戦いは続きます。
2022/10/28の夜は、ほぼすべて東の空で撮影をしていました。
本日は、西の空を攻めます。
この赤道儀と望遠鏡、東の空の方が動作が安定する傾向があります。
西の空ではどうか。
西の空、子午線近く、天の赤道近くでキャリブレーションをかけます。
まあ、こんなもんでしょう。
ガイドアシスタントを行うと、、、ななんと!
極軸がズレている!!!
信じがたいですが、望遠鏡を大きく振るだけで極軸がズレることがわかりました。
赤道儀の固定が甘いということでしょうか???
それとも赤道儀の固定の仕組みに致命的な構造的問題???
今後、毎回、ガイドアシスタントをかけることで、極軸の変化をみて、クセをつかむ必要がありそうです。
そして困ったのがバックラッシュ。
西の空ではバックラッシュが大量に検知されました。
ガイドアシスタントでは、DECを一方向(現時点では南方向)ガイドにしなさいと。。。
東の空でのバックラッシュ測定では綺麗なグラフばかりでした。
この時は思いつきませんでしたが、再度東の空でバックラッシュ測定をして、東の空でも同じような大きなバックラッシュが出るようなら、DECの駆動系に変化が出たことを意味します。
東の空でバックラッシュが小さければ、DECの駆動系に変化は生じていないかもしれない。
けど、いずれにせよ、DECのギアになんらかの問題が存在することだけは間違いなさそうです。
とはいえ、一般論としては、極端に極軸が合っていないわけではない。
撮影に入ります。
特に根拠はありませんが、DECのガイド、ガイドアシスタントのアドバイスを無視して、両方向ガイドにしたままにしました。
日中にちょっと邪魔な木を切り倒しました。
木を切り倒したことで見えるようになった西の空にM13が見える。
まだこの時期、M13、見えたんですね。
西の空にだいぶ傾いているので、急いで撮ってみました。
ISO 6400, 30sec, 4枚コンポジット+α
満足のいく写りではないですが、悪くはない。
M13は天の赤道から外れるので、キャリブレーションをやり直しました。
すると、赤経RAのキャリブレーションステップが17?!!赤緯DECのキャリブレーションステップが13!
DECのキャリブレーションステップが理論値の2倍になるのは、バックラッシュが大きいためと理解できます。
しかし、RAのキャリブレーションステップがこんなに多くなるのは初めてのことです。。。
何が起きているのやら。
望遠鏡を夏の大三角形に向けてM71を撮影。
ISO 12800, 20sec, 4枚コンポジット。
M71、初めて撮ったような気がします。
球状星団だそうですが、散開星団と言われてもそう思ってしまうほど星の密集が少ないです。
今考えると、ISOを少し下げて露出時間を長くした方が、多分、もっと星が小さくシャープに写ったのではないかと思います。
PHD2のオートガイドの設定がOn cameraなので、赤緯が大きく変わるとキャリブレーションをやり直す必要があります。
M71を撮影するにあたり、やり直してみました。
今度は、赤経・赤緯ともにキャリブレーションステップ数に異常なし。。。
それ自体は悪いことではないが、先ほどのキャリブレーションと大きく異なる。
赤道儀の動作が不安定だということでしょうか???
DECを双方向ガイドにしたままですが、オートガイドはそんなに悪くないように見えます。
西の空に向け直すにあたり、RAガイドアルゴリズムをPPECから使い慣れたヒステレシスに変更しました。
近くにあったM27アレイ星雲
ISO 6400, 50sec, 8枚コンポジット
M15球状星団
ISO 6400, 20sec, 4枚コンポジット
M15を撮影した時のオートガイド。
かなり良い。
M2球状星団
ISO 3200, 60sec 2枚コンポジット
M2球状星団、M15より大きく見えますね。知りませんでした。
M2のオートガイド
かなり良いガイド。
この夜、一緒に観測していた友人に、三角座近くにあるARP273なる特殊銀河の存在を教えてもらいました。
なんでも小さい被写体らしいので、2500mmで撮影してみてほしいと。
試してみました。
撮影に先立ち、ARP273に向けてからキャリブレーション。
悪くはない。というか、正常。
ARP273
ISO 12800, 120sec, 8枚コンポジット
あまりにも小さい!
トリミングしても小さい!
これはASI 224MCくらいで撮影しないと厳しい。
次回から、気軽にEOS RaをASI224MCやASI294MCと取り替えられるように、こんなものを発注しました。
楽しみです。
この夜はRAのガイドアルゴリズムをヒステレシスにして撮影していました。
検知したズレの何%の修正動作をさせるかを決定するaggressivenessですが、今まで僕は最高が100%であると勝手に思い込んでいました。
ところが、試しにやってみると100%以上の値も受け付けることが判明しました。
この夜、こんな小技も覚えました。
ターゲットを表示します。
この場合、ガイド星の動きは、赤緯方向のバラつきが小さく、赤経方向に大きくバラついています。
aggressivenessを120%から200%にしてやると、、、
赤経方向の修正量を大きくすることで、ターゲット表示の赤経方向のバラツキが小さくまとまりました。
(グラフの縦軸のスケールを2倍にしてあるので、グラフの上下変動が大きくなっているように感じるかもしれません)
ただ、それでも赤経方向のおおよそ90秒周期の波を打ち消すに至っていません。
これだけ規則的な変動ですので、PPECの方がオートガイドの精度が上がるかもしれません。
ARP273のすぐ近くにあるM33三角座銀河に望遠鏡を向けました。
ARP273のすぐ近くなのでキャリブレーションをかける必要はないのですが、かけました。
キャリブレーションステップ数は大きく問題ないようですが、説明がよくわからぬ。。。どういうことでしょう?
オートガイド自体はそんなに悪くない。
ISO 12800, 300sec, 8枚コンポジット
なんとも味気ない写りです。
それもそのはず。
とにかく湿気の多い夜で、望遠鏡びしょ濡れになりました。
(主鏡は結露してません)
JPEG撮って出しだとこんな感じです。
作品を撮るための空ではない。
すでに日を越しました。
西の空の子午線と天の赤道付近で再度キャリブレーションをかけます。
まあ、概ねこんなものでしょう。
ガイドアシスタントをかけると、、、極軸、よくなっているではないか。。。
この夜のスタートのときは、>3.4分角ではなかったか。
>0.8分角に改善しているのは、なぜだ???
やはり望遠鏡を振り回すと極軸が動くと考えるべきなのかもしれません。
バックラッシュ。
うーむ、今夜最初にやったときと、概ね同じ傾向ではあるのものの、形が一致しない。
やはりDECギアになんらかの不都合が生じていると考えるべきでしょう。
分解するしかありませんが、DECギアボックスの中身を僕はじっくりみたことがないので、作った友人に立ち会ってもらうしかないでしょう。
この夜最後に、しつこい僕は、再度極軸を追い込みました。
今度は赤道儀の固定ネジを強く締めるつもりで。。。
方位角のドリフトアライメント。
根性の>0.2分角。
しかし、よく考えると、落ち着いて警告通り、再度キャリブレーションをやり直してからドリフトアライメントをやり直した方が良かったのかもしれません。
疲れ切っていて、頭が回っていなかった。。。
オートガイドの赤経のグラフをみると、どれもこれも約90秒周期の変動が認められます。
ウォームギアの回転周期は120秒なので、それではない。
この赤道儀固有の周期変動なのでしょうか。
いずれにせよ、これだけしっかりとして安定した変動ですから、PPECで最適な設定値を探り当てれば、かなりいいオートガイドができる可能性があります。
おそらく、西の空と東の空で、PHD2の設定値が異なるように思います。
この夜の成果。
望遠鏡を振り回すと、極軸が微妙に動くことがわかった。
それでも極軸をできる限り合わせた方が、おそらくオートガイドが安定しそうである感触を得た。
極軸を合わせてあれば、DEC方向のガイドは安定するので、あとはRA方向の周期的な変動に適合した設定値を探すことが今後の課題である。
DECギアになんらかの問題が発生している。
(これは昨夜の成果だが)本気で撮影する場合は、主鏡の光軸を被写体ごとに調整し直す必要がある。
調整の傾向が見えているようで、ゴールは近いかも。。
最初から立ち上げたのではないので、どこが肝なのか分からないの
かもしれませんネ。(^0^;
それでも一通りの現象を経験済みなので、それ自身も収穫。
鏡軸の方向性ですが、これはどうも内部~固定系の不正。
あまりいじりたくない処ですが、オーバーホール迄考えて
次の処置をした方が良いように思います。(^0^8
やれることを全てやり尽くしつつあります。
もう一息です。
頑張ります。