正義（武力介入、国際協力、自民党政治、震災復興、原発、TPP、日本の農業、日中日韓外交、日米外交…）

小学生の頃、道徳の授業があった。

道徳の授業の教材には、
困った人を助けようとか、
家族を大切にしようとか、
友達と協力しようと、
そんな教訓を含んだ物語が載っていた。

そんな物語をみんなで読んで、「はい、そうですね」とみんなで確認する、そんな感じの授業だった。
弱い者いじめはいけない。
他人の気持ちを考えろ。
夢はいつか叶う。
などなど...

当時の僕は、そんな道徳は習う必要もないくらい当たり前のことで、答えを考えるようなものではなく、答えはいつも一つしかないと思っていた。


ところが今、いろいろなところで、国民の意見が二分される問題が起きている。
それは、ある面では道徳とか正義とかに関する問題でもある。
道徳とか正義という面から検討しても、何が正しいのか簡単には答えが出ない。
実は世の中はそんなものばかりらしい。

こんなことを考えたきっかけは、マイケルサンデルの『これからの「正義」の話をしよう』や『ハーバード白熱教室講義録』、『それをお金で買いますか』など、哲学的に正しいことは何かという問いに対する、著者の考えや議論を読んだこと。
著者は、全体の幸福が最大限になる選択が正しいという功利主義に対して、人間としての美徳の向上を優先させるべきという考えだ。

また、国のトップが考えていることを知るのも悪くないと思い、現首相安倍晋三の著作『新しい国へ』を読んだ。
これまで漠然と反対してきた自民党の過去の政策について、その時代の背景があり、目的があり、理由があったこと、そしてすべてに共通していたのは、日本の将来を考えての政策だったと書かれていた。
もちろん、全てをそのまま鵜呑みにはできないが、自分が知らないことが多くあり、それを知ることでその政策に対する見方も変わるものなんだと思った。

伊勢崎賢治の著作『国際貢献のウソ』や石井光太の著作『絶対貧困』では、これまで正しいと思っていた国際協力が、それだけではないことが書かれていた。どのような国際協力がその国民の将来にとっていいのか、ずっと議論され続けているのに、まだ正しい方向が定まらない。

今年のアカデミー賞をとった『アルゴ』や『ブラックホークダウン』では、民族紛争に外国が介入していくことで生じる、憎しみの連鎖と増殖が描かれていた。他国で命の危険にさらされているいる人たちがいる。それを救うのが人類共通の使命のはず。そんな当たり前と思っていた道徳感がゆらぐ。

それ以外にも、震災復興、原発、TPP、日本の農業、日中日韓外交、日米外交、イスラム/キリスト/ユダヤ教の対立、社会保障など、多くのことで正しい方向が見えていない（原発については個人的には絶対反対だが）。
細かい議論ではなく、大きな方針についてさえ、国民として意見が二分（場合によっては三分以上）している。

これらは日本にとっても世界にとっても大切なことで、つまり僕にとっても大切なことだ。
個々の問題について、本を読んで自分なりの意見を持つことは大切だと思う。
でも、一つの問題について一冊や二冊くらいでは、偏った意見になりがち。
かといって、それぞれの問題について、多くの本を読む根気も勤勉さもないのが現実。
そこでまずは新聞をもっと読もうと思う。
新聞には、上記の問題が毎日のように掲載されている。
池上彰著作の『池上彰の新聞勉強術』に、新聞とテレビのニュースやネットのニュースとの違いが述べられていた。
テレビやネットに比べて、新聞はより深い取材と議論をしていると。
また、二紙以上を読むことのすすめも。


そして、これらの問題についていろんな人と意見を交換したい。
他人が上記の問題について自分とは全く異なる意見を持っていて驚いたことが何度もある。
こんなに近い人が、こんなに異なる考えを持つということは、国民が全員一つの方法に合意するなんてまず不可能だと思った。
そこは、マイケルサンデルが言っている、「全員の合意ではなく、十分な議論を交わした後の国民の納得」を重視すべきかと思う。