9月29日(土)、大阪・中之島に「良寛さん」が現れました!
もちろん、ほんものであるわけではないのですが、「旅する自由人・良寛」の講座で、講師である山折哲雄先生が良寛さんを生き生きと活写し、まるでこの場にいるかのようなお話で、教室内をきょろきょろと見回したほどでした。
山折さんは、人は後ろ姿にその人が物語れると切り出されました。
平櫛田中の制作した良寛像はまさに良寛そのもので、岡山県井原市に行ったならぜひとも田中美術館にあるその像を見てくださいと話された。
岡山まで行くのは大変なのでインターネットで田中美術館を訪れ、写真を見ました。
制作中の「良寛来」のモノクロ写真があり、背中を丸め、前屈みになって乞食に出かけようとする良寛さんがありました。顔が足元よりもはるかに前方に付き出しており、ちょっと異様な形でした。
制作する平櫛さんも黒縁めがねをかけて背中を丸めてノミを手にしているのですが、2人とも似た姿勢で驚きました。何かに集中すると人間はこんな姿勢を取るのかと。でも、良寛さんの背中にはどことなく寂寞感が漂っていると感じました。
山折さんは続けます。
良寛さんは歌が好き、書が好き、酒が好き、子どもが好きと「好き」の多い人だけれど、何をしても寂しさがある。
万葉集では「恋」は万葉がなで「孤悲」と表す。
良寛さんも好きな人はいたし、女は好きだったのでしょう。最近の説だと、良寛は出家するときにはすでに妻がいたとされています。良寛さんには現代の「恋」という字よりも「孤悲」の方が似合ってますよねえ。
良寛さんは子どもと遊んでいても独りなんです。家族を捨てて家出したのですから、楽しいはずはありません。良寛さんの心を満たすのは道元の書を読み、その教えを学ぶことだったでしょう。
形見とて 何か残さむ 春は花 夏ほととぎす 秋はもみぢ葉
良寛さんの時世の句として有名ですが、これは道元の
春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて冷(すず)しかりけり
の焼き直しのようであります。
しかし、永平寺や跡継ぎなど自分の亡き後を案じる道元に対し、良寛は「何も残さない」と厳しい姿勢で死に向かい、道元を超えよう、超えたいとして師の歌を下敷きにしたのでしょう。
山折さんは1人をキーワードに「良寛の歌は現代にも通じている」と、高浜虚子、尾崎放哉、種田山頭火を引用しました。
虚子ひとり銀河とともに西に行く (高浜虚子)
咳をしても一人 (尾崎放哉)
うまいこと話をつないでいくもんだなあと感心していたら、終わりの時間が来てしまいました。
「旅する自由人・良寛」講座は3週にわたり繰り広げられます。
ありがたいことに、今回は100名近い受講生で教室がいっぱいでした。
山折さんは、途中から上着を脱いでの熱のこもったお話で、時おり笑わせながら、“良寛さん”の世界へと誘っていかれました。
次回講座は10月6日(土)です。石川九楊さんが東京から駆けつけてきて講師となっていただきます。
当代きっての書家でありながら、書の解釈・解析に独自の視点から切り込むことで定評があります。
良寛の書も人気が衰えません。石川先生がどう良寛の書を見るのか、楽しみにしていてくださいね
3回目は10月13日(土)。良寛クラブ関西の吉井和子さんが講師です。
良寛の女性といえば貞心尼が有名ですが、吉井さんは良寛さん初恋の相手と見られる維馨尼との純愛を語るそうです。
食欲の秋、楽しみです!!
もちろん、ほんものであるわけではないのですが、「旅する自由人・良寛」の講座で、講師である山折哲雄先生が良寛さんを生き生きと活写し、まるでこの場にいるかのようなお話で、教室内をきょろきょろと見回したほどでした。
山折さんは、人は後ろ姿にその人が物語れると切り出されました。
平櫛田中の制作した良寛像はまさに良寛そのもので、岡山県井原市に行ったならぜひとも田中美術館にあるその像を見てくださいと話された。
岡山まで行くのは大変なのでインターネットで田中美術館を訪れ、写真を見ました。
制作中の「良寛来」のモノクロ写真があり、背中を丸め、前屈みになって乞食に出かけようとする良寛さんがありました。顔が足元よりもはるかに前方に付き出しており、ちょっと異様な形でした。
制作する平櫛さんも黒縁めがねをかけて背中を丸めてノミを手にしているのですが、2人とも似た姿勢で驚きました。何かに集中すると人間はこんな姿勢を取るのかと。でも、良寛さんの背中にはどことなく寂寞感が漂っていると感じました。
山折さんは続けます。
良寛さんは歌が好き、書が好き、酒が好き、子どもが好きと「好き」の多い人だけれど、何をしても寂しさがある。
万葉集では「恋」は万葉がなで「孤悲」と表す。
良寛さんも好きな人はいたし、女は好きだったのでしょう。最近の説だと、良寛は出家するときにはすでに妻がいたとされています。良寛さんには現代の「恋」という字よりも「孤悲」の方が似合ってますよねえ。
良寛さんは子どもと遊んでいても独りなんです。家族を捨てて家出したのですから、楽しいはずはありません。良寛さんの心を満たすのは道元の書を読み、その教えを学ぶことだったでしょう。
形見とて 何か残さむ 春は花 夏ほととぎす 秋はもみぢ葉
良寛さんの時世の句として有名ですが、これは道元の
春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて冷(すず)しかりけり
の焼き直しのようであります。
しかし、永平寺や跡継ぎなど自分の亡き後を案じる道元に対し、良寛は「何も残さない」と厳しい姿勢で死に向かい、道元を超えよう、超えたいとして師の歌を下敷きにしたのでしょう。
山折さんは1人をキーワードに「良寛の歌は現代にも通じている」と、高浜虚子、尾崎放哉、種田山頭火を引用しました。
虚子ひとり銀河とともに西に行く (高浜虚子)
咳をしても一人 (尾崎放哉)
うまいこと話をつないでいくもんだなあと感心していたら、終わりの時間が来てしまいました。
「旅する自由人・良寛」講座は3週にわたり繰り広げられます。
ありがたいことに、今回は100名近い受講生で教室がいっぱいでした。
山折さんは、途中から上着を脱いでの熱のこもったお話で、時おり笑わせながら、“良寛さん”の世界へと誘っていかれました。
次回講座は10月6日(土)です。石川九楊さんが東京から駆けつけてきて講師となっていただきます。
当代きっての書家でありながら、書の解釈・解析に独自の視点から切り込むことで定評があります。
良寛の書も人気が衰えません。石川先生がどう良寛の書を見るのか、楽しみにしていてくださいね
3回目は10月13日(土)。良寛クラブ関西の吉井和子さんが講師です。
良寛の女性といえば貞心尼が有名ですが、吉井さんは良寛さん初恋の相手と見られる維馨尼との純愛を語るそうです。
食欲の秋、楽しみです!!