元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「Dearフランキー」

2005-11-18 19:05:22 | 映画の感想(英数)

 舞台はスコットランドの港町。父親のいない耳の不自由な少年フランキーのために、父親になりすまして手紙を出す母親や一日限りの“パパ”を演じる風来坊などが織りなす人情ドラマ。

 一歩間違うとトンでもない“お涙頂戴有り難う”になるようなシチュエーションだが、これがデビュー作になる女性監督ショーナ・オーバックは物語とキャラクターをじっくりと練り上げ、安心して薦められる良心作に仕上げている。少なくとも感動の押し売りは希薄であり、大人の映画作りとはこうなのかと、誰しも納得することだろう。

 グラスゴーから近いグリーノックの街の、うら寂しい風景が登場人物達の孤独な姿を反映している。臨時の“父親”を演じるジェラルド・バトラーがえらくカッコ良く、これは作者の“願望”を表現しているとも言えるが(笑)、ストーリー設定およびエミリー・モーティマー扮する母親やフランキーの友人達が地に足がついたような的確な描かれ方をされているため、有名スターにおんぶに抱っこ状態の“お手軽映画”とは一線を画することに成功している。

 それにしても、フランキーの本当の父親の所業がこの一家に暗い影を落としていることに慄然とせずにはいられない。決して“甘いだけの人情篇”にしない製作者キャロライン・ウッド(「鳩の翼」など)の冷静さが光る映画でもある。
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「香港国際警察 NEW POLICE STORY」

2005-11-18 18:50:34 | 映画の感想(は行)
 (原題:新警察故事)いくら腕の立つジャッキー・チェン警部とはいえ、完全武装した犯人グループのアジトに10人足らずで乗り込んで行けば返り討ちに遭うのは当たり前。さらに、彼の勤務する警察署はニセ警官だの凶悪犯だのがノーチェックで出入り自由ときては、爆弾を仕掛けられるのも当然だ。この映画はかくもディテールが甘い。でも、そこが香港映画らしい“愛嬌”とも言えるのだ(笑)。

 ハリウッドで“便利屋”扱いされていたジャッキーは、久々ホームグラウンドに帰って水を得た魚のように大暴れしている。

 強盗団に部下を殺された警部の苦悩とか、犯人グループの屈折ぶりとか、そういう暗いモチーフも何のその。一度始まると留まる事を知らないアクションの釣瓶打ちに見とれるしかない。

 特にバスの暴走を阻止する場面は、数ある彼のフィルモグラフィの中ではベスト5に入るパフォーマンスだと思う(彼の年齢を考えると、驚くべきことだ)。

 決して彼のワンマン映画ではなく、ニコラス・ツェーやダニエル・ウー、シャーリーン・チョイといった若手にも花を持たせているのが嬉しい。チャーリー・ヤン扮する婚約者とのやり取りも良く、ラストなんか泣かせてくれる。上映時間をあと20分ほど削れば言うことなかった。
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