特に進路選択については,自分も曲りなりにに経験したし,お仕事柄色々な人の人生の進め方について話をする機会もある。そうして色々と考えるものの,しっかりとしたかたちでまとめる余裕もないので,簡単に箇条書きをしてみる。
1 反発と自発:両親などが一定の希望を示している・周囲の友人がだいたい同じ道に進もうとしている場合に,「周囲と違う」という点に大きな価値を見出して振り切って行ってしまうというパターンがある。また反対に周囲の序列意識から序列の高低を第一にして選択してしまうパターンがある。これらの場合は,間もなく取り巻く人たちが変わり,反発の対象や序列の源泉がなくなることで選択した進路に疑問をもってしまう危険がある。選択後の環境の変化も考え,何を主眼に置くべきかを考える必要がある。
2 「寝食忘れて好きになるものがあるはず」:幼少からよく接する歴史上の人物や成功者の談の影響から,職業となすにはものすごく熱中できることでなくてはならない,それを見つけるまで本気になれないという考えが生まれる可能性がある。社会的分業や専門性への評価は比較的最近のもので,人間の性質としてはその場その場で興味あることを過度に負担にならないくらいにやりたいというのが通常であろう。ある程度自分が納得し周囲にも説明できる選択の理由を考えた上で,うまく長く付き合えることを主眼にするのがいい。
3 「準備がちゃんとできてから,やろう」:高校までの学習とそれ以降を較べると,扱う情報量や時間の面で余裕が格段と少なくなり,多数のことを同時並行的に進め,限られた時間内で求められる水準でやっていく,ということが重要になっていく。また,講義やひとり座学で準備するものよりも実際に経験し取り組みながら学んでいくべき種類の事柄も増えていく。準備を怠らないことは大切であるが,準備を理由に挑戦を避けてマイナスになることが多い。足りないところは後からついてくる,カバーできる,そういう自信がもてるように,小さい挑戦を重ねた上でリカバリの仕方の準備を探求するのがいい。
4 責任と原因:悪い境遇になったとき,その原因を考えることがあるだろう。だいたいは,家庭と学校の環境など多くの時間を過ごしたことが槍玉に挙げられ,異常に悪いというわけでもないのに最良でないことが問題として意識される。そして,原因を作ったとして責めたてることになりがちだ。しかしもう家庭も学校も離れて今後の生活を作っていくことが可能かつ必要なところ,その歩みを止めてしまう上に,いざというときの協力者を失ってしまいかねない。大事なのは将来であり,原因として過去のことを考えたとしても,そこで足りないと感じたことをこれから補っていくためと思おう。
5 強さの意味:多くの社会制度は,個人は自己の利益になる行動を積極的に行うことを前提として設計されているが,現実には自分のことだからこそ不利益に振る舞うことも多い。不利益を受けて立ち,耐えることが自己の強さとして把握される面があるからだろう。しかしだからといって,自分以外の誰かが自己の利益を最大化できるということはほとんどない。孤独にならないこと(利害を共通する他者がいると踏みとどまるきっかけになる)が解決策と思われるが,少なくとも自分を積極的に悪い方向に向かわせることはしないことが大切だ。
1 反発と自発:両親などが一定の希望を示している・周囲の友人がだいたい同じ道に進もうとしている場合に,「周囲と違う」という点に大きな価値を見出して振り切って行ってしまうというパターンがある。また反対に周囲の序列意識から序列の高低を第一にして選択してしまうパターンがある。これらの場合は,間もなく取り巻く人たちが変わり,反発の対象や序列の源泉がなくなることで選択した進路に疑問をもってしまう危険がある。選択後の環境の変化も考え,何を主眼に置くべきかを考える必要がある。
2 「寝食忘れて好きになるものがあるはず」:幼少からよく接する歴史上の人物や成功者の談の影響から,職業となすにはものすごく熱中できることでなくてはならない,それを見つけるまで本気になれないという考えが生まれる可能性がある。社会的分業や専門性への評価は比較的最近のもので,人間の性質としてはその場その場で興味あることを過度に負担にならないくらいにやりたいというのが通常であろう。ある程度自分が納得し周囲にも説明できる選択の理由を考えた上で,うまく長く付き合えることを主眼にするのがいい。
3 「準備がちゃんとできてから,やろう」:高校までの学習とそれ以降を較べると,扱う情報量や時間の面で余裕が格段と少なくなり,多数のことを同時並行的に進め,限られた時間内で求められる水準でやっていく,ということが重要になっていく。また,講義やひとり座学で準備するものよりも実際に経験し取り組みながら学んでいくべき種類の事柄も増えていく。準備を怠らないことは大切であるが,準備を理由に挑戦を避けてマイナスになることが多い。足りないところは後からついてくる,カバーできる,そういう自信がもてるように,小さい挑戦を重ねた上でリカバリの仕方の準備を探求するのがいい。
4 責任と原因:悪い境遇になったとき,その原因を考えることがあるだろう。だいたいは,家庭と学校の環境など多くの時間を過ごしたことが槍玉に挙げられ,異常に悪いというわけでもないのに最良でないことが問題として意識される。そして,原因を作ったとして責めたてることになりがちだ。しかしもう家庭も学校も離れて今後の生活を作っていくことが可能かつ必要なところ,その歩みを止めてしまう上に,いざというときの協力者を失ってしまいかねない。大事なのは将来であり,原因として過去のことを考えたとしても,そこで足りないと感じたことをこれから補っていくためと思おう。
5 強さの意味:多くの社会制度は,個人は自己の利益になる行動を積極的に行うことを前提として設計されているが,現実には自分のことだからこそ不利益に振る舞うことも多い。不利益を受けて立ち,耐えることが自己の強さとして把握される面があるからだろう。しかしだからといって,自分以外の誰かが自己の利益を最大化できるということはほとんどない。孤独にならないこと(利害を共通する他者がいると踏みとどまるきっかけになる)が解決策と思われるが,少なくとも自分を積極的に悪い方向に向かわせることはしないことが大切だ。