宝塚ホテルのデザインを伝える外観(宝塚市で)
旧宝塚ホテルの階段。石造りの手すりが再利用された
厳かな石造りの手すり
中庭にあったウェディングベル。多くのカップルがこの鐘を鳴らした
ステンドグラスもそのまま使用している
タワーマンション2棟の建設が進む旧宝塚ホテル(宝塚市)跡地に、阪神間モダニズムを代表してきた旧ホテルの面影が残る建物が姿を現した。市民からは「また宿泊できるの?」との声が聞かれるほどで、その存在が注目を集めている。
建物は「商業棟」(4階建て)。三角屋根が印象的な旧ホテルをイメージしたたたずまいで、1階にスーパー、2~4階にはクリニックが入る。残念ながら、宿泊はできない。しかし、内部には、5年前に閉館した旧ホテルの「レガシー」(遺産)をさりげなく配している。
中に入ると、大正期から約1世紀の歴史を刻んだ重厚な石造りの階段手すりが、目を引く。ビールが飲める名物レストラン「ビアケラー」の飾り窓、ステンドグラス、照明器具、中庭にあった結婚式用の鐘……。懐かしい品々が往時を思い起こさせる。
シンボルツリーだったクスノキ5本も敷地内に残すという。阪急今津線宝塚南口駅に向かう広場もゆとりあるスペースを確保しており、阪急阪神不動産は「地域に愛される新たな拠点になれば」としている。