花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

高校生発農業イノベーション

2019年05月03日 | 園芸科学科
1週間ほど前のリンゴの蕾です。
まだ開花には早いようです。
ご覧のように蕾はリンゴの実のように濃い赤色しています。
ところが開花すると真っ白の花となるから不思議です。
サクラ色ではありませんが一面に白い花咲く果樹園は本当に美しいもの。
機会があったらぜひご自分の目でご覧いただきたいものです。
さて果樹園で名久井農業高校といえばドローン。
世界でも例のないドローンを使った溶液受粉の研究に取り組んでいます。
最初はチームフローラが思いついたアイデアですが
果樹分野まで手を出したら体が持たないと判断し、果樹班に研究アイデアを提案。
そこでやる気満々の園芸科学科果樹班が立ち上がり
東北のメーカーを巻き込みながら、この前代未聞のプロジェクトが動いています。
立ち上げてからもう3年。いろいろな興味深いデータが集まってきました。
面白いことに溶液を上から散布するので、樹木の内側では結実しにくくなります。
一見、結実率が下がるのでダメなような気がしますが
内側の果実は光が当たらないので最終的には摘果される運命にあります。
つまり美味しくなる環境の良いところだけに実がつくので
摘果作業の省力化に繋がるのです。
もちろん彼らが試したところ数時間かかった受粉がなんと10分で終了。
脚立に上がっての人工受粉は高齢化の進む農家にとってはきつい作業なので
本当にありがたいと話していました。
現在、農林水産省はドローンを使ったスマート農業に取り組んでいます。
その資料の中に名農の名前はありませんが彼らの受粉活動が紹介されています。
北国の農業高校生がイノベーションを起こしていますので、こちらもご覧ください。
まもなくリンゴの開花。
農場にドローンの羽音が聞こえてくるのはそろそろです。
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推定無罪

2019年05月03日 | 学校
つくしがたくさん生えています。
ご存知のとおり、つくしはシダの仲間であるスギナの胞子茎。
つまりスギナはつくしが飛ばす胞子や地下茎によって繁殖するのです。
昔からスギナは酸性土壌を好むといわれています。
したがってスギナが生えてきた土地はちゃんと石灰を散布し
中和させないと作物の生育が悪いと教わりました。
ところが最近の研究だとスギナは
酸性土壌でも生育できる植物と紹介されています。
つまりスギナ=酸性土壌とは限らないというのです。
研究が進むのは嬉しいのですが、
今までの常識を修正しなければならないのには困ってしまいます。
とはいっても酸性土壌では他の植物が繁殖しにくいので
スギナだらけの場所はやはり酸性土壌と考えていいかもしれません。
さてこのスギナは地下茎でも繁殖するため駆除するのはとても大変です。
何しろ引っ張っても茎の地上部がちぎれるだけで
地下茎は土に残ったまま。結局はまた顔を出してくるのです。
そこで最近はスギナにも効く除草剤が販売されています。
農薬成分をスギナの葉から吸収させ、根まで届かせ
地下茎ごと枯らしてしまうというタイプで、この農薬は効果があるそうです。
スギナはこのように嫌われ者ですが、ある岩手県の道の駅で
パックに入った「スギナの葉」が売られていました。
いったい雑草を何に使うんだろうと手にとってみたら
なんと利尿作用があることからむくみ防止のお茶として飲むのだそうです。
スギナが換金できるのならちょっと朗報です。
ある時は畑の厄介雑草、しかしある時は薬草。
いいやつなのか悪いやつなのか、なんだかわからなくなってきました。
「何人も有罪と宣告されるまでは無罪と推定」というのが近代法。
したがってスギナはまだ推定無罪。
もう少し様子を見たいと思います。
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絵画のような風景

2019年05月03日 | 学校
さてゴールデンウィーク真っ只中です。
ここは連休前の名久井農業高校校舎前の風景。
今年は桜と同時に紅梅が咲きました。
この場所には名農の校歌の歌碑もあり
まるで絵葉書のような景色となりました。
さて「絵画のような風景」という言葉をよく使いますが
絵画だから表現できる風景というものもあります。
人それぞれ好みはありますが
ぜひ一度ご覧いただきたいのが
日本画家である千住博さんの「滝図」。
これは高野山金剛峯寺の襖絵として作られたもので
特に岩絵の具を上から垂らして描かれた
25mもの巨大な「滝図」には誰しも言葉を失います。
余計なものを排除した圧巻の作風はまさに絵画だからこそ作れる風景です。
2020年には和歌山県の金剛峯寺におさめられるので拝見するなら今がチャンス。
昨年から全国巡回展を行なっているので
お近くに来たら騙されたと思ってぜひ本物を眺めてください。
ゴールデンウィークも後半戦。
「滝図」は6月中旬まで北九州市立美術館で公開です。
絵を見るためだけに旅しても損ではない感動が待っています。
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