月がきれいな夜だった。
闇の中で、ほどよく、うっすらと、雲の衣を広げて
まんまるな月が、夜の中で静かに輝いていた。
太陽の強烈な光を受けて、プラチナ色に丸い姿を見せていた。
ひとの肉体に宿る生命体ー意識も、本来はまんまる。
だから、円満な人格でいられるのだ。
ときどき、とがったひとと出会うことがある。
それも、現実世界において、というか、人間社会において、いわゆる
『成功者』とよばれるであろう、ひとたち。
なのに、とがっている。
話を聞くと、たいていがハングリー精神が旺盛で、寝る間も惜しんで
勉強し、よく働き、自らの手で、今の生活を手にし、豊かに暮らせて
いるはずなのに、
今までの原動力であった、飢えたこころはネガティブマインドと化し、
満たされず、成功してもなお、円満なこころを持てずに、
常に不安に巻き込まれている。
だから、失うことを恐れて、
さらに失うことを引き寄せるのかもしれない。
成功には代償がつきものだと、訳知り顔で言うひとがいるが、
それは、こういうネガティブマインドの第二人格に憑依されている
ひとのことなのだなあ、と、感じる。
満たされるよう努力したのに、満たされないに侵されるマインド。
月のように、まんまるな意識である自分を、思い出してほしい。
欠けているように見えているだけで、本来のあなたは、まんまるで
ここへ降りてきたのだ。
もちろん、欠けた自分を表現したいなら、それでも、かまわない。
あなたは、あなたを表現したいのだからね。