花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

レア南部せんべい

2021年12月29日 | 
この地域の名物のひとつに「南部せんべい」があります。
日本全国、せんべいといったら米粉が原料。
しかしここ南部地方はヤマセという低温多湿の風が吹き込むので
かつては安定してお米が栽培できない地域でした。
そのため普段の食事は粟(あわ)と稗(ひえ)。
それに小麦や蕎麦、さらに豆やイモなども加えて
バラエティーに富んだ雑穀文化を生み出しました。
この南部せんべいもそんな食文化のひとつで原料は小麦粉です。
一般にパリッと焼いたものを食べるのですが
なかには半生、つまりレアチーズケーキならぬ
レア南部せんべいというものがあります。
それがこれ。「てんぽ」といいます。
半生ということもあり、焼きたてはまるでお餅のよう。
しかし冷めるとうどんのように次第に弾力は失われます。
つまり、この熱々ふわふわのせんべいを食べられるのは
せんべい屋さんの店頭だけ。昔はいろいろなところに
お店があったのでよく食べたものです。
さて調べてみると、このてんぽという名称には面白い由来がありました。
昔のお金である天保銭つまり天保時代の銅銭のことを略して「てんぽ」といいました。
天保銭の貨幣価値は100文とされていましたが、
質が悪く、実際は80文として流通していたそうです。
そんなことから実際よりも足りないものを「てんぽ」と呼んだそうです。
つまり、この食べるてんぽせんべいも普通よりも焼き方が足りないので
「てんぽ」と呼んだといわれています。
しかし飢饉などの際の非常食にも用いられた大切な食べ物だったといいます。
探すと今でも手に入ります。また今は電子レンジがあるので
冷えてもすぐふわふわに戻せます。見つけたらぜひ食べてみてください。
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閉店ガラガラ

2021年12月28日 | 学校
今日は12月28日。官庁は仕事納めの日です。
昔は学校にも日直というものがあり、お正月だろうが、
お盆だろうが職員が当番で1日学校に詰めていました。
もちろん誰一人として学校に来る人はいません。
退屈な一人のお正月を迎えたものです。
しかし最近の学校は日直もなくなり、年末年始になると完全閉庁。
鍵がかけられ、今度は誰も入ることができません。
したがって忘れ物をすると大変。
正月が明けるまで何もできなくなります。
これはこれで困ったものですが、仕方ありません。
さて遠くで雪のキャンパスを歩いているのはフローラハンターズ。
先日、冬休み前の最後の調査が行われました。
正月明けたらすぐに一部のホウレンソウは収穫され
成分分析してもらうため県の研究所に送られます。
それまで研究活動もしばしお休みです。
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あなたはキャベツなの

2021年12月28日 | 環境システム科
明日から学校が閉鎖されるというのに
施設園芸実験室では野菜が植えられています。
よく見るとキャベツと書かれてあります。
ここは水耕栽培用の育苗室。
つまり水耕栽培でキャベツを育てようとしているのでしょうか。
環境システム科には「起業チャレンジ」という学校設定科目があり
生徒は3つの模擬農業法人を組織し、野菜の生産販売を行いながら
経営の仕組みやノウハウを体験的に学びます。
もちろん作物の選択はすべて学習者に任されますが
キャベツやハクサイを栽培しようとする会社がときどき現れます。
しかしこれらは生育期間が長く、さらに重量野菜。
したがって回転率で勝負する水耕栽培にはあまり適しておらず
候補にあがるものの、みんな諦めていました。
ところが最近はキャベツでもOK。
なぜならミニキャベツなるものが登場したからです。
それどころかミニハクサイというものもあります。
こちらは小型なので生育も短く、大玉ではないので
名農の水耕栽培装置でも大丈夫。
キムチにして販売している人もいたぐらいです。
さてこのキャベツは真冬の今、何の目的で播種されたのでしょう。
冬休み明けにまた会えますが、どうなっているか興味津々です。
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トマト三兄弟

2021年12月27日 | 研究
冬休みの名久井農業高校。
寒波の影響もあり雪と氷の世界です。
そんな名農農場の馴化温室でまだ頑張っているのがこのトマト。
フローラハンターズのある男子メンバーが育てています。
彼は4株育てていますが、1株は加温された室内で栽培中。
したがって、この温室では残りの3株を見ることができます。
元気そうに見えますが、実はこの温室の暖房は壊れていて動きません。
つまり屋根と壁こそありますが、ほぼ屋外。
そんな寒い部屋でトマト三兄弟が育っているのです。
トマトの生育適温は25〜30℃。
したがって加温された室内で栽培されているものよりも
成長がゆっくり。寒さで震えあがっているはずです。
草丈に違いがありますが、これは最初から。
右は大きいのですが早く播種された苗だけらです。
ここで注目したいのは葉。
左端のトマトは色黒で葉も小さいのですが
右の二つはどちらも葉が大きくきれいな緑の葉なのです。
さらに左以外は蕾もあります。いったいどうしてなのでしょう。
理由は次の写真を見ると一目瞭然です。

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あったかいんだから

2021年12月27日 | 研究
先ほどのトマトの生育差の原因を種明かしをします。
これは先日ご紹介したサーモグラフィーで撮影したもの。
真ん中と右のトマトの鉢の中央が赤や白に写っています。
もちろんこれは温度が高いという証拠。
実はこの2つの水耕鉢の中にはヒーターが入っていて
右が18℃、真ん中が確か22℃に加温されているのです。
サーモスタッドで管理されていますが、
おそらく放熱されているので実際は5℃ぐらい低い水温だと思います。
水温はデータロガーで記録されているので、
何℃ぐらいで推移しているのかは後日わかるはずです。
それにしても首から上は同じ冷たい外気に触れているのに
露天風呂のように根が温かだと、なんとか育っているから驚きです。
しかし植物体の温度は、写真からもわかるように
どの株も7℃ぐらいと変化がありません。撮影したのが暖かな日だったため
養液が植物体を温めているところまでは確認できませんでした。
2年前、先代のトレジャーハンターズがホウレンソウで同じ実験を行ったところ、
無加温の区より葉が温かくなっているのを突き止めました。
ホウレンソウはトマトと違い葉が薄く草丈が低いこと、
観察した1月は外気温が氷点下と養液との差が大きかったことなどが
理由として考えられます。現在、フローラハンターズはトマトの他に
ホウレンソウも用いて再実験しています。
最低気温は氷点下。そろそろ目撃できるかもしれません。
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