アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

センニンソウ - 西尾市歴史公園

2024-09-20 07:00:00 | みんなの花図鑑

センニンソウの記事を見たフォロワーの方が「西尾市歴史公園のお堀の土手にも咲いてるよ」と教えてくださいました。



そう遠い距離じゃないので、すぐ行って観てきました!(^^)!
(自宅から車で40分)




咲いてる場所は(駐車場から入ってお城のお堀まで行くと)すぐ分かりました。ただ柵があって近寄れません。




コンデジの望遠側で証拠写真撮ってきました。




センニンソウはキンポウゲ科クレマチス属の植物です。

〔参考〕クレマチス






コサギがお堀に突き出した木に止まっていました。





フォロワーの方もコメントしてくださいましたが、
 センニンソウは「強い毒性を有し馬も口にしないことからウマクワズ(馬喰わず)とか、ウマノハオトシ(馬の歯落とし)とも呼ばれます。葉や茎の汁に触れるだけで皮膚炎を起こすそうですので、気を付けねばなりません。」(桑名市総合医療センター・理事長の部屋「9月:仙人草と牡丹蔓」)




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アベリア - スイカズラ科

2024-09-19 07:00:00 | みんなの花図鑑

安城総合運動公園の道路沿いにどこまでも植えてあるアベリア。




Google AIによる概要によりますと
「アベリア(Abelia)という名前は、19世紀に中国で植物の研究を行ったイギリスの医師で博物学者であるクラーク・エーベル(Clarke Abel)に由来しています」とのこと。




Abel は、イギリスの外交団の主任医師として中国を訪れ、まだ人の出入りが少なかった秘境で植物採集を行いました。その際に採集した植物の1つであるタイワンツクバネウツギの標本をイギリスに送ったのですが、この植物が後にAbel にちなんで「Abelia chinensis」と名づけられたということです。(chinensis は 「支那の」の意)




花は漏斗形~釣鐘形の合弁花で先端が5裂しています。




花冠の内側には白い毛が生えていて蜜を吸いに来る虫の足場となります。




雄しべは4本、雌しべ1本。




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ビーチ・スパイダーリリー - ヒメノカリス属

2024-09-18 07:00:00 | みんなの花図鑑

今日はまた 面白い植物に出くわしました。
ある方の表現によると「ハマユウとアサガオを足して2で割ったような白い花」です。




草丈は 60〜70 cmくらい。
葉が大きく、丈夫そう。
お屋敷の奥さんがいらしたので、名前を伺ったのですが、失念したそうです。



でスマホの Google Lensアプリで検索して
出てきた第一候補が これ↓

Beach spider lily
学名を Hymenocalis littoralis (ヒメノカリス・リットラリス)
というらしいです。




日本語の情報が少ないのですが、
「スパイダーリリー(Hymenocallis littoralis (Jacq.) Salisb.)は,ヒガンバナ科ヒメノカリス属に属し,カリブ海周辺諸国(ベリーズ,コスタリカ,グアテマラ,メキシコ,スリナム,コロンビアなど)に自生する常緑の多年草(球根植物)」
というような記述を見ると、名前(スパイダーリリー)について、少し混乱が見られるようです。
英文の記事を参照すると、
●ビーチ・スパイダーリリー
 Hymenocallis littoralis
 ヒメノカリス・リットラリス
  Google Lensの第1候補

●スパイダーリリー   
 Hymenocallis speciosa
 ヒメノカリス・スペシオサ
  Google Lensの挙げた第2候補

ということになるようです。


Hymenocallis littoralis (ビーチ・スパイダーリリー)英文ウィキペディアより



以下、英文の機械翻訳より引用です
「夏の真っ只中に、これらの葉の端から白い花が現れます。花は5〜7インチ(14〜17 cm)の長さの管を持ち、最後の数インチ近くで白くなります。」




「花の端から、いくつかの細い花被片が植物の周りを数インチ アーチ状に下がっており、クモのような品質を与えています。」




「ヒメノカリスが翌年に開花するように促すには、8月下旬または9月上旬に休息期間が必要です。」




若いおしべです。




成熟したおしべです。
ヒガンバナ科としている記事が一番多いですが、ユリ科とする記事もあり、シベを見ると 確かにユリのシベによく似てると思います。





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カンナとジンジャー - ショウガ目

2024-09-17 07:00:00 | みんなの花図鑑
カンナ (ショウガ目)

カンナ科カンナ属のカンナ。
カンナというのは学名Canna のことで元はラテン語です。
品種は Google Lensによると 「Yellow King Humbert」(ちょっと違う気がしますが参考まで)。
こういうカンナの花、私はよくショウガと間違えるのですが、ショウガに似た根茎を持つショウガ目の植物です。




では カンナの和名は?
「和蘭檀特(おらんだだんどく)」
ですが…
使われることは、ほとんどありません。




カンナはもともとラテン語なので、英語でも Canna(カナ)
フランス語でも Canna(カナ)
イタリア語で canna indica(カンナ・インディカ)
スペイン語で cannas (カンナス)
中国語で 美人蕉(メイレンジャオ)
韓国語で 칸나 (カンナ)




カンナの花は雄しべを6本だし、その中の一本を残してあとの5本は花びらに変化するのだそうです。
どおりで 花を撮ってもシベを観察しなかったことをいつも後悔するはずです (T_T)

女の唇 十も集めてカンナの花 (山口青邨)




ジンジャーリリー(ショウガ目)

単に「ジンジャー」とも。
(遠くから見つけたときはとてもキレイに見えたのですが、時期を過ぎていました。)
和名の「ハナシュクシャ(花縮紗)」もよく使われるようです。



ジンジャーといえば 生姜(しょうが)のことですが、観賞用の生姜をジンジャーというようです。
生姜は ショウガ属で、ジンジャー(リリー)は ヘディキウム属です。



属名の Hedychium はギリシャ語の「hedys(美味)+chion(雪)」からきている。(みんなの花図鑑「ハナシュクシャ [花縮紗]」)



花の仕組みも独特である。 花被片は6枚あるが、外花被3枚は合着して花のつけ根にある。 内花被3枚はつけ根は合着し、先が3つに分かれる。 もう1枚、唇形の花びらがあるが、これは雄しべが花びらの形になっている。 また、飛び出しているシベは、雄しべと雌しべが1つになったものである。(同上)(蘂をシベと編集して引用)





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ハギとアレチヌスビトハギとメドハギ - 蝶形花

2024-09-16 07:00:00 | みんなの花図鑑
ハギ

マメ科のハギなんですが、何ハギなんでしょうか?








葉っぱが丸いから、マルハギとか ? (´・ω・)



いずれにしても、マメ科特有の蝶形花です。
一番大きいのが旗弁。
下にあってシベを包んでいるのが舟弁。
その両側にあって虫の止まり木の役目をしているのが 翼弁。







舟弁の中にシベが伸びていて虫が止まるとシベが顔をだし受粉します。









アレチヌスビトハギ

典型的な蝶形花。
上の大きな花弁は 旗弁。虫に蜜のありかを知らせる旗(フラッグ)の役目をしています。




下の花弁は2重になっていて、外側を翼弁。
内側がシベを包んでいる舟弁(竜骨弁とも)。



シベは 雄しべが合着して筒を作っていて その筒の中をめしべの棒が貫いて筒の先で柱頭を展開してます。



受粉すると 花弁の色が変わり、おしべも雌しべから離れていきます。




雌しべだけが成長を続けます。








そしてとうとう最強のひっつき虫の鞘になります !(^^)!






メドハギ

こちらは メドハギ。
Google Lensに検索させても メドハギと言ってきますので、間違いないと思います。



メドハギの蝶形花は全体に白っぽく、旗弁の基部に紫色が入ります。




「メド」は、奈良から平安時代に、やや木化する茎を陰陽占い用の「筴(めどき)」として使われたことから「筴(めどき)芽子(はぎ)」となり、そこから転訛したものであるというのが通説です。(閉鎖されたYahoo! JAPAN Geocitiesのブログより)



古い時代(奈良から平安時代)には、やや木化する茎を、50本を一組として「筴(めどき)」として陰陽占いに使用しました。後世には竹を利用し、竹で作る占いの道具が筮竹(ぜいちく)です。(同上)




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アズキの原種はノアズキか?

2024-09-15 17:00:00 | みんなの花図鑑
アズキ

アズキが畑に植えてあります。畑に植わってる様子は、ちょっと前に取り上げたダイズ(▼)によく似ています。

葉っぱはよく似た感じですが、花は大いに違います。
大豆の花は紫でした。




色も違いますが、アズキの花は 大豆のように左右対称ではありません。
ねじれているのです。




マメ科の花は蝶形花といって、3種類の花弁で構成されています。
上の画像で、一番後ろにあって一番大きい、像の耳のようなのが旗弁です。虫に花のありかを知らせるフラッグ(旗)の役目をしています。




その手前の花の中心に シベが出ていてそのシベを包んでいるのが 舟弁(または竜骨弁とも)で、舟弁の両側にあって虫が止まる足場の役目をしているのが翼弁です。
アズキではこの中心の舟弁が マイマイの殻のように旋回しているのです。(それに合わせて翼弁も丸くなっています)





ハギやフジなどその他の蝶形花では シベを包む舟弁がまっすぐなためシベが成熟すると虫が止まっただけで舟弁が開いてシベが露出して受粉しやすい体制を採ります。




アズキの花はそれらとは違い 舟弁を旋回させることで 中のシベまでの通路を長くとり、特定の大きさの虫だけがトンネルの中を通って奥の蜜にありつけるような構造をしているのでしょうか?











ノアズキ

それで、野にあって、アズキそっくりな花を咲かせるのが、このノアズキです。
やはり花の中心部が旋回しています。




それで、「ノアズキ」という名前を聞いて誰しも想像してしまうのが、このマメ科のつる性植物が、アズキの原種なのではないか?!
ということです。




ノアズキの鞘豆を見て これを栽培しようと思いついたに違いない!と。




ところが、実をいうと、アズキの原種は ノアズキではないのです。
ノアズキの花によく似ていて花を見ただけでは区別できないのですけど、ヤブツルアズキというやはりつる性植物があって、こちらが原種とされているんです。
ところが、我が岡崎平野では、あるのは ノアズキばかりで、ヤブツルアズキにはお目にかかれません。
(植物雑学事典さんの岡山平野でもやはり同様のようで ヤブツルアズキは見られないそうです)




それと・・・
アズキのところで想像したんですが、この舟弁が旋回している理由。旋回してシベまでの距離を長く執ることで特定の虫だけ入れるようにしていると想像しましたが、全くの誤解だったようです。藤の花やハギの花と同様、シベが舟弁の入り口まで伸びているではありませんか!
こうなると 旋回する理由が見つかりません(ToT)




ノアズキの葉はこのように菱形に近く、アズキの葉に似ています(クズの葉に似ているとも)。
ヤブツルアズキの葉は画像検索したところ アサガオなどの葉の形に似ています。

ただし、豆はノアズキのほうが扁平で枝豆風であるのに対し、ヤブツルアズキのほうはまるく細長くてアズキそっくりです。




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秋は夕暮れ。秋はヒガンバナ

2024-09-15 07:00:00 | みんなの花図鑑
春はあけぼの。
夏は夜。
秋は夕暮れ。

秋は
ヒガンバナ

日本では こういうのをヒガンバナとか 曼珠沙華と呼んでます。あまりリコリスとは呼びません。




でも、学名は Lycoris radiata
ということで「学名からリコリス・ラジアータとも呼ばれる。」(Wikipedia「ヒガンバナ」)




種小名の radiata は「放射状の」の意。
「真っ赤な6弁の花を放射状(輪状)に数個つけて咲く」(wiki)ところに由来してるのかな?




それとも 放射状に延びる長いシベを見てのことかな? (^^♪




場所は安城デンパークの鉄砲山(施設ができる前からあった田んぼの中の小山)というか岡。
その山を取り巻くお堀のヒガンバナです。




写真は2022年のコロナ療養明けの 9月上旬に撮ったものです。






リコリス

バックは パンパスグラス。




やはり 9月9日安城デンパークのグラスウォークにて撮影。




名前は リコリス 'フォーン (Phone) ' とありました。

「Phone」 というのは 電話のことでしょうか?




ネットを検索しますと リコリス 'フォーン ' は通販カタログにあって、
そこでは フォーン(fawn=子鹿) となってます。



通販カタログには
 変化する花色!
 Lycoris cv. 'Fawn'.
というのもあります。
三河の植物観察「リコリス(園芸種)」にも
 「 'Fawn'(フォーン) クリーム色にえんじ色を帯びる」
はありますが、’Phone’ はありません。






リコリス

ちょっと品種名が分かりません。
リコリス ’フォーン’ のそばにありました。




「リコリスはヒガンバナ科ヒガンバナ属の総称である。ヒガンバナ属は世界に約20種があり、観賞用に栽培されている。ヒガンバナ属の園芸種は多数あり、中でもヒガンバナ(赤色)、シロバナマンジュシャゲ(白色)、ショウキズイセン(黄色)、ナツズイセン(ピンク色)、キツネノカミソリ(橙色)などがよく栽培されている。ハイブリッドも多数作られ、これらを含めてリコリス(園芸種)と総称されている。」(三河の植物観察「リコリス(園芸種)」)





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ワレモコウ - Great burnet の意味

2024-09-14 07:00:00 | みんなの花図鑑
見出し画像はめしべ活動期のワレモコウの花穂。


バラ科ワレモコウ属の多年草で、学名は Sanguisorba officinalis。英名は Great burnet。
英語の Great burnet という名前の由来がどうもよく分かりません。
辞典によると burnet だけでもすでに ワレモコウ の意味があるらしいし、「バーネット (Barnet, Barnett, Burnet, Burnett, Barnette) は、英語圏における人名(ファミリーネーム(サーネーム)またはファーストネーム)または地名。」とWikipedia にはあります。
ということで......
さらに少し検索してみると、
世界中に30種ほど存在するワレモコウ属の植物を、西洋ではひとまとめに「Burnet」と呼び、
ワレモコウはワレモコウ属の中でも特に深い赤色の花なので Great を冠して呼んでいる
ということらしいです。



穂の上から下へ咲き進みます。これは穂のいちばん上で開花が始まったところ。




これは穂の途中まで進んだ開花最前線。
先におしべが黄色い花粉を放出します。




穂の一番下まで開花が進みました。
4本のおしべの中心にめしべが伸びて 寒天のような柱頭を展開します。





このとき穂の天辺のほうは どうなっているかというと、雄しべは既に落ち、雌しべの柱頭だけが妖しげに活動しています。




さらに花後の穂の姿。
手裏剣のように開いているのは花弁(petal)でなく萼片(sepal)。







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マルバルコウとルコウソウのどっち?

2024-09-13 08:23:24 | みんなの花図鑑
(四年前の記事のリメイク版です)

これは ルコウソウでなく マルバルコウです

マルバルコウ

ルコウソウとどこが違うのかというと、葉がまったくちがいます。(ルコウソウの葉はあとで見ます)



マルバルコウ(マルバルコウソウ)もルコウソウも ヒルガオ科サツマイモ属のつる性植物です。
でも 「サツマイモになりたがっているように思えてくる」(植物雑学辞典「マルバルコウ」より)のは マルバルコウだけです !(^^)!




つぎに、どこで出会うか?が ちがいます。
マルバルコウもルコウソウも、もともとは、江戸時代、観賞用として持ち込まれたつる性植物なのですが、今ではマルバルコウのほうは完全に野生化し「他の雑草に絡み付いて秋の野原を赤く染め」ています。
これも小河川の土手にずらっと群生していたものです。年々増えています。



あと、花弁の色がちがいます。マルバルコウのほうは このようなオレンジ色というか橙色ないし朱色です。マルバルコウといったらサツマイモに似た葉で、花はこのいろ一色です。




そして今度は、両者の共通点なのですが、シベが花冠から突き出しています。
白い花粉粒がきれいです。



それでは 似ているルコウソウとはどんな花なのか?というと…


ルコウソウ

これがルコウソウの花シベです。
なんだ、マルバルコウと同じじゃないの?!
そうなんです、花冠からシベが突き出して花粉が白いことは同じなのです。
(この花は花弁が赤いのですが、よく見ると おしべの花糸も赤いです。マルバルコウの花糸は白でした)




だって 同じヒルガオ科サツマイモ属ですから。
でも、花の色が違いますよ。赤は赤でも マルバルコウのような朱色系ではありません。




そして最大のちがいは、葉にあります。
このようなどこか水草みたいな、松葉(なんとか)みたいな葉をしています(表現力がなくてすみません、百聞は一見に如かずということで悪しからず)



花弁の色は 赤(深紅色)がいちばん多いのですが、ピンク、白色のもあります。
色に種類があるのもルコウソウの特徴ですね




どこで出会うかというと、お屋敷のグリーンカーテンなどになっていることが多いです。
当地では、野で出会うことはまれで、ルコウソウのほとんどが人の手によって仕立てられたものです。







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ガガイモ - 古事記の昔から

2024-09-12 07:00:00 | みんなの花図鑑

大国主の神は各地に沢山のお妃を迎え、そこを拠点として順調に国創りを進めていった。
民たちは、大国主の国創りに対して、決して文句や不平不満を言わなかった。




でも、心の底から幸せそうにしている住民はいないように大国主には見えた。
国創りは順調に進んでいるのに、どうしてだろう、なぜだろうと大国主の心は晴れなかった。





ある日、大国主が出雲の美保の岬で佇んで、「どうしてだろう」「なぜだろう」と考えていると、海の彼方からガガイモ で作った舟(ガガイモの果実の莢・二つに割ると舟の形になる)に乗って、蛾(が)の皮で作った粗末な衣服を着た神さまがやって来た。




大国主がその神さまに名前を尋ねても、神さまは何も答えてくれない。
なぜか大国主は、その神さまに一目で魅了された。
この神さまなら、今、大国主が悩んでいる国創りについて、きっと何か教えてくれるに違いないと直感したのである。





ある日、大国主がその神さまの名前を知ってる者はいないだろうかと、考えながら歩いていると、普段なら気付きもしないヒキガエルが目が止まり、このヒキガエルが小さなこの神さまの名前を知っているに違いないと根拠もなく思った。




そこで大国主がヒキガエルに「ゲロゲロッゲロゲロッ(クエビコ、クエビコ)」と話しかけると、ヒキガエルはうなずいた。
クエビコとは案山子(かかし)のことである。
ヒキガエルは「案山子なら出雲の国のことを全てお見通しなので、きっとこの神さまの名前を知っているよ」と教えてくれたのである。





そこで、さっそく案山子のクエビコを探してきて、その神さまの名前を尋ねた。
案山子のクエビコは「この神さまは、天地創造の時に三番目に登場した神産巣日の神(萬物を産み出す役割の陰の神さま)の御子(みこ)であられる、少名毘古那(すくなびこな)の神である」と教えてくれた。




少名毘古那(すくなびこな)は、どうして、あなたに仕えている神々はわたしの名前を知らなかったのに、ヒキガエルと案山子のクエビコは知っていたのか。
その理由を考えてみるがよいと言った。




大国主は「御霊(命の泉)鎮め」をして、その理由をじっくりと考えてみたところ、はっと気が付いた。
大国主にとって、ヒキガエルも案山子のクエビコも、普段は全く目に止まらない存在であった。




けれども、ヒキガエルも神さまや人間と同じ「命の泉」によって生かされている存在である。
案山子を案山子たらしめている材料も同じ「命の泉」によってこの世に生まれてきたのであった。





これまでの国創りは農業の普及に始まる文明社会の構築ばかりに目を奪われて、山川草木生きとし生けるものに目を向けることを忘れていた。「命の泉」によって生かされている萬物と調和して生きていくことが神々や人間にとって幸せであることにようやく気が付いたのである。






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