キャラバン サライ

夢は大空へ、努力は足元で、世界に目を向けながら足元から子供たちを見直していきたいと思っています。

彼のギター

2010年05月25日 | Weblog
最近、前のプロジェクトで一緒に働いていたフィリピン人の友達にギターを教えてもらっている。
教えてもらっているといっても、彼が弾いて、僕が歌って、おしゃべりをして、ときどき僕が弾いて、という感じ。
向こうは教えているつもりはないかもしれないけど、僕はいつも彼の弾き方をみて、すごいな、こんな風に弾きたいなと思う。
できるだけ盗もうとする。
金曜日の午後の平和なひと時。

彼はピックを使わず、指だけで弾く。その手つき、リズム、強弱、そして性格がなんとも野生的な弾き方。
きれいな音を出すことだけにこだわらず、叩くような弾き方をしたり、とてもメロディアスな弾き方をダイナミックにしてみたり。
これは僕の目指すところだなと思ってしまった。

彼の歌の選択も、なんとも僕好みで、いかにもギター!!っていう曲を、存分に弾いてくれる。
『I Started a Joke』とか、『Words』とか(全然知らなかった曲たちだけど)。
あとで、その曲をもっと知りたくなってダウンロードして聴いてみても、どう比べたって彼の演奏と歌のほうがよく聴こえてしまう。
それがライブの力かも。

二人はBeatlesの曲を弾き歌うことが多いけど、たまに僕が日本語の曲を演奏する。
その中でも彼の一番のお気に入りは長渕剛の『とんぼ』。
歌詞の意味を彼に教えてあげると、余計に好きになってくれた。

地方から憧れの都会へ出てきた若者が、苦労をして、都会を憎んで、もがきながらも幸せを探している歌。
外国への出稼ぎが多いフィリピン人には、親近感のわく歌なのかもしれない。

彼の国にも似たような歌があるそうだ。
歌詞を要約すると…

海外で出稼ぎをしていた男が国に戻ると、奥さんは家を出て行き、稼いだお金は全て持ち去られ、知らない子供が一人増えており、上の子はドラッグにはまっている。

なんとも救いがたい歌じゃない?
と聞くと、だから愛されるんだよ、とのこと。

1年前に初めて彼のギターを聴いて、もっとギターが弾きたい!という情熱が湧いた。
今も、彼の演奏を聴くたびにギターっていいなあと思う。

1ヶ月前に彼とプチライブをした。
スカイプを通して相方に二人のライブを聴いてもらった。
スカイプは少し音と映像にタイムラグがあるから変なライブに見えたと思うけど。
どたばただったけど、楽しかった。

将来、きっと彼の家に遊びに行って、また彼の演奏を聴き、またおしゃべりしながら、一緒に歌いたいと思う。
僕はあまり上手になっていなくて、彼はあきれた顔をするかもしれないが、それでもきっと今と同じように楽しく歌えるだろう。
そして僕はまたきっと感動する。
彼と彼のギター演奏にはそういう力がある。