キャラバン サライ

夢は大空へ、努力は足元で、世界に目を向けながら足元から子供たちを見直していきたいと思っています。

すごい人~理想のリーダー~

2010年05月22日 | Weblog
すごい人物がいる。
これまで、すごい人というのはテレビの中ではたくさん見てきたが、現実に知り合いとして本当にすごいと思える人がいたのはそんなに多くない。
その中でも彼は一番かも。

今いるプロジェクトの某イタリア業者の現場所長(Site Manager)だ。
とにかくすごい。
でも、ただすごいすごいと思っていても頭の中が整理できないので、なぜそんなにすごいと思うのか書き出してみた(順不同、思いついたまま)。

1) 40人くらいのエンジニアや作業員をみごとにまとめあげている。
2) 彼の下請け業者のエンジニアや作業員20人くらいもしっかりとまとめている。
3) 部下から非常に信頼されて好かれている(やんちゃなイタリアの若手ばかりだが、彼の言うことは驚くほど素直に聞く)。
4) お客からも信頼され、対等に議論が出来る。
5) だからといってへりくだっているわけではなく、いつもどうどうしており、意見をはっきりともって行動している。
6) お客に対してはとにかく部下を守る(本当に部下のミスだったときは自分のせいにする)
7) 部下に対しては、個々人の自主性と意見を重んじる。ただし、全体からみた流れはしっかりとつくり、そこからそれているときは厳しくアドバイスする。
8) 自分は各分野(機械、電気、制御)のスペシャリストではないと認識したうえで、担当者の力は借りるが、自分自身も勉強し、現場で起こっている問題の一通りは理解している。
9) とても紳士的でユーモア、それでいて野生的な風貌と行動。
10) 頭の回転が早く、理解が早い。また、常に先を読んでいる。
11) いわゆるカリスマ的。彼が話し出すとみんなが黙るし、納得する。


6)に関しては、皆の前で自分の部下がお客に攻められているときに、お客につっかかってすごい剣幕で部下を弁護していた。それが仮に部下たちの前でのパフォーマンスだとしても、その効果は絶大だと思うし、部下のみならずお客の信頼も向上するように思う。

ただ、何より驚いたのは、彼がまだ29歳であると知ったとき。
それを彼の部下から聞いたとき、絶対に嘘だと思った。
荒々しいロングヘアーを後ろに束ねたまるで海賊のような風貌。
ひげも無造作に生え、とても若くは見えない(欧米人は往々にして年が実年齢より上に見えるが)。
そしてなにより、お客とまっこうから議論できる自信と経験、部下や仕事のマネージメント能力、カリスマ的な指導力、部下やお客からの信頼、あの落ち着きよう。
どこの世界に行っても一流ととれるその能力を29歳にして身に着けている。
それが、テレビの世界ではなく、現実に、目の前にいることに対して、正直にすごいと思う。

彼がこの現場にSite Managerとして来たのが2年前。そのとき、かれは27歳。ほとんど今の僕と同じ歳だ。
彼は、ここに来る前に3年ほど別の国で働いていた。ということはその前は24歳。
大学卒業の歳を考えると、多くてもあと一つの現場を経験していればいいほう。
ということは、彼は入社してから2つの現場を20代前半で経験した後、この超大型プロジェクトのSite Managerに27歳の若さアサインされたのだ。

このSite Managerのポジションには、過去に彼よりよっぽど年上の、よって経験豊富な人物が何人も就任し、そして役不足として交代させられている。
しかし、今の彼が来てから2年間、誰も彼を交代させようなんて考えない。ずっといて欲しいと思われている。
とにかく、ほんとうに、Unbelievable。

彼の部下は20代や30代前半が多く、若手でそろえている。
そして、Site Managerの彼自身も若いからか、非常に仲がよくまとまったチームに思える。
彼は、若手の勢いのある部分や、柔軟な部分(特にそこが若さのいいところ、裏を返せば柔軟性のなさは年寄りの最も厄介なところだと思うが)など、いい部分を十分に引き出し、軽率さや喧嘩っ早いところは厳しく押さえ込んでいる。まるで小学校の先生のようにも思えるし、大家族の頼れる長男のようにも見える。

この歳でこれだけの能力を持っている彼が、ずっと現場で働き続けるとは思えないが、彼がここにいることで幸な部下は多いだろう。彼自身も現場の仕事は嫌いではないように思える。
10年後、彼がどういうポジションでどんな仕事をしているか、本当に楽しみだ。

歳が近いこともあり、彼は僕にもよくしてくれるし、頼りにもしてくれる(もちろん、僕が彼を頼ることのほうが多いのだが)。
あと、数年で彼のようになれるかといったら、それはまだ程遠い道のりだけれど、少なくとも目指す方向は彼のおかげでかなりはっきりと見える。
彼はすごい人、理想のリーダー。

よいしょっと

2010年05月22日 | Weblog
車に乗り込むとき、降りるときに「よいしょっと」とつぶやく。
つぶやくというより、腹のそこから振り絞るように、うめく。
それ以外でも、深く座り込んだ状態から立つときなど、体をゆっくり大きく動かすときは自然と、「よっ」とか、「よしっ」とか、「よっこいしょ」という声がもれる。

端から見ると年寄りくさいと思われるくらい、こういう声を出す。
もう、中学生の頃からだ。

部活の顧問が繰り返し、それこそ毎日のように部員へ説いていた「声を出す」ことの大切さ。
彼曰くその効果は、
1) 集中力が増す
2) 瞬発力が増す
3) リラックスできる
と絶大。

1)は声を出すことで出した対象にだけ意識が集中し、安定した思考で動作が出来るということ。
また、一見2)と3)は矛盾しているように思えるが、声を出す=息を吐くことで、余分なところから力が抜け、必要な部分にだけ集中して瞬発的な力が起こる。
これらは、経験で正しいと認識している。
そして、一番大切なことは「息を吐く」という作業を強制的に行えることだと思う。

つい、瞬発的な力が必要なとき、つい息を止めてきばってしまう。
それでは、酸欠になって続かないし、集中力も失われる。
だから、息を吐きながら、集中して、安定した力を出すことが大切。

そんな意識から、「よいしょっと」とか、「よっ」という声をしょっちゅう出してしまう。
気がついたらインド人や欧米人はそういう声を出すところを聞いたことがない。
どういう言葉を使うものなのか、興味のあるところだ。