花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

テーブルパンジー

2020年03月24日 | 研究
机上で可愛らしい花が咲いています。
これはみなさんご存知のパンジー(三色スミレ)。
パソコンの脇に飾ると癒し効果抜群です。
でもパンジーを栽培した経験のある人は
いかにこれがありえない風景であるか気がつくはずです。
ご存知のとおり、パンジーは代表的な花壇を飾る花。
つまり太陽光がたくさん必要なのです。
可愛いので鉢に入れて飾った人もいると思いますが
室内では光量が足りず、必ず花首が徒長してみっともない姿になります。
ところがこれはどうでしょう。徒長するどころか、茎も短くなっています。
これは植物ホルモン「ブラシノステロイド」の生成阻害剤を散布して
研究班の生徒たちが作ったもの。簡単にいうと光を感じやすくなり
室内で栽培しても徒長しないのです。
名前は「テーブルパンジー」。おしゃれな名前をつけました。
薬品を提供してくださったのは理化学研究所。
新しい農業利用を探って欲しいとのことからでした。
このテーブルパンジーの開発は理化学研究所でも喜んでいただき
なんと年に1度の理研の一般公開の際、研究ブースに展示してもらました。
この効果を利用すると、異常気象で日照不足になっても、
収量を高めようと密植栽培しても大丈夫なことになります。
フローラが開発に乗り出した初代バイオエンジンも
微生物ではなく、この薬剤で光合成能力を高めて浄化を促進していました。
残念ながら農薬登録されていないので、実用化は断念しましたが
いずれも女子高校生らしい草花研究でした。
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スイカの空中栽培

2020年03月23日 | 研究
これは研究とは違い、ビジネスアイデアです。
大きなアーチにぶら下がって実っている果実。なんとこれはスイカです。
ラグビーボール大の中玉品種で、ここには黄色と
見慣れた緑と黒のシマシマの2種類が見えます。
よくバラでアーチを作りますが、これはそのスイカ版。
中を人が歩け、これは上を見上げて撮影した写真です。
さて冒頭に書いたように、これはビジネスアイデア。
皆さんはスイカ狩りをしたことがありますか。
イチゴならよくありますが、なかなかスイカは見かけません。
このような栽培法なら子供たちも楽しんで収穫体験できます。
また空中にぶら下がっているので、まんべんに光が当たり着色も良くなります。
さらに販売方法がユニーク。確かスイカ1個のベース価格が500円で
糖度1度についてさらに10円いただく方法でした。
つまり糖度が14度だったら500円プラス140円で640円。
甘さがポイントのスイカなので、これなら消費者も納得というわけです。
でもスイカを切って糖度を調べてはせっかくの商品が台無しです。
そこで考えたのが非破壊糖度計。
赤外線を照射するだけで切らずに果実の糖度を測定する機器です。
このアイデアを考えた生徒たちは実際に栽培しては、
非破壊糖度計で測定しながら試験販売を行い、新聞にも掲載されました。
みなさん自由に甘いものを探すことができるので、宝探しのようと大人気でした。
高校生のユニークなアイデアには驚きます。
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俺ら東京さ行ぐだ

2020年03月23日 | 研究
これもユニークなスイカ栽培の研究。
彼らが栽培準備しているのは、なんと学校の屋上です。
危険という理由から屋上に上がったことのない人も多いと思いますが
屋上には、こんなにもだだっ広い未利用空間があります。
ここでスイカ栽培する理由があります。
方法はプランター栽培ですが、下はコンクリートのため除草はいりません。
また大切な水は自動潅水装置を使うので手間がかかりません。
コンセントのある畑など滅多にありませんが、
ビルの上なら屋外用のコンセントがちゃんと準備されています。
さらに気温差。下がコンクリートなので畑に比べて
日中は気温が上がり、夜は下がります。
この日較差がスイカを甘くしていきます。
さらに害虫がいないこと。ここは3階の屋上のため高く、風も強いため
食害を起こすチョウやガは飛んでこれません。
実はいいとこだらけなのです。問題は収穫。
スイカは重量野菜といって重いため運ぶのが大変。
収穫したスイカを下まで運ぶのはエレベーターがないととても無理です。
しかしこの問題もアイデアでクリアしました。
観光スイカ園にしてお客様に収穫してもらうのです。
お客様は体験を楽しみ、さらに自分のスイカをせっせと持ち帰ってくれます。
それもお金を払ってです。逆転のアイデアで実用化の可能性を示ました。
ところが大きな課題も発見しました。それが鳥害。
美味しいスイカをカラスがつつくのです。
しかしネットで覆うことでこの問題もクリアできるはず。
青森県のスーパースターである吉幾三さんに「俺ら東京さ行ぐだ」という
歌がありますが、まさに東京など都会はビルだらけ。
見方を変えると畑だらけ。15年ほど前の取り組みで
当時は屋上菜園はまだ少なく、ぜひやってみたい実用的な提案でした。
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カクタスライトの応用 ?

2020年03月22日 | 研究
カクタスライトによく似ています。
確かに仕組みは同じですが、サボテンではなくバラが一輪飾られています。
これは一輪挿しです。やはりパソコンのUSBから電気を供給して
花瓶の底が光るのですが、LEDの種類が違います。
何とUV-LED、つまり紫外線光を発しているのです。
それはどうしてでしょう。この写真ではよく見えませんが
花瓶の中にイクラの粒のようなガラス玉がたくさん入っています。
とはいっても装飾のためではありません。
なんとこのガラス玉、酸化チタンコーティングされているのです。
紫外線と酸化チタン。もうお分かりになったと思います。
光触媒です。花瓶の中で光触媒反応を起こさせることで
水の中に発生する雑菌を抑え、花を長持ちさせるアイデアなのです。
花、特にバラはベントネックといって花首がすぐ折れてしまいます。
これは茎の道管(導管)に雑菌が詰まって、水の吸い上げを邪魔するから。
だから光触媒反応で花瓶の中の水を殺菌しようと考えたのです。
実証試験では無処理のものより平均1週間弱長持ちすることがわかっています。
このアイデアで初めて京都大学で開催されるテクノ愛に参加した記憶があります。
でも長持ちするとはいってもたった1週間。
今よく考えると、大した性能ではありませんね。
これまた懐かしい作品です。
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最初だけよ !

2020年03月22日 | 環境システム科
カクタスライトの裏話を紹介します。
製作時、生物工学研究室のメンバー総出で大量に播種するのですが
播種した人だけが見ることができる面白い現象がありました。
それがサボテンの発芽。すりこぎ状のサボテンでも、ウチワサボテンでも
何と最初は鬼のように2本の角が生えて出てくるのです。
理由は簡単。サボテンは双子葉植物なんです。
大きくなるに従って角は無くなってしまうので
残念ながら、みなさんにお届けすることにはもうありません。
育てたものだけが見ることができる珍百景です。
なおこの写真では右の角に種皮が引っかかっています。
ちなみにサボテンのトゲは葉が変形したもの。
乾燥地で育つサボテンが、朝霧などの水分を集めるためにトゲになったそうです。
さてこのサボテン、1年以上も楽しめますが、次第に大きくなってきます。
その時は試験管から取り出して鉢に植えると
もっと大きく育てることができます。
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