花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

殿堂入り

2020年06月28日 | 学校
世界バラ会議というものがあります。
本部はイギリスにあり、世界37ケ国のバラ会が加盟している国際バラ会連合です。
世界会議は3年に1度世界各地で開催され、
第1回は1971年にニュージーランドで開かれました。
2006年にはアジアで初めて日本の大阪で開催され、
記念すべき20回大会は、なんと2024年広島で開かれることが決まっています。
そこで話題となるのが殿堂入りするバラの発表。
1回の大会で1品種選ばれるので、数万種もあるバラですが
現在まだ17品種しか殿堂入りしていません。
そのひとつがこのバラ。1997年に殿堂入りした「ニュードーン」という品種です。
1930年にアメリカで育成された品種で、シルバーピンクの色がとてもきれいです。
しかし選ばれた理由は別のところにあります。
このバラ、暑いところでも寒いところでも、さらに日当たりでも日陰でも難なく咲くのです。
バラといえば日当たりのイメージですが、この品種なら北向の庭でも大丈夫。
そんな栽培しやすい特性が評価されて殿堂入りしました。
では世界最初に殿堂入りした品種はなんでしょう。
1935年に作られたバラです。
フランスで育種されましたが、時は第二次世界大戦。
危うく戦禍によって失われるところをアメリカに渡り、密かに保存され生き延びます。
そしてベルリンが陥落したことからやっと発表されましたが
その名は平和を願って「ピース」と名付けられました。
このバラは国連発足会議やサンフランシスコ講和会議でも会場を飾っています。
ラ・フランスとともに世界で最も有名なバラである「ピース」。
このバラにはドラマチックな裏話がたくさんあるので、育てながらぜひ調べてみてください。
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バラを支えるアジアの血

2020年06月27日 | 学校
このバラはアンジェラというバラです。
1984年にドイツのメーカーが育種した品種です。
圧倒的な花数が特徴で、今もなお世界中で人気となっています。
このバラはクライミングローズに分類されます。
つまりツルバラ。よくアーチに絡ませて
バラの門を作ることがありますが、
まさにアンジェラはアーチに最適だといわれてます。
バラは歴史が古いので別の分類もできます。
その分類法からいえばこのアンジェラはフロリバンダローズに分類されます。
フロリバンダとは花束の意味で、
四季咲き大輪のハイブリットティーローズと
花つきと耐寒性の強いポリアンサローズという
2つの系統を掛け合わせてできた系統です。
またポリアンサローズ系統は四季咲きの中国のチャイナローズと
ツル性や房咲き性の日本のノイバラの血統が入っています。
アンジェラがツル性だったり、たくさんの花を房のように咲かせるのは
ドイツ生まれですが、アジアのバラの特性によるものなのです。
さて現在、梅雨に入っている青森県。
昨日はヤマセが吹き最高気温は17度しかありませんでした。
おそらくストーブをつけた人もいるはずです。
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世界史の最重要ポイント

2020年06月27日 | 学校
こちらのバラはデンティベスと呼ばれる品種です。
1925年にイギリスで育成されハイブリットティーローズ系統に分類されます。
デンティベスの魅力はなんといっても一重咲きの美しさ。
バラといえば優雅で派手な八重咲きというイメージがありますが
この花をみると一重咲きもいいものだと感じます。
さてまたバラの分類です。ハイブリットティーローズは
四季咲き大輪咲きの特性を持っていますが、
この系統が誕生したのは1867年のフランス。
長年、理想のバラを求めていろいろ育種を繰り返した結果
四季咲き大輪という特性を持ったバラが誕生したのです。
そのバラの名は「ラ・フランス」。
バラの世界ではとんでもないビッグニュースで現在のバラのほとんどが
この血を引くハイブリットティーローズに分類されています。
そこで新しい分類法が誕生します。
それは、ラ・フランス以前に育種されたバラを「オールドローズ」、
以降に育種されたものを「モダンローズ」と呼ぶ分類法です。
もしバラの世界史問題があったら最も大切なポイントとなるはずです。
このように年号や育成地、その裏話など歴史の教科書を作れるくらい
細かく記録されているのを見ると、バラは単なる花ではないことがわかります。
皆さんは、そんな歴史に残るラ・フランスを見たことがありますか。
いかにもバラという優雅な姿です。今も苗が手に入るので、
ぜひ歴史のターニングポイントとなった品種を育ててみてください。
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現代アートはオープンエア

2020年06月26日 | 研究
温室脇の空き地でまたまたトウモロコシを育て始めたハンターズ。
不思議なことに、少しへこんだ穴に植え付けられました。
それ以上に目を引くのは、穴の脇に設置されたブーメラン。
教科書にも載っていないし、どこの園芸店も扱っていません。
つまりこれはハンターズの自作なのです。
コンクリート製に見えますが、これは三和土(たたき)でできています。
中には肥料が入っていて、雨に当たることで
徐々に土に栄養分が染み込んでトウモロコシの成長を支えるのです。
形がみんな同じでないのは作者が違うから。
丁寧に時間をかけて作る人、荒っぽくダイナミックに作る人など様々です。
白いのは陶芸のように練った三和土を盛り上げて成形したもの。
黒っぽいのは土に掘った型に流し込んで成型したもの。
いずれも一品ものの現代アートなので
それぞれ作品名をつけてもいいぐらいの出来です。
箱根の彫刻の森美術館のように
現代アートは屋外展示が不思議に似合います。
でも空き地なじゃく、ちゃんと畑で栽培したらと思うかもしれませんが
畑には昨年投入した肥料が結構残っているもの。
肥料の有無による生育差を見たいので
あえて畑になったことのない温室脇の空き地を選んだのです。
トウモロコシは肥料が大好き。
まもなくその差は姿にあらわれるはずです。
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氷河期時代の生き残り

2020年06月26日 | 学校
ご覧ください。
マッチ棒の頭ぐらいの小さな緑の実が
まるでブドウのように実っています。
これはリンゴンベリー。日本語ではコケモモといいます。
高木ではなく地面を覆うように増えることから「苔」と
木の実を表す「モモ」から付けられた名前だといわれています。
日本では高山に自生しているようで
なんとライチョウやナキウサギの好物だというから驚きです。
ライチョウやナキウサギはかつての氷河期を生き抜いてきた動物。
したがってコケモモも氷河期時代の生き残りだといわれています。
そんなリンゴンベリーを北国青森とはいえ
真夏には30度を遥かに超える平地で育てているのですから
おそらく辛い思いをしているのではないでしょうか。
昨年はほんの少ししか実らなかったリンゴンベリー。
今年は期待したいものです。
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