリング+水泳で、私は両日、1000mを泳ぎました。元から泳ぐこと自体は好きでしたが、今年は水泳を習慣にしようと思っており、久しぶりに泳いだ4月末にはすぐにばてていたのが、1000m断続的に泳いでも疲れないようになってきました。人間の身体は使わないとすぐに劣化するのですね。でも使えばあるレベルまではすぐに復活する。

次女も、プールに通い続けたので、息継ぎをしてのクロールができるようになり、ますますやる気を出しています。

家庭の防災も見直しています。大地震などいつ来るか本当に分からない。でも、いつ来るか分からないものに、適切に備えること、それ自体が人生であろうし、防災はその良いトレーニングになります。家庭のメインテナンスにも相当します。

6月3日(金)夕方に鞆の浦のPTAを対象に防災の講演を行います。 今年の私の地域防災の研究は、学部4年の女子学生の石橋さんが担当してくれることになりました。面白い研究ができればと願っています。とにかく「実践」することの意義は計り知れず、我が家の防災も隙だらけなので、まずは我が家を実験台にして、いろいろと実践をし、それらもすべて自身の講演にフィードバックすることにしました。

研究室には家具固定のための工具やグッズが一通り揃えてありますが、引っ越しを重ね、借家に住んでいる我が家には、工具箱もありませんでした。日曜日に次女とホームセンターに行き、のこぎりや鉋(かんな)などの工具を工具箱とともに購入。

日曜日の夜は、固定していなかった次女の本棚付きの勉強机と、電子レンジを固定しました。電子レンジの固定には、のこぎりで作製した積木のような木製ブロックを組み合わせて行いましたが、6月3日の講演でも紹介します。今夜、冷蔵庫の積木での固定も完成予定です。

たかが家具固定ですが、実際にやってみると意外に難しく、そして面白い。子どもたちも手伝ってくれます。

今年も、私の関与するあらゆる研究テーマで「実践」が主題の一つになりますが、地域防災の研究も、これまで以上に実践を意識してチャレンジしたいと思います。

年を取ること(の良さ)と、それに応じて必要なメインテナンスの話、でした。