幼い頃に事故に遭い、心と身体に傷を負った青年とその恋人、そして恋人の妹との三角関係を描く奥原浩志監督作品。
よしもとよしともの短編コミックの映画化である。題名通りブルーを基調にした清澄な画面が印象的で、センスの良い選曲も含めて肌触りは極めて良いが、内容は物足りない。それは主人公の内面の掘り下げが足りないからだ。
演じるARATAは髪を金色に染め、目元に傷跡を作り、終始猫背で何やらワケありの雰囲気を作ろうと努力はしているが、しょせん“外見のみ”である。作劇は物語のバックグラウンドをしっかりと語らなければならないのに、ここでは思わせぶりの心象映像でお茶を濁しているあたり、詰めが甘い。麻生久美子扮する恋人に至っては、何を考えているのかさっぱり分からず、主人公との心理的距離がどの程度なのか判然としない。
だが、妹役の宮崎あおいにスポットが当たると、途端にスクリーンが締まってくる。若い女の純情さとしたたかさを自前の存在感だけで強くアピールさせてしまう、まったく大した女優だと思う。
結論としてこの作品は“宮崎あおいの演技を堪能する映画”であり、逆に言えば、彼女だけを目立った存在にしないためには相当に力のある作劇でなければならないが、結果としてそれが不足したということだろう。
よしもとよしともの短編コミックの映画化である。題名通りブルーを基調にした清澄な画面が印象的で、センスの良い選曲も含めて肌触りは極めて良いが、内容は物足りない。それは主人公の内面の掘り下げが足りないからだ。
演じるARATAは髪を金色に染め、目元に傷跡を作り、終始猫背で何やらワケありの雰囲気を作ろうと努力はしているが、しょせん“外見のみ”である。作劇は物語のバックグラウンドをしっかりと語らなければならないのに、ここでは思わせぶりの心象映像でお茶を濁しているあたり、詰めが甘い。麻生久美子扮する恋人に至っては、何を考えているのかさっぱり分からず、主人公との心理的距離がどの程度なのか判然としない。
だが、妹役の宮崎あおいにスポットが当たると、途端にスクリーンが締まってくる。若い女の純情さとしたたかさを自前の存在感だけで強くアピールさせてしまう、まったく大した女優だと思う。
結論としてこの作品は“宮崎あおいの演技を堪能する映画”であり、逆に言えば、彼女だけを目立った存在にしないためには相当に力のある作劇でなければならないが、結果としてそれが不足したということだろう。