超人日記・俳句

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

日々の随筆・「それから」

2024-09-25 00:03:21 | 無題
漱石で、一番思い出深いのは『それから』だ。
私の学生時代、森田芳光監督で、映画化された。
登場人物は、代助(松田優作)三千代(藤谷美和子)平岡(小林薫)
の三人を中心としている。この三人の関係を描いた恋愛ドラマ。
森田芳光監督の映画には、当時痛く感動し、当然、原作も
読み、面白い昔の言い回しや風情や心境に胸を打たれた。
その当時は明治末を忠実に再現していると思っていたが、
近年、改めてDVDで観ると、化粧や男性の髪型を含め、
どう見ても一九八〇年代を色濃く反映している。
台詞がまた秀逸で、漱石の他の小説から台詞やエピソード
を借りてきて、上手く組み合わせている。
『それから』の最大の山場、代助が三千代に告白する台詞
「僕の存在には、あなたが必要だ。どうしても必要だ。」という
言い回しには、痺れてしまった。人を思うと、脳裡に浮かんで来る。
恥ずかしくて言えないが、名言である。
そんな訳で、漱石の小説はまた現代に映画化してほしい。
出来れば松田龍平さんや松田翔太さんに、主演をお願いしたい。
「僕の存在にはあなたが必要だ。」

代助の台詞回しが繰り返し胸熱くする「それから」の恋
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徒然俳句・合唱曲

2024-09-24 00:03:18 | 自作俳句
早朝に覚めて露けし秋の路地
秋の宵夢の想念覚めやらず
体力をまた呼び戻す良夜かな

茜草気づかれぬまま帰り道
親の星また降りて来る秋彼岸
町の奥柿が黄色くなり始め

道行けば跳ねる飛蝗の飛ぶ高さ
道の背に集合住宅建つ秋路
二学期の合唱曲の声澄みて

稲刈が半ば終わりて収穫期
思い草隠して喫茶座りけり
手毬付く庭に咲きけり白粉花
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日々の随筆・私とテラヤマ

2024-09-23 00:03:23 | 無題
私の詩歌の原点は、疑いなく、寺山修司氏である。
と言っても、寺山的に幻想的な嘘を作品化する
想像力は乏しく、寺山よりは、散文的な、
絵日記調の詩歌になってしまう。
 寺山修司のなかでも一番テラヤマ的な詩歌の
本は、歌集『田園に死す』である。
〇新しき仏壇買いに行きしまま行方不明のおとうとと鳥
〇兎追うこともなかりき故里の銭湯地獄の壁の絵の山
〇売りに行く柱時計がふいに鳴る横抱きにして枯野ゆくとき
〇暗闇のわれに家系を問うなかれ漬物樽の中の亡霊
皆、フィクションだが、印象的な景色が浮かぶ。こんな才能がほしかった。
『田園に死す』は寺山自身の手で映画化されていて、日本版シュルレアリスム
になっている。
俳句にも触れておこう。
〇便所より青空見えて啄木忌 〇沈む陽に顔かくされて秋の人 〇テレビに映る無人飛行機父なき冬
〇わが夏帽どこまで転べども故郷 〇妹を蟹座の星の下に撲つ 〇十五歳抱かれて花粉吹き散らす
どれも作品として完璧である。寺山とは、何かと縁があり、私が短歌を書く切っ掛けとなる。また札幌の寺山修司上演劇団の座長さんや振付家の方と懇意となり、寺山の主な演劇作品は札幌で見た。

〇学童に家出を配る旅一座 〇美術部の生徒の塗りし厠壁 〇春の野に花粉を飛ばす強き腕
〇秘めやかに蜜滴りて蜂巣箱 〇飛び乗りし夜汽車の窓や鉄道草 などは、寺山に捧げる私の拙句である。
  
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徒然俳句・絵筆雲

2024-09-22 00:03:08 | 自作俳句
網戸開け朝一杯の秋の声
秋暁や広がる雲の爽やかさ
お早うと秋を刻みて時計塔

薄青に絵筆で描きし秋の雲
黃葉が窓一面に広がりて
山鳥が黃葉揺らし飛び立てり

朝食は若芽が混じる秋野菜
秋の野に花粉を散らす乱れ髪
秋の森冥界の蜜溢れ出る

紅葉を思いて床屋髪を刈る
会う時は何時も全身薄ら寒
秋風や墓石までの数マイル
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日々の随筆・「少年時代」の背景

2024-09-21 00:03:12 | 無題
私の俳句を多少読んだ人なら察しが付くと思うが、
私は井上陽水の『少年時代』の世界が好きだ。
有名な、コレである。
「夏が過ぎ 風あざみ 誰のあこがれにさまよう
 青空に残された 私の心は夏模様」
この曲が出たときは、「風あざみ」という言葉はない
でしょう、とか、「宵かがり」という語はないでしょう
と随分話題になったものだ。陽水の選んでいる言葉が、
俳句の季語に近いのはひと目で分かる。
陽水が、歳時記片手に自分流にアレンジして作詞したのは疑えない。

この曲は、藤子不二雄Ⓐ(本名 我孫子素雄)氏の自伝的映画、
『少年時代』の主題歌で、
藤子不二雄Ⓐさんの『まんが道』のような映画の、テーマ
である。我孫子素雄さんが藤本弘さん(藤子・F・不二雄)と
富山県の少年時代を漫画家を目指しつつ過ごし、椎名町のトキワ荘
で若き漫画家と切磋琢磨する様子は、『まんが道』に詳しい。
この映画は残念ながら見ていないが、少年、我孫子が
列車で泣きながら手を振るエンディングの映像が、
陽水の曲の放映のため流れて、印象的である。
私は一時期、椎名町の近くに住んでいたので、
トキワ荘の周りはよく知っている。
「夏まつり 宵かがり 胸のたかなりにあわせて
 八月は夢花火 私の心は夏模様」
俳句がいくつも作れそうな、陽水屈指の名曲である。
陽水の造語も含めて、見事な歌詞世界である。

印象の数珠を自在に組み合わせ少年時代の夢を呼び出す
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