前回に引き続き、「ブラック」塾業界の体験談です。
前回三回に分けて、数学至上主義の上司との対立を書きました。
前回までは、その上司が、私に対して行った、許せないことを書きましたが、実は、それについては、「まあ、価値観の違いもあるし…」と許せる部分もありました。
しかし、どうしても、どんな理由があろうと、許せないことが2つあるんです。
それは、その上司が生徒さんにしたこと、言ったことです。
一つは、授業指導について。
授業を生徒全員に聞いてもらうには、どうすればいいか?という話が出たとき、その上司のお気に入りの講師が、「一人、生意気な生徒をつるし上げれば良い。そうすれば、みんな、自分もそうなりたくないから、大人しくなる。」ということを言って、その上司は大賛美!!!
しかも、そのつるし上げる生徒さんの例を出したのですが、「生意気だけど、絶対に反論を言わない子供」ばかりだったのです。
つまり、それって、先生のうさばらしに最適な子供ってことですよね?弱いと思っている人間をいじめる、そういうことですよね?
先生が、率先して、いじめをするってことになりますよね?
また、「恐怖」による生徒の締め付けは、結果的に、何も生み出しません。生み出すとしても、それは、負のものばかり。「気に入らなきゃ、他人に当たればよい」と多くの子供は思うでしょう。そして、先生に吊し上げられた生徒さんを、他の生徒さんも馬鹿にし、最悪、いじめや迫害につながります。
怒ることは大切です。
しかし、それは、あくまで、やってはいけない行為をしたことに対して怒るべきであり、特定の人物にナンクセをつけて攻撃するものではありません。
どうしても、それが私は許せませんでした。
もう一つは受験指導について。
その塾では、トップ校に合格者を出すと、その合格者の人数に応じて、特別ボーナスが出る仕組みになってました。
元々の目的は、トップ校合格までは、講師側も大変な努力が必要なため、その努力を最後まで諦めずにしてもらうため、なのでしょう。
しかし、私の勤めていた校舎の一人が、お金が大好きでしょうがない人で、一人でも多く、トップ校に受からせたいと思ってました。
そのとき、トップ校に受かる可能性にある生徒さんの何人かが、トップ校を受けずに、他の学校を受けることにしているときがあります。
私がその生徒さんと面談したとき、その生徒さんは、人間関係の問題や、家族が先祖代々昔から、○○校出身なので、学園祭に行って、気に入ったから、女子校、男子校は嫌で共学がよい、などの様々な理由で、そのトップ校を受けないことがあります。
本人たちが第一志望にしたところも、十分トップ校なところがほとんどなのですが、塾講師にボーナスが支払われる対象の学校ではないときが、問題がおきるのです。
でも、私は、その生徒さんたちの理由が最もだと思ったし、その生徒さんたち
の性格も考慮した上で、その生徒さんの希望した学校を受けることを同意し、それで面談は終わることもあります。
その生徒さんの多くは、人一倍、他人に気を使う子で、マイペースに勉強する、大人しい生徒さんでした。
私が同意したことで、ホッとした顔で生徒さんは、帰って行くときも。
しかし、講師室に戻ったら、あの上司と、お金大好き先輩が、プンプンに怒っていることが、ほとんど。
上司たちは、監視カメラで、私の面談を見ていて、それについて怒っていました。
彼らの言い分は、
「◎◎高校に、受かるレベルの子供が、わざわざ違うレベルのところを受けると言うのを同意するのは、先生のすべきことではない!!あの子供は、受かる自信がないから、そう言って、先生に、そんなことはないから、トップ校の◎◎校を受けろ!と後押しして欲しかったんだよ!彼(彼女)の幸せは、トップ校の◎◎に受かることなんだから!!」
と、怒るんです。
それで、私は、
「普通はそうです。
でも、あの子は、一番仲のよかった、年上の、ある人が、◎◎校に落ちた。だから、その人との仲を壊したくないから、◎◎校じゃなく、○○校にしたんです。あの子が調子悪いときは、○○校の合格レベルの偏差値より下回ることだってありますので、べつに○○校に入っても、その子の学力レベルに大きさ差はないはずです。」
など、とその都度、反論。実際に、偏差値としては、3から5くらいの違いです。
しかし、上司は怒り狂います。
「その落ちた人だって、自分の成し遂げられないことをしてもらいたいはずだ!!お前は、なんて、ダメな講師なんだ!!」
の一点張り!!
共学校でないとイヤだ、という生徒には、「どうせ恋愛したいんだろ!高校生までは恋愛したら、将来のためにならん!」とか。
ただ、先祖代々の理由は、上司はスルー。
年上の人、とくに、親にはひたすら従うのが素晴らしい子供、と思いこんでいる人でしたから。
お金大好き先輩は、ただただ、お金のもらえる学校をその生徒に受けてほしい、という、気持ちだったのでしょう。
なので、その先輩だけなら、「その子の気持ちを尊重した受験をしたら、その子が他の生徒さんたちに、この塾はいいよ!と言ってくれて、塾生が来年増えるかも?そうしたら、そちらの方でボーナス出るから、そちらにしませんか?」と、持ちかけることもできたでしょう。
しかし、上司は違います。
「トップ校に入れなきゃ、人生まっくら」
「数学できなきゃ、人ではない」
「学力さえよければ、皆、自分を愛してくれる」
と信じて疑わない人です。
これが正しいと信じている人に何を言っても通じない。
結局、上司は「おまえなんかに、あの子の面談をさせたのが、そもそもの間違いだった!!明日、オレがもう一度、面談やりなおす!」
と強行手段に出ました。
上司との面談の際、その子たちや保護者の方は、「先生が、そこまでオススメするのなら、私、そこを受けます」と言い、受験することがほとんど。
その子たちの中には、自分の気持ちより他人の気持ちを優先する子もいます。
その子が、初めて、自分の気持ちを優先させた受験校選択が、いとも簡単に、上司につぶされてしまったのです。
そして、受験の結果。
受かる子供もいれば、落ちる子供もいる。
しかし、落ちた子供に対して、上司が言った言葉がどうしても許せないんです。
自分のすすめた学校に落ちてしまった生徒さんたちに対して、上司は反省したり、落ち込んだりするかと思ったら、なんと、受験結果を伝えに来た、その生徒に、なんと説教をすることもあったのです!!
たとえば、
「おまえには、やる気が足りなかった!ほら、一緒に◎◎校を受験して受かった、Aくんを考えろ!彼は、どんなときでも挫けず、ずっと前しか見ずに進んだだろう!お前も、Aくんのように、ならなきゃいけない!」と。
さすがに、言い方は、優しめでしたが…。
また、社会が苦手な子供のときは、「社会の先生のせいだ」と、私の落ち度にしているときも…。
落ちて、泣いてしまいまった生徒さんに対し、
「そうやって、泣くから、落ちるんだよ。もう、二度と泣かずに、がんばりなさい。」
と。
多くの、その子は、「わかりました」と、その場をおさめることを優先して、「大変お世話になったのに、先生のご希望に添えなくて、すみませんでした」と言って去っていきました。
私は、その瞬間、すぐに、その子たちに駆け寄ればよかった。「あなたのことを守ってあげられなくてごめん」とか「あなたの最初の決断は間違ってなかったの。人のために無理して受験したから落ちたの。悪いのは、アナタでなく、アナタの気持ちを無視した上司!!
もう、あなたは、自分の決断を信じて!たとえ、その決断を、他人が違う!と言ってきても!」と言えばよかった。
でも、そのころには、あの上司にたてついたら、また、終電逃しの説教!もう寝ていたい…疲れ切っていた私…。
いまでも、その子に対しては、申し訳ない気持ちでいっぱい です。
その子たちは、もう大人になっですが、どうか、自分に自信のない大人になっていないことを願うばかりです。
私の面談が合っていたかは、わかりません。
しかし、少なくとも、上司の、あの生徒さんたちが落ちたときに言った言葉は、明らかにいけないものたと思います。
生徒さんは、受験だけが人生ではありません。
人間関係は、永遠に続くし、受験でこじれたくない人間関係だってあります。
私も、実は高校受験のとき、もう一つ、上の偏差値の高校を受けることは可能ではありました。でも、その高校を志望している人の中に、小学生のときのいじめの裏をひいていた人物、そして、裏切った、元親友だった人間がいました。
なので、もうあの人たちとは関わりたくないので、違う高校を受験しました。
結果的に、その高校で出会った友人たちは、今でも仲良しだし、大学も、その高校では、学力レベルがその高校内で真ん中よりは上位にいる人くらいのレベルの大学だったので、べつに、とくに、大学選びでは苦労しませんでした。
だから、何も、学力が一番上の学校に行けば幸せとは限らないな、と思います。
今回は以上です。
前回三回に分けて、数学至上主義の上司との対立を書きました。
前回までは、その上司が、私に対して行った、許せないことを書きましたが、実は、それについては、「まあ、価値観の違いもあるし…」と許せる部分もありました。
しかし、どうしても、どんな理由があろうと、許せないことが2つあるんです。
それは、その上司が生徒さんにしたこと、言ったことです。
一つは、授業指導について。
授業を生徒全員に聞いてもらうには、どうすればいいか?という話が出たとき、その上司のお気に入りの講師が、「一人、生意気な生徒をつるし上げれば良い。そうすれば、みんな、自分もそうなりたくないから、大人しくなる。」ということを言って、その上司は大賛美!!!
しかも、そのつるし上げる生徒さんの例を出したのですが、「生意気だけど、絶対に反論を言わない子供」ばかりだったのです。
つまり、それって、先生のうさばらしに最適な子供ってことですよね?弱いと思っている人間をいじめる、そういうことですよね?
先生が、率先して、いじめをするってことになりますよね?
また、「恐怖」による生徒の締め付けは、結果的に、何も生み出しません。生み出すとしても、それは、負のものばかり。「気に入らなきゃ、他人に当たればよい」と多くの子供は思うでしょう。そして、先生に吊し上げられた生徒さんを、他の生徒さんも馬鹿にし、最悪、いじめや迫害につながります。
怒ることは大切です。
しかし、それは、あくまで、やってはいけない行為をしたことに対して怒るべきであり、特定の人物にナンクセをつけて攻撃するものではありません。
どうしても、それが私は許せませんでした。
もう一つは受験指導について。
その塾では、トップ校に合格者を出すと、その合格者の人数に応じて、特別ボーナスが出る仕組みになってました。
元々の目的は、トップ校合格までは、講師側も大変な努力が必要なため、その努力を最後まで諦めずにしてもらうため、なのでしょう。
しかし、私の勤めていた校舎の一人が、お金が大好きでしょうがない人で、一人でも多く、トップ校に受からせたいと思ってました。
そのとき、トップ校に受かる可能性にある生徒さんの何人かが、トップ校を受けずに、他の学校を受けることにしているときがあります。
私がその生徒さんと面談したとき、その生徒さんは、人間関係の問題や、家族が先祖代々昔から、○○校出身なので、学園祭に行って、気に入ったから、女子校、男子校は嫌で共学がよい、などの様々な理由で、そのトップ校を受けないことがあります。
本人たちが第一志望にしたところも、十分トップ校なところがほとんどなのですが、塾講師にボーナスが支払われる対象の学校ではないときが、問題がおきるのです。
でも、私は、その生徒さんたちの理由が最もだと思ったし、その生徒さんたち
の性格も考慮した上で、その生徒さんの希望した学校を受けることを同意し、それで面談は終わることもあります。
その生徒さんの多くは、人一倍、他人に気を使う子で、マイペースに勉強する、大人しい生徒さんでした。
私が同意したことで、ホッとした顔で生徒さんは、帰って行くときも。
しかし、講師室に戻ったら、あの上司と、お金大好き先輩が、プンプンに怒っていることが、ほとんど。
上司たちは、監視カメラで、私の面談を見ていて、それについて怒っていました。
彼らの言い分は、
「◎◎高校に、受かるレベルの子供が、わざわざ違うレベルのところを受けると言うのを同意するのは、先生のすべきことではない!!あの子供は、受かる自信がないから、そう言って、先生に、そんなことはないから、トップ校の◎◎校を受けろ!と後押しして欲しかったんだよ!彼(彼女)の幸せは、トップ校の◎◎に受かることなんだから!!」
と、怒るんです。
それで、私は、
「普通はそうです。
でも、あの子は、一番仲のよかった、年上の、ある人が、◎◎校に落ちた。だから、その人との仲を壊したくないから、◎◎校じゃなく、○○校にしたんです。あの子が調子悪いときは、○○校の合格レベルの偏差値より下回ることだってありますので、べつに○○校に入っても、その子の学力レベルに大きさ差はないはずです。」
など、とその都度、反論。実際に、偏差値としては、3から5くらいの違いです。
しかし、上司は怒り狂います。
「その落ちた人だって、自分の成し遂げられないことをしてもらいたいはずだ!!お前は、なんて、ダメな講師なんだ!!」
の一点張り!!
共学校でないとイヤだ、という生徒には、「どうせ恋愛したいんだろ!高校生までは恋愛したら、将来のためにならん!」とか。
ただ、先祖代々の理由は、上司はスルー。
年上の人、とくに、親にはひたすら従うのが素晴らしい子供、と思いこんでいる人でしたから。
お金大好き先輩は、ただただ、お金のもらえる学校をその生徒に受けてほしい、という、気持ちだったのでしょう。
なので、その先輩だけなら、「その子の気持ちを尊重した受験をしたら、その子が他の生徒さんたちに、この塾はいいよ!と言ってくれて、塾生が来年増えるかも?そうしたら、そちらの方でボーナス出るから、そちらにしませんか?」と、持ちかけることもできたでしょう。
しかし、上司は違います。
「トップ校に入れなきゃ、人生まっくら」
「数学できなきゃ、人ではない」
「学力さえよければ、皆、自分を愛してくれる」
と信じて疑わない人です。
これが正しいと信じている人に何を言っても通じない。
結局、上司は「おまえなんかに、あの子の面談をさせたのが、そもそもの間違いだった!!明日、オレがもう一度、面談やりなおす!」
と強行手段に出ました。
上司との面談の際、その子たちや保護者の方は、「先生が、そこまでオススメするのなら、私、そこを受けます」と言い、受験することがほとんど。
その子たちの中には、自分の気持ちより他人の気持ちを優先する子もいます。
その子が、初めて、自分の気持ちを優先させた受験校選択が、いとも簡単に、上司につぶされてしまったのです。
そして、受験の結果。
受かる子供もいれば、落ちる子供もいる。
しかし、落ちた子供に対して、上司が言った言葉がどうしても許せないんです。
自分のすすめた学校に落ちてしまった生徒さんたちに対して、上司は反省したり、落ち込んだりするかと思ったら、なんと、受験結果を伝えに来た、その生徒に、なんと説教をすることもあったのです!!
たとえば、
「おまえには、やる気が足りなかった!ほら、一緒に◎◎校を受験して受かった、Aくんを考えろ!彼は、どんなときでも挫けず、ずっと前しか見ずに進んだだろう!お前も、Aくんのように、ならなきゃいけない!」と。
さすがに、言い方は、優しめでしたが…。
また、社会が苦手な子供のときは、「社会の先生のせいだ」と、私の落ち度にしているときも…。
落ちて、泣いてしまいまった生徒さんに対し、
「そうやって、泣くから、落ちるんだよ。もう、二度と泣かずに、がんばりなさい。」
と。
多くの、その子は、「わかりました」と、その場をおさめることを優先して、「大変お世話になったのに、先生のご希望に添えなくて、すみませんでした」と言って去っていきました。
私は、その瞬間、すぐに、その子たちに駆け寄ればよかった。「あなたのことを守ってあげられなくてごめん」とか「あなたの最初の決断は間違ってなかったの。人のために無理して受験したから落ちたの。悪いのは、アナタでなく、アナタの気持ちを無視した上司!!
もう、あなたは、自分の決断を信じて!たとえ、その決断を、他人が違う!と言ってきても!」と言えばよかった。
でも、そのころには、あの上司にたてついたら、また、終電逃しの説教!もう寝ていたい…疲れ切っていた私…。
いまでも、その子に対しては、申し訳ない気持ちでいっぱい です。
その子たちは、もう大人になっですが、どうか、自分に自信のない大人になっていないことを願うばかりです。
私の面談が合っていたかは、わかりません。
しかし、少なくとも、上司の、あの生徒さんたちが落ちたときに言った言葉は、明らかにいけないものたと思います。
生徒さんは、受験だけが人生ではありません。
人間関係は、永遠に続くし、受験でこじれたくない人間関係だってあります。
私も、実は高校受験のとき、もう一つ、上の偏差値の高校を受けることは可能ではありました。でも、その高校を志望している人の中に、小学生のときのいじめの裏をひいていた人物、そして、裏切った、元親友だった人間がいました。
なので、もうあの人たちとは関わりたくないので、違う高校を受験しました。
結果的に、その高校で出会った友人たちは、今でも仲良しだし、大学も、その高校では、学力レベルがその高校内で真ん中よりは上位にいる人くらいのレベルの大学だったので、べつに、とくに、大学選びでは苦労しませんでした。
だから、何も、学力が一番上の学校に行けば幸せとは限らないな、と思います。
今回は以上です。